【episode1:死んだときの後悔(3)】劇場エンターテイメントものがたり 人生を「最高」に変える「リトル・エンマ」降臨
火の玉
「待たせたな、久しぶりの登場だ。ん? 待ってないって? まあいいや、おれは話したいときに話す、わくわくするからやる、しないからやらない、好きなものはスキ、嫌いなものはキライ、綺麗なものはキレイ、とってもシンプルだろ!?」
「あーちょっと間が空いたから、ここまでのエピソードのおさらいだ、まあ、ようするに、コエンマがシルクハットを被れば、あら不思議、奇想天外な出来事が起こるって訳さ、わかったかい!?」
コエンマの頭上、茶色のシルクハットはコエンマの顔をのぞきこむ。
「よくみるとコエンマの坊主じゃねえかあ、久しぶりだなあ、フーム、まーったく変わってないのう。しかし熟睡すれば何千年も起きないわしを叩き起こすなんぞ、相変わらずなんてバカ魔力してんだよオマエはよう」
「フーム、にしてもこりゃどうなってんだ」
それもそのはず、シルクハットが起きるのは約2千年ぶり。木と藁の家はレンガづくりになり、人々が身にまとうものはカラフルで丈夫になり、あたり一面の美しい空、心地よい香りのする森林は、人工的な煙に覆われている。
コエンマから2千年の出来事を聞いたシルクハットは、何を思うか、これまた、フーム、とだけ言った。
さて、ここからいよいよシルクハットの腕の見せどころ。
呼び出されたわけをコエンマに問う。そこでコエンマは「目の前の老紳士に例のあれを」と。シルクハット、老紳士をみてうなずく。そして次の瞬間、老紳士の頭に飛び乗った。
「は?、おい、何だこの気持ちの悪い帽子は。おい、誰かおらんのか、わしを助けろ、おい」
「では一度、死んでもらいましょうかね、、」
(・・はぁ?)
-プツン-
- あたり一面が暗闇に覆われる -
・・・
老紳士の意識はだんだんと、遠のいていく
・・・
周囲の声が遠くなっていく
・・・
身体が冷たくなっていく
・・・
心臓の鼓動が消えていく
・・・
家族との思い出がよみがえる
でも、もう二度と会えない
話せない
触れられもしない
・・・
・・
・
「ハッ!」
汗だくの老紳士にコエンマ語りかける
「おつかれさまです、どんな光景が浮かびましたか、何をしたいと願いましたか」
老紳士は、さむく、さみしい暗闇の中でひとり、心の底から「死にたくない」と願った。そして妻と子供の顔が思い浮かんだのだった。
「なんて後悔だらけのさみしい最後なんでしょうか。もう一度言います、このままでは死ぬときに後悔しますよ。これからも一人で生きていくんでしょうか」
「やかましい、ひとりはいいぞ、責任もない、面倒ごともない、気楽だ」
老紳士のこころに妙にさっきの光景がやきつく
茶色のシルクハットここでお役御免。
「ならおれは寝るぜ、何でもかんでも呼び起こすんじゃねえぞ、おれは便利屋じゃねえんだからな」
「はいわかりました、、まあ、でもこの老紳士のこれからしだいですがね」
*episode1死んだときの後悔(完)*
- 今日を幸せに生きる心得 -
「本当は、何がしたいんですか?」
*次回予告「あらたな人生への船出」*
火の玉
「なかなか素直になれねえ老紳士、これからがコエンマの本領発揮よ、魔力だけじゃねえ、多くの人間の死を見てきた知恵がさく裂するぜ!!!」
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