2022新潟県知事選をじっくり楽しむための参考図書特集①
早いもので新潟県知事選挙の告示が明日に迫りました。新潟県知事選挙をじっくりと見まもる上で参考になりそうな本を紹介していきたいと思います。
候補者のストーリー、選挙を取り巻く背景、新潟県の状況を少し知ると、つまらなかった選挙がずっと身近になりますよ。
国会議員と地方議員との関係に関する考察
地方議員は集票マシーンか
目次
第一章 国政選挙における地方議員の位置づけ
第二章 国政選挙で勝つ仕組み
第三章 「保守王国・新潟」の実情
第四章 新潟5区と星野県議
第五章 泉田知事と星野県議
第六章 衆議院選挙までの経緯
第七章 その後の泉田議員と星野県議
著者
勝野 淳一
昭和49年生まれ。福岡県出身。一橋大学社会学部卒。
平成11年、公安調査庁へ入庁。主にオウム真理教調査・分析に従事する。
平成30年4月~令和2年8月、新潟公安調査事務所勤務
令和4年3月、公安調査庁を退職し、政治研究の道に本格的に入る。
出版元
展転社
読書感想文
日蓮主義の影響を強く受けた極めて右派な出版社から出版された本。前回2018年の新潟県知事選挙も花角英世氏の応援演説でも杉田水脈氏、高市早苗氏、稲田朋美氏、桜井よしこ氏、安倍晋三氏など日本会議と縁の深い方々が比較的多かったこともあり、国粋主義の色濃いどれほど癖のつよい本かと構えていましたが、予想に反して「自民党」「泉田」「星野」をキーワードに淡々とこれまでの新潟の地方選挙の経緯を解説している。最後の第七章になると筆者の立場や思想が伝わる主観も交えた記述が増えてくるが、2000年代からの新潟の政局にフォーカスした本は多くはないので面白く読めた。130ページ程度の本なので、時間もかけずにストレスなく読み切れる。
前半部の選挙の戦い方では「人の気持ち」が選挙でいかに大きく作用するかがわかりやすく解説されている。やる気を出してもらうための心遣い、地方の複雑な利害関係への配慮について新潟を事例に説明されており、選挙において時々発生する"人が集まっているのに負ける"、これがなぜ起きるのかが理解できる。
中盤からは星野県議裏金問題に至る自民党党界隈の動きが細かく記されており、複雑な人間関係が分かりやすく解説されている。
読み進めていると新潟県知事選挙、衆議院議員選挙において安倍政権で幹事長を務めた二階氏の影響力を改めて認識する。そういえば、第6章の2017年新潟5区補選の候補者選びのエピソードで、新潟4区の当時二階派だった金子恵美氏の名前が出なかった。新潟4区 加茂市出身の泉田氏がなぜ5区から出たのか、様々な人間関係を細かく書いた筆者がここに触れないのはちょっと違和感を持つ。
ちょうどこの本の続きにあたるニュースが昨日流れた。本によると当時民主党の鷲尾氏は新潟5区補選で泉田氏を民主党から擁立させるべく動いた人物。経緯をさらって眺めるとこういったニュースも味わい深いものになる。
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