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『MY HOME TOWN』

今日はFromニュージャージーで。


「ブルース・スプリングスティーンって、ロックなんスよね?」


1995年、私が某警備会社の宇都宮営業所に在籍していた頃の話。

高校を卒業して間もない二人の若者が入社してきた。
福島県は田島からやって来たこの若者達はバンドを組んでいたらしく、話から推測するに、どうやらハードコア・パンクスのようだった。
その一人がTVコマーシャルでブルース・スプリングスティーンの『Greatest Hits 』アルバムの発売を知り、興味を持ったようだった。


「そうだね。アメリカン・ロックだね。」


1995年頃のブルースと云えば、作品の中に政治的な色合いが戻ってきた『The Ghost of Tom Joad 』をリリースしたばかり。
(しかしアルバムはトップ10入りを逃しており、まさにブルースは時代の荒波に晒されている時期でもあった。)


「速いッスか?」


いや。そんなに速いナンバーは無いのだが、その熱く燃えたぎるブルースの熱い魂が、聴く者の心へと矢継ぎ早に突き刺さるんだよ。


「まあ、早いね。」


その私の一言を元に、パンクスの彼は初任給でブルースのCDを購入した。


「あんまり速くないッスけど、何だか熱い人ッスね。」


熱い魂を持った男、その名は
ブルース・スプリングスティーン

彼の熱い魂は世代やジャンルをも超越する。


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MY HOME TOWN

1984年発表のアルバム
『Born in the U.S.A. 』より7枚目のシングルカット。

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最初は気楽に『』としてアルバムを楽しんでいたのだが、その歌詞のヘヴィ過ぎる内容を知る事により、『ながら聴き出来ない』意味合いを持っていく。

徐々に廃れ行く、80年代のアメリカ郊外の風景と、一人の男の心情の機微をブルースは優しく、そして寂しく綴っていく・・・


これが俺の街だ。


2021年現在。
殺伐としたこの国の空気感の中で、この曲の世界観がもはや対岸の火事では無い事を僕は改めて知る。



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