Dream バイバイ。7話目

『時代は西暦2072年、今より少し未来のお話。
私達は夢を売り買いする、夢制作会社
『Dream buy bye』
私はその映像制作の編集者の一人、山口梅子(やまぐちうめこ)。25歳。この会社に入って3年目。

今日も、夢を買いに来られたお客様がいらっしゃいました。
まずはどの様な夢をお求めか、お聞き致しましょう。』

ーー佐々木 優二(39歳)、友梨(36歳)、友美(7歳)の場合ーー
優二「こんにちは。こちらに夢チップを取りに来るように連絡を頂いたものです。」
梅子「初めまして。私どもは佐々木 友梨さんのご依頼を受け、夢チップをお作りした物です。
友梨さんが生前の頃にお越し頂きました。
亡くなられた際に役所の方から通知が来るということで先月連絡頂きまして、友梨さんのご希望で、亡くなられてから1ヶ月後に優二さんの方へ連絡して取りに来て頂くということでしたので、ご連絡差し上げました。こちらが夢チップになります。」
箱に入った二つの夢チップを渡す。

優二「はあ。夢チップですか。。二つあるのは?」
梅子「ご主人様と娘さんの分だそうです。夢の内容が異なります。
また、娘さんはまだ7歳ということで、脳への負担やお伝えする内容もありまして、娘さんには12歳になるまで、渡さないで欲しいという事だそうです。」

優二「あの〜。なんで夢チップなのでしょうか?友梨はこの事について何か言ってましたか?」
梅子「友梨さんは自分の生きられる時間が、そう長くない事を分かっておりました。
自分が居なくなったら、ご主人様と娘さんはひどく悲しまれるだろう。
特にご主人様は悲しみに打ちひしがれて、元気が無くなってしまうかもしれない。と、自分が亡くなった後のご主人様のご様子を酷く心配されておりました。
わざわざ夢にせずに動画で残せばいいかもしれないけど、そうしたらご主人様はその動画を見続けるに違いないし、いつまでも残っていない方がいいと思い、夢で見るくらいが丁度良いのよ。って微笑んでおりました。
とてもお互いを愛されている仲の良いご家族なのだと思いました。」

光を失った虚な目で、手に持っている夢チップを見続ける優二。

梅子「娘さんにはお母さんがいつまでも見守っているよって言うことと、大きくなったらお父さんの様に優しい素敵なボーイフレンドを見つけてねって言うメッセージが入っています。
娘さんがお年頃になったら、是非お渡し下さい。
母親として大きくなったら伝えたかった事、伝えられなかった事が入っておりますので。」

梅子「ご主人様のお気持ち、大変お辛いとお察し致します。
ですが、どうか友梨さんの分も元気に生きて、時折、友梨さんを思い出してあげて下さい。この夢チップがそのお手伝いができたら、幸いだと思っております。」

梅子「本日はお越しいただきまして、ありがとうございました。」

continue…

Dream バイバイ。 8話目に続く。

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ラン丸
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