『乱入のブロンド』
1990年の話。
当時、私はトリオ編成のスラッシュメタル・バンドを組んでいたのだが、ひょんな事で知り合った、『ハードコアでスケーターなパンクス』のリクエストを受け、私とギタリストでパンクスのバンド結成に手を貸す事となった。
最初はなかなか肝心のドラムが見つからなかったのだが、数ヶ月が経ち、漸くメンバーが見つかった。
春に結成してからの、夏のスタジオ入り。
その日は暑かった事を何となく覚えている。
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リーダーであるパンクスが用意したスタジオは、旧黒磯市に在った『イワマ楽器』だ。
商店街の通り沿いに面したスタジオは、古い倉を改造したもので、防音処理は・・・まあまあ。
バンドが練習していると、誰のバンドが入っているか判る位の音漏れだ。
で。
セッティングを完了し、課題のナンバー・・・
①ミスフィッツ『we are 138』
②ベンチャーズ『Pipeline』(アンスラックス・カバー・version)
・・・の2曲を「ひたすら無限ループ練習」する訳だが、メンバー初顔合わせの為、最初はバラバラだった演奏に、何となく徐々に素晴らしいグルーヴが生まれてきた。
そのグルーヴに夢中になっていた私達は、いつしかナチュラルトリップ「トランス状態」に突入!!
シラフて味わう甘い陶酔感の中、ひたすら繰り返し爆音を生み出していると・・
突然!!
スタジオのドアが開き、ブロンドヘアーの外国人の女の子が激しく踊りながら乱入してきた!!
予期せぬブロンド女子の乱入に、最初は驚いた私達だったが、バンドはそのまま一気にテンションアーーーップ!!
踊りまくるブロンド女子を連れ戻しに来た、友人と思しき日本人女子二名が登場しても、そんな事お構い無し!!
踊るブロンド女子!
狼狽える大和撫子×2!
爆音ロック!
阿呆な俺達!
踊るブロンド女子!
狼狽える大和撫子×2!
爆音ロック!
阿呆な俺達!
踊るブロンド女子!
狼狽える大和撫子×2!
爆音ロック!
阿呆な俺達!
女子!阿呆!女子!阿呆!
女子ーーーっ!
阿呆ーーーっ!
バンドの演奏はまさにクライマックスを迎えた!!
・・・で。
結局、日本人女子二名に連れられて、金髪女子は強制連行。
消えて行った。
その時、思ったんだ。
音楽って、国境を越えて楽しめるものなんだって・・・。
(いや、二曲共に海外の曲じゃね?)
後で分かったのだが、スタジオに乱入して来た金髪女子は、地元の高校の交換留学生だったそうな。
古き良き90年代を想いながら・・・