固定資産と減価償却
◯固定資産
固定資産とは、会社が長期間にわたり保有するものや1年を超えて現金化・費用化される資産のことです。このうち建物や備品など形のあるものを有形固定資産といいます。
固定資産は次の4つの勘定科目に振り分けることができます。
・土地
事務所、店舗、ビル、倉庫、駐車場など
・建物
事務所、店舗、ビル、倉庫など
・備品
椅子、机、パソコンなど
・車両運搬具
営業車、トラックなど
固定資産を購入した際は固定資産自体の価格(購入代価)だけではなく、仲介手数料や購入手数料などの取得にかかった費用(付随費用)も含めて処理します。
例)土地1000円を購入し、代金は月末に支払うことにした。その際に発生した仲介手数料100円と登記料100円は現金で支払った。
(土地)1200 (未払金)1000
(現金)200
※土地の値段=購入代価1000円+付随費用200円
◯改良と修繕
有形固定資産の価値を高めるための工事(改良)にかかる支出を資本的支出といい、該当する固定資産の勘定科目で処理します。また、現状維持のための工事(修繕)にかかる支出を収益的支出といい、修繕費として費用で処理します。
例)所有する建物に非常階段を設置する工事を100円で、雨漏りを直す工事を100円でしてもらい、現金で支払った。
(建物)100 (現金)200
(修繕費)100
◯減価償却費
減価償却とは、建物・備品・車両等の有形固定資産において時間経過に伴って価値が減少していくことを金額で表したものです。※土地は除きます。
減価償却によって費用として計上される金額を減価償却費といい、費用で処理します。
・定額法
減価償却費は取得原価・耐用年数・残存価格を使って計算します。
取得原価:固定資産の取得にかかった金額です。
耐用年数:固定資産が利用できる年数のことであり、法定耐用年数が定められています。
残存価格:固定資産を耐用年数まで使った際に残っている価値のことです。
減価償却費の計算方法はいろいろとありますが、簿記3級では定額法を利用して計算を行います。定額法とは固定資産の価値の減少分は毎年同じ額と考えて計算する方法です。
・間接法
減価償却費の記帳方法は直接法と間接法がありますが、簿記3級では間接法を利用します。間接法では固定資産の金額を直接減らすことはせず、減価償却累計額という資産のマイナスを表す勘定科目で処理します。
例)決算日において当期首に取得原価1000円で購入した備品の減価償却を行う。なお減価償却方法は定額法を用い、耐用年数10年、残存価格0円とし、記帳は間接法とする。
減価償却費=1000/10
=100
(減価償却費)100 (減価償却累計額)100
上記の例では期首に購入したので1年分の減価償却費を計上しましたが、期中に購入した場合は使った月の分だけ月割で計算します。
例)3月末の決算日において、昨年10月1日に購入した1000円の建物の減価償却を行う。なお減価償却方法は定額法を用い、耐用年数10年、残存価格0円とし、記帳は間接法とする。
減価償却費=(1000/10)×(6/12)
1年分の減価償却費 月割計算
=50
(減価償却費)50 (減価償却累計額)50
◯固定資産売却損益
固定資産を売却した際に生じた利益を固定資産売却益といい、収益で処理します。逆に損失が生じた場合は固定資産売却損といい、費用で処理します。
売却する際の固定資産の価値は取得原価から減価償却累計額を引いた金額です。そのため売却金額がこれよりも大きいか小さいかで判断をします。
例)期首において、車両運搬具(取得原価500円、減価償却累計額200円)を250円で売却し、代金は月末に受け取ることにした。
(減価償却累計額)200 (車両運搬具)500
(未収入金) 250
(固定資産売却損)50
例)期首において、車両運搬具(取得原価500円、減価償却累計額200円)を350円で売却し、代金は月末に受け取ることにした。
(減価償却累計額)200 (車両運搬具)500
(未収入金) 350 (固定資産売却益)50
上記の例では期首に売却した場合です。期中に売却した場合は使った月の分だけ月割で減価償却費を計算してから損益を考えます。
例)10月1日において、車両運搬具(取得原価500円、耐用年数5年、残存価格0円、減価償却累計額200円)を350円で売却し、代金は月末に受け取ることにした。決算日は3月末とする。
減価償却費=(500/5)×(6/12)
1年分の減価償却費 月割計算
=50
(減価償却累計額)200 (車両運搬具)500
(減価償却費) 50 (固定資産売却益)100
(未収入金) 350
※減価償却により固定資産の価値が50円下がったので、その分利益となる。