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沖縄県南大東村を踏破 その3<日本全市町村踏破(制覇)>

2018年4月29日。ゴールデンウィーク沖縄未踏市町村集中踏破二日目、第二村、南大東村。
南大東島にやって来て、市街地や南部、東部の展望台、海岸、神社などを見学し、今度は北中部の大池へ。

大池は、礁湖と呼ばれる、サンゴ礁内部の、外洋から半ば隔離されて湖のようになった海域が、サンゴ礁が隆起して陸地化した後、取り残されて完全に海と切り離されて出来たものである。元は海であるが、長い間に淡水化した。

ここには、国指定天然記念物のオヒルギ群落がある。オヒルギとは、いわゆるマングローブ林を形成する、水底の地面に根を張り水上に幹が伸びる樹木である。マングローブは通常河口など海水と淡水が混じり合う汽水域に形成されるが、大池の場合は、礁湖時代に形成されたものが、淡水湖となってもそのまま継承されている、「陸封型」の極めて珍しいマングローブである。

大池は、森に覆われて湖畔には近付き難いが、このような展望台が設けられている。

展望台から見た大池。池と言う割にはなかなかに巨大だ。実は、天然の湖沼としては、南西諸島最大である。

野鳥も多く、湿原の雰囲気。これだけ見たら、隆起サンゴ礁の島とは信じられない。

島西部の大東神社へ。ぐるっと周って、集落にも近い場所である。

大東神社は、明治の開拓当初、開拓者達がこの山に天照大神を祀った事に始まる。当初は大神宮と称していたが、戦後大東神社と改められた。

南北大東島のうちで、最も立派な社殿。

社殿の左脇に建つ金刀比羅宮。北大東島にも建つ海上安全の神社。「大東」の名を冠する中心的な神社、金刀比羅神社、秋葉神社と、南北大東島では鎮まる神社が共通している。ともに、八丈島からの移住者が主体となって開拓した島で、戦前は同じ企業の支配する島であった為、当たり前と言えば当たり前であるが。

北大東島の大東宮と同じく、こちらにも東洋製糖のイニシャルをデザイン化した紋(社章か)が、手水鉢に彫られている。日本広しと言えども、手水鉢にアルファベットが彫られている神社は、大東諸島にしかないのではなかろうか。

開拓初期の上陸記念碑。

大東神社には社務所もしっかりある。

南大東島では相撲が盛んなようで、境内の土俵脇には、神社例祭時の奉納相撲での歴代勇者と、歴代大関が掲げられている。

造林記念碑。南大東島開拓当初は、瞬く間に島じゅうの樹木を伐採して、荒涼たる景色となってしまったが、絶海の孤島において、樹木は衛生上も景観上も重要だという事で、大正九年より造林を開始したとある。大東神社の社叢は、その代表的なものなのだろう。

境内に建つダイトウオオコウモリの記念碑と案内。ダイトウオオコウモリは南北大東島の固有種である。

日没も近いので、大東神社に近い島の西岸に出てみたが、陽は雲に沈んだ後だった。南大東島も、北大東島と全く同じで、島の海岸は全て隆起サンゴ礁の岩場であり、険しい。

今回の宿、月桃ムーンピーチに戻って夕食。当然ながら、魚介がふんだん。大東諸島の料理は、開拓の主軸である八丈島移民が持ち込んだ料理と、労働者や小作人として渡って来た沖縄移民が持ち込んだ料理の、融合したものである。

こちらはタームー(田芋)。沖縄ではよく見かけるデザート的食材で、祝い事の時に食べる。大東諸島では著しく生産量が低下していて、貴重だとか。

こちらもデザート、ほおずきの実。同宿の人達や、宿を管理する比較的若い夫婦、また土地の持ち主らしき老夫婦とで食卓を囲んだが、老主人は島の民俗や自然に詳しく、様々な話を聞いた。学者・研究者も訪ねて来るらしい。

今回の宿、月桃ムーンピーチでは、名前の通り、月桃風呂が一つの売りになっている。

月桃は、沖縄ではよく知られた植物で、葉で餅を包んで蒸す。また、葉から取った油は甘い芳香を放ち、アロマオイルや香料として使われる。種子は胃腸に効くの漢方薬や、健康茶となる。ここの売りである月桃風呂は、入浴剤(葉から抽出した液だろうか)を湯に混ぜたもの。殺菌効果が高いという。

宿の庭に自生(?)する月桃。ちょうど花が咲いていた。月桃はあまり栽培されることはないらしいが、北大東島では月桃茶が製品として売られていたので、大東諸島ではそこそこ栽培されているのかもしれない。

この日は、夕食で食卓を同じくし、隣の部屋に泊まる(少なくとも筆者よりは)若い男女三名の旅行者とともに、酒を飲みつつ、よもやま話に花を咲かせた。

市町村踏破数は前回投稿から変わらず。

沖縄県全41市町村のうち、31市町村踏破、残り10市町村、達成率75.6%。
九州・沖縄全274市町村のうち、263市町村踏破、残り11市町村、達成率96%。
日本全国1741市町村のうち、1723市町村踏破、残り18市町村、達成率99%。

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高橋御山人
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