
69歳のタクシー運転手との会話
予約したPlayStation VR(PSVR)を受取りに有楽町のビックカメラに行った。その帰りにタクシーに乗った時のエピソード。その時の運転手さんはラジオDJのようなほんと軽快なトークで非常に楽しかったのと心に残ることがあったので思い出して書き起こした。
GOROman: 「ーーー(目的地)までお願いします」
タクシー運転手: 「あー、そのビルだったら反対車線ですよ。遠くなるから、降りてあっちから乗った方がいいですよ。」
GOROman: 「そうですか。。。まあ、いいですよ。お願いします。」
タクシー運転手: 「いいの?じゃあこのまま真っすぐ行って遠くなっちゃうけど。」
(しばらくして、後ろをチラチラ気にする様子)
タクシー運転手: 「お客さん、その紙袋の気になってるんだけど何??朝からそれ買って持ってる人みてるんだよ。」
GOROman: 「これですか?これは、バーチャルリアリティといって映像の中に入ってしまえるような機械です。プレイステーションにつないで、VRといって(以下、ながながと薀蓄)」
タクシー運転手: 「あー、ごめん。お客さん。せっかく話してくれたけどぜんぜん理解できんかったわ・・・。」
GOROman: 「一言でいうとテレビの中に入れちゃう感じです。テレビは平面ですよね?」
タクシー運転手: 「え?どういうこと3Dの映画とかテレビと違うの??どういう機械???」
GOROman: 「3D映画はスクリーンがあって飛び出すだけじゃないですか、これは、本当に海の中とか旅行とかできちゃう感じです。上をむいたら空が見えるし、後ろも見える。」
タクシー運転手: 「え!旅行できるの?それはどうやってつくるの?映像を買うわけ??」
GOROman: 「コンピュータの映像です。」
GOROman: 「(パッケージを取り出しながら)こんな感じのです。メガネみたいに顔に被る感じ。」
タクシー運転手: 「へぇー、顔につけると映像が見えるの?(まったくよくわからない様子)」
タクシー運転手: 「どっかで映像を撮るの?誰かが(テレビのイメージ)」
GOROman: 「そうそう。世界中で作ってる人がいます。コンピュータの映像です。」
タクシー運転手: 「で、テレビのチャンネルみたいに一杯あるわけ??映画選んだり。」
GOROman: 「そんな感じですね。この中でソフトを買ったり」
タクシー運転手: 「あー、いろいろ買うんだ」
タクシー運転手: 「この機械はいくらするの??」
GOROman: 「5万円くらいですね」
タクシー運転手: 「へーーーーー」
PSVR発売日の様子
タクシー運転手: 「今日は朝6時位からこの辺走ってたわけ。でビックカメラのとこ通ったら」
タクシー運転手: 「こちらは予約してる方のお並びの列ですとかなんとか、言ってるわけよ。それでまたごちゃごちゃって他に行く人もいて。それでなんだろうと思ってその時はわからなくて。」
タクシー運転手: 「それでね、二回目も並んだの。8時半くらいかな。そしたらほら、買った人が乗るかと思って。」
GOROman: 「で、待ってたわけですか。」
タクシー運転手: 「そしたらまた他の人が乗っかってて。で、今回、お客さんが乗ってきて、ほ?!っと見たら、持ってる!!これは、持ってる!と思って!」
GOROman: 「ああ、これは聞いてみよう、と思ったんですね。これは何なんだ?!みたいなw」
タクシー運転手: 「そう、いったい何なのか聞かなきゃ!と思ってw。何なんだ?!、って本当、何なんだ?!ですよ!!」
GOROman: 「朝いったい7時とかって何人くらいいたんですか?」
タクシー運転手: 「あの、何人かっていうよりは、もう行列。ビッグカメラの信号あるでしょ?外堀きて。左へ曲がるとビッグカメラこうあるじゃないですか。で、僕はこうきてこう並んだから、ちょっとわからないけど、相当並んでた!!」
GOROman: 「相当いたと言うわけですね。」
タクシー運転手: 「それでね、もう二回目に並んだ時にはレジがあいてたの。まだそん時は全然10時前よ。9時くらいかな。レジが7台あった!・・・・でね、勘定したの!いくら儲けるんだ、これは、と。」
GOROman: 「わはは!。どのくらい儲かるんだ、これは!と?1台いくらなんだ?!みたいな」
タクシー運転手: 「それで、こっちの方の親分みたいな、チーフみたいな人が、お一人様、こっちって案内して、で別の人間が、はいどうぞ、はいどうぞ、ってやるわけよ。そうすると、レジの前に、なんかぶら下がってるの。なんか紙みたいなやつが。その紙をとって、一緒に買う人がいるの。」
GOROman: 「あれは、抽選券でしょうね。番号でやってたから。それは。」
タクシー運転手: 「あ、そうなんだ!それでね。確かに、とにかく、とにかく、すげえ儲けだろうなって。」
GOROman: 「わはは」
タクシー運転手: 「で、時間前だから、10時前だから、これはすっごいなあ〜と思ってさあ。」
GOROman: 「多分今日のニュース番組とかで、いろいろ出ると思いますよ。」
タクシー運転手: 「そう、そう、すごいのよ、カメラがね!」
GOROman: 「いっぱいいましたよねえ」
タクシー運転手: 「フジテレビが来てて、あと、ZIP! (日本テレビの番組)が来てて・・」
GOROman: 「あ、ZIP!いましたね、さっき」
タクシー運転手: 「そうでしょ!いたでしょ!それから・・・、もういっぱい!とにかく全部来てた!。カメラを持ってるのと、マイクを持ってるのが、こうやっていて。だけどね、女のキャスターがいなかった。全部男ばっかだった。」
GOROman: 「あ、男性ばかりでしたか。」
タクシー運転手: 「いつも女のこう若い子がいてねえ、それ見るのが楽しみの一つなんだけど、今日は女いない!みんな男!」
GOROman: 「なるほど。まあこう言う新しもの好きは、男の人が多いかもですねえ。」
PSVRへの興味
タクシー運転手: 「それ(PSVRのこと)、これからお客様は、そのままおうちに帰ってすぐやるわけ?」
GOROman: 「いやいや、一回会社に行きますよ。」
タクシー運転手: 「あ、これ置いて!」
GOROman: 「はい、会社に。」
タクシー運転手: 「まず大事なものを置いて!」
GOROman: 「そうですね。」
タクシー運転手: 「『ちょっと・・・タクシーが、事故やっちゃって』、って言って二時間くらいあけて、それやらないと!せっかく5万円で買ったんだから!!」
GOROman: 「わはは」
タクシー運転手: 「タクシーの運転手がなんだかぶつけちゃって、ちょっと遅れます!」みたいな。」
GOROman: 「『すみませーん!』みたいな」
タクシー運転手: 「なんかもう遅れる!って証言してあげるから。」
GOROman: 「それで家でこれ(PSVRのこと)やってからね、会社にね(笑)」
タクシー運転手: 「それで、『え、事故?誰の事故?』なんてね言っちゃダメですよ。会社の責任になる!」
GOROman: 「僕、これはね、20年くらい待ってたんですよね、やっぱり。いつか、映像の、テレビの中に入れると思ってたんですよ。いつの日か。」
(PSVRをポンポンと叩きながら)
タクシー運転手: 「あ、もうそんな20年も前からそう思ってたんだ!」
GOROman: 「そうそうそうそう。」
タクシー運転手: 「いつの日かテレビの中に入れると!」
GOROman: 「そうそうそうそう!映像の中に入れる時代が来ると思っていて。」
タクシー運転手: 「で、それが出たわけ!」
GOROman: 「そう、そうなんですよ!」
タクシー運転手: 「じゃあ、もう予約して。」
GOROman: 「そう、そうなんです。嬉しいですよね。」
タクシー運転手: 「そりゃそうでしょう!」
GOROman: 「生きてるうちにねえ、全然違う世界に行けるわけですから。海の中でも宇宙の中でもどこでも旅行できちゃうわけですし。」
タクシー運転手: 「はぁ〜、すごいねえ・・・すごい時代だねえ・・・すごい時代ですよ!!!!!!」
時代の変化と技術との関わり
タクシー運転手: 「僕がね、45の時にね、いま69歳だから、えーと、45歳だと、25年前?」
GOROman: 「25年前ですね」
タクシー運転手: 「25年前にね、会社でこう言われたのよ。"40過ぎた人間はいい。だけど40過ぎてない人間がコンピューターできなかったら辞めてもらうよ!"と。こう言われたの!」
GOROman: 「おお〜。じゃ、けっこう、当時すごい進んでますね。」
タクシー運転手: 「で、45だから、40過ぎてるから、やらなくてよかった。」
GOROman: 「わはは」
タクシー運転手: 「で、やらないでいいから、今こうやっていろんなことを聞いて、で、娘に言われたのじゃないけど、「本当にガラパゴスね」、と。だから、スマホなんか使えないわよ。」
GOROman: 「でも、その時代にこんなコンピューターを世界中の人が使うなんてなかなか思えないじゃないですか。」
タクシー運転手: 「そう!!!そう!!!だから、要するに、コンピューターをバカにすることが僕らの一派の合言葉。」
GOROman: 「ああ、あんなもんが・・・ってw」
タクシー運転手: 「『コンピューター、コンピューター』って、バカか?!!と」
GOROman: 「わはは、なるほど」
タクシー運転手: 「で、野村が、野球のね、キャッチャーの。あれが、コンピューターなんとかってやり始めた時に、『バカだな!ああ、ノムももうこれで終わりだな!』と。」
GOROman: 「コンピューターとか言いやがって! みたいな」
タクシー運転手: 「『コンピューターで野球ができるか、バカやろう! 』って。ね、『だからヤクルトダメなんだよ! 』ってそんなことを言ってたの!」
GOROman: 「わはは。じゃあ、『まさか、まさかこんな風になるとは!』みたいなことなんですね。」
タクシー運転手: 「その一派がけっこう多かったのよ。」
GOROman: 「なるほどなるほど。」
タクシー運転手: 「要するにだからさ、こんなにさ、すごい変革の時代に生きたのよ!僕は。」
GOROman: 「そうですね。まさに。」
タクシー運転手: 「そこに、乗り損なったやつが、ついていかない!」
GOROman: 「なるほどなるほど。」
タクシー運転手: 「もう、こうなった以上、ついていかないことを、誇りに思っている!」
GOROman: 「わはははははは。あえて!」
タクシー運転手: 「そう、あえて!生涯、これ(ガラケー)だ!」
GOROman: 「いいと思いますよ」
タクシー運転手: 「これ(ガラケー)だってさ、抵抗あったのよ、最初は。」
GOROman: 「ああー。「携帯なんて!」って?」
タクシー運転手: 「そう、全部うちスマホになったけどさ、俺だけは。女房偉いよねえ。ほとんど同じ年なんだけど、スマホやってこんなことやってるよ!」
GOROman: 「いやあ、あれですよ。今かえって、コンピュータが易しくなってるんですよ。人に近づいて、優しくなってるので。」
タクシー運転手: 「そう!だから、そういう風にね、頭じゃ、理屈じゃわかってるんだよ? 要するに、すごいことができて、簡単になってるって。だから、娘じゃないけど、『お父さんの使ってるこのガラケーの方がよっぽど難しいのよ』って。」
GOROman: 「ああ、そうですね。」
タクシー運転手: 「ただね、覚えちゃうわけでしょ。一回、真剣に覚えたわけよ!」
GOROman: 「ええ。そうなると、なかなか次のものに代わる、っていうのが難しいですよね。」
タクシー運転手: 「その通り!!!要するに、もう変えたくないのよ!人生をね!」
GOROman: 「わかりますよ。大変じゃないですか?一からやり直すの。」
タクシー運転手: 「そう!!大変なのよ、いくら簡単になってもね!」
GOROman: 「『簡単』をやり直さなきゃですもんね。練習をし直さないといけないですからね。」
タクシー運転手: 「そう!!もうーやだやだ!!!。どうして、そういう風に言ってくれるようにならないのかな・・・うちの娘は・・・・。」
GOROman: 「はははは」
タクシー運転手: 「けなすばっかりなんだよねえ。『全然、こっち(スマホ)の方が簡単で!すごくいい機能がいっぱいなのに!』って。」
GOROman: 「それは、使ってみないとわからないですからねえ。結局。」
タクシー運転手: 「ねえ。もう、いい。もうガラケーだけで死んでいきたい。」
GOROman: 「ははは」
タクシー運転手: 「あ〜でも、そう、そんな風(VR)になってるの。じゃあ、倅(せがれ)も買ってるなあ。」
テクノロジーの衝撃
GOROman: 「これ(VR)は本当に、ラジオがテレビになったくらいの衝撃ですからねえ。ちょうどいいタイミングだと思いますね、今日という日は。」
タクシー運転手: 「ああ、そう。そうなんだぁ・・・。あ、次の信号左ですよね。」
GOROman: 「あ、はい。ありがとうございます。」
タクシー運転手: 「うーん・・・・(考え込む)」
GOROman: 「本当、難しいんですよね。その、ラジオしかない時代に、テレビを説明するくらい、これを説明するのは。」
タクシー運転手: 「あー、絶対わかんない!!」
GOROman: 「だから、これをテレビで、ニュースで取り上げても、たぶんほとんどの人がポカーンってなると思いますよね。」
タクシー運転手: 「ああー。これ、どこが作ったんですか?」
GOROman: 「これ、ソニーさんですね。」
タクシー運転手: 「また、ソニーの株が上がるんだ。」
GOROman: 「どうでしょうねw。わかんないですけどw。ただ、あのソニーさん以外にもいろんな会社が今こういうのを作ってるので。昔、すごいパソコンが流行ったみたいな感じですよね。」
タクシー運転手: 「ああ、そうなの!」
GOROman: 「そうそう、20年くらい前に。」
タクシー運転手: 「ああ、流行りましたよ!」
GOROman: 「そうそう。テレビのCMがパソコンだらけの時が。」
タクシー運転手: 「ああ、そうそうそうそう。」
GOROman: 「それに近い感じがしますね。」
タクシー運転手: 「そん時に、うちの会社もパソコン入れて。」
GOROman: 「『もう今はコンピュータだ!』って言って?」
タクシー運転手: 「そう、で「40過ぎてたらいい」「無理は言わん」と。」
GOROman: 「その代わり「40以下だったら、やりなさい」と?」
タクシー運転手: 「そう!『やらなければ会社は辞めてもらう』くらいだったのよ。」
GOROman: 「ああ、そのくらいだったんですね。」
タクシー運転手: 「そん時45歳だったから、セーフ!!!」
GOROman: 「セーフ!。「覚えなくて、済んだ!」みたいな」
タクシー運転手: 「それがいいか悪いかわかんないだろう?」
GOROman: 「なるほど」
タクシー運転手: 「覚えなくて済んだこと。それが、今となっては非常に悪くなっちゃったよね・・・。」「ここで止めていい?」
GOROman: 「はい、ありがとうございます。」
GOROman: 「支払いはコレ(SUICA)で」
タクシー運転手: 「はい。これも一生懸命覚えたんだよ・・・。」
「お客さん、ありがとう!」
おわりに
最後に支払いをSUICAでしたんだけど、運転手さんは巧みに機械を操作していた。
そうコンピュータ大嫌いで頑なに拒否してきたはずが、もうコンピュータは空気になって生活に溶け込んでいたんだ。
おわり。
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