『TAKE IT EASY』 EAGLES

「カチャッ、ブルルルルルンッ」

まだ眠い目を擦りながら、仕事の相棒である2トン・トラックのエンジンをスタートさせる。

群青色に染まる明け方の空には、まだ幾つもの星達が取り残されており、新しい朝に溶けまいと無駄な足掻きをしていた。

「ジャーン！ジャカ、ジャン」

車内に響き渡るカラリと抜けの良いギター・サウンド。

『TAKE IT EASY』。

今日も変わらずこの曲でスタートだ。

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アルバム『イーグルス・ファースト』のCDが、トラックのカーステレオに飲まれて一年近くが経つ。

エンジンをスタートさせる度に始まる、取り出せないイーグルス・ファースト。
当然だが、間違いなく今年一番聴いたアルバムとなった。

コロナ禍に於けるこの一年を無事に乗り越える事が出来たのも、一曲目『TAKE IT EASY』のポジティブな空気感のおかげだろう。

『落ち着いて行こうゼ！』

グレン・フライが毎朝僕にそう言ってくれる。

動き出したトラックを追う様にようやく朝日が顔を出す。

出来過ぎ位な朝の空。

『落ち着いて行こうゼ！』

取り出せないイーグルスのファーストアルバムが、今日もトラックのスピーカーより響き渡る・・・

（※この文章は「世界の音をカケハする【カケハシレコード】さんが募集したテーマ『今年一番聴いたアルバム』に投稿したものの完全版です。）