「あなたを・もっと・知りたくて」その①
「貴方の答えが知りたいの。」
そう彼女が耳元で囁く。
「どこまで知りたい?」
僕は彼女から身体を引き離すと、目を見ながら微笑み返した。
「全て。かな。」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら、上目遣いに僕を見つめる彼女。
今回も違うかも知れない・・・
だが彼女も今まで散々な目にあってきたんだ。
そろそろ彼女を信じてあげてもいいだろう?
「貴方の答えが・・・全てが知りたいの。」
上目遣いに僕を見つめる彼女。
そろそろ信じてあげてもいいだろう?
なぁ?
もう間違いじゃないよ。きっとさ。
「分かったよ。僕の答えを教えてあげようか。」
「嬉しいわ。教えて。」
僕は彼女の目を見つめながら答えた。
「③だ。」
彼女は目を潤ませながら、静かに肩を震わせる。
間違いは間違いだ。
「最初から解き直しだ!何故間違ったのか?
根本的な基礎がやっぱり出来ていないんだ!
最初のページからまた始めるぞ!!」
「ウガーーーーーッ!!めんどクセーーーーーーーーーーッ!!チクショーーーーーーッ!!」
叫ぶ彼女に同情する余地は無い。
僕は家庭教師。
任務は彼女の受験を成功させる事。
今夜も朝まで寝かせないよ!!
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「あなたを・もっと・知りたくて」
薬師丸ひろ子 1985年
作詞・松本隆
作曲・筒美京平
発売当時は通信関係のCMソングとしてヒットしましたよネ。
筒美京平先生のキュートなメロディが堪りません!♫