『湿っぽい空気。それでもソフィーの歌声はカラリと。』
懸案されていた近所の舗装工事が、いよいよ始まってしまった。
それにより我が家裏手の市道も大渋滞。
家人によると、思わず待ちきれずにUターンするクルマが続出し、数台のクルマが我が家の敷地内に入っては『ターン∀ターン』していったという。(因みに【黒歴史】という言葉の語源は、機動戦士∀ガンダムで出てきたもの。まさかここまで一般的に浸透するとは思わなんだ。)
そんな情報を予め得ていたので、当然の様に裏道を駆使しての帰宅になった。
・・・のだが、これが近くに来ると拍子抜けしてしまう程に、クルマが上手く流れている。
見れば信号が赤点滅。
大抵、通りの多い道の場合は点滅させるのが定番なのだが、信号を止めるには警察官が立ち会わなくては成らない。
だがしかし、この面倒なプロセスさえ乗り越えてしまえば、信号の動きに捕われずに、交通誘導員の采配でクルマを流す事が出来る様になるのだ。
ナイス過ぎる。
しかしこの仕事は本当にタフな仕事だ。
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俺も実際に数々の現場に立ち、交通誘導を熟してきたので、そのハードな暑さ、照り返し、粉塵、脱水、そして運転手達からの罵詈雑言などが本当によく分かる。
(交通量の多い宇都宮市の現場に着任した時など、心無い運転手と喧嘩になった事が有る程だ。)
『さて、何処の警備会社が担当しているのかな?』
と、近くにいる交通誘導員に目を向けると、これまた良く見知った顔。
大渋滞でこれまた名高い、リゾート地・那須の某所の駐車場に常駐していた、人の良さげな某警備会社の社長さんじゃないか!!
今は某所と契約解除した様だが、昔は私が某所へ納品に行った時など、快く手助けしてくれたものだ。
まさにナイスガイ!!
『こんちはッス!♫』
何て声を掛けようと思ったのだが、社長さんはタフな状況の中、他の隊員に指示を出しながら、四苦八苦中。
とてもとても声を掛けられる状況ではなかった。
この仕事は本当に辛い。
『ドライバーの苛々を、ストレートに受け止める仕事だからだ。』
まだまだ舗装工事は終わらない。
今度パワードリンクでも差し入れしようかしら。
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『ソフィー・セルマーニ』1995年
警備員時代によく聴いていたアルバムだ。
ソフィー・セルマーニはスウェーデン出身のシンガーソングライター。
本国で成功を収めた後、『スウェディッシュ・ポップブーム』に沸く日本でもブレイク。
鼻にかかった歌声が、何処と無くバングルスのスザンナ・ホフスを想起させる。
アコースティックギターメインの、朴訥としたサウンド形態ながら、何処かアーシーで、諦観的視点に溢れた世界観が、当時の空気を上手く表現している。
フック的要素は皆無といっていい程シンプル。
飾り気の無い歌声が、非常に曇り空に似合ってしまうアルバムだ。
だからこそ、ジャケットに於けるソフィーの屈託のない笑顔にヤラレる訳なのだが。