『十一人の賊軍』を見て(ネタバレあり)
まず、初めに断言いたします。
『この映画は音響施設がいい映画館で、爆音&大スクリーンで見るべし。
絶対に、映画館で見るべし!!
配信待って、家で見よう。なんて考えるなかれ!!』
(本記事による敬称略、ご了承願います。)
いよいよ本日11月1日に公開しました、こちらの映画『十一人の賊軍』。
早速、朝イチの回で見てきました。
私が映画を映画館に見に行きたいポイントは幾つかあるのですが、
・自分が今まで見てきた作品から、好きな監督か?
・好きな俳優さんが出ているか?
・予告編を見たら面白そうだから。
・シリーズものだったら、好きなシリーズか?
・映画館で見たほうが良い規模のものか?(アクションとかSFとかスケール感があるやつか?)
また、
・映画館も単館が合う映画か?大きな音響施設が整った映画館で見たほうが良いか?
など考えるのですが、
今回のこちらの映画は私的に、
白石和彌監督→大好きな監督
山田孝之、仲野太賀、阿部サダヲ、岡山天音→もうこの俳優の面子で面白く無いわけがない。
あと、予告編が面白そうだったから。
でも今までの私であれば、これだったら配信待とうかな?って思いますが、
今回の私は何故か、映画館に行って見なければならないという思いが強かったので見に行ったわけですがその予感は正解だったし、声を大にして言いたいし伝えたい。
『これは映画館に行かずして見たと語れない映画だと。』
銃声、剣と剣が当たる音、環境音、爆破音、生活音、出ている人たちの息遣い、そして、後半になればなる程、胸が締め付ける様な賊たちの、魂を吐き出す叫び声。音楽。
当たり前だけど、音も演技の一部というか、音がなければ成り立たない映画でした。
松隈ケンタと監督がヨーロッパまで音を録音しに行ったりと、かなり音にこだわっていた様です。
『孤狼の血』などを見ていても思うのですが、相変わらず血の表現や人の残忍さには容赦しない白石監督ですが、
赤丹役、尾上右近がこの血生臭く息苦しい世界にクスッと軽快なテンポをもたらしてくれるキャラでした。
登場人物一人一人本当にあのバタバタしている中でキャラが立っていて、その人となりが垣間見れて、私は最後の方は「誰一人死なずに皆んな生きてーー!」と必死に応援していました。
引導役、千原せいじは最初こそ、もう気持ち悪いしなんなん?この人って感じでしたが、最後の方にはめっちゃええ人やん!って思えたし、
おろしや役、岡山天音は気難しい役だなと思いながらも、頼りになるし、皆んなことちゃんと助けてくれるし、最後に打たれるところは、思わず見ていて「あ!!」って声が出ちゃいました。
爺っつぁん役の本山力の長い槍捌きは見事で、殺陣は流石としか言いようがなく、
本当に強い剣術を見ているので、その世界観に現実味をもたらせるのに十分な迫力があり、めちゃくちゃカッコよかったです。
この方も刺された時は、思わず声が出そうになりました。
(もう、途中からずっと口をハンカチで抑えて見てる状態😭)
政役、山田孝之の存在はスクリーンからも圧を受ける程の生命力を感じて、本当にこの男だけは何があっても生き延びそうと思えたところに、ノロを逃す時には優しい話し方と顔であの壮絶なラストを迎える。
元々、根っから情に厚い男なんだと感じさせてくれる山田孝之の演技は圧巻でした。
鷲尾兵士郎役、仲野太賀の演技は表情にあり、特に目に宿る魂は真っ直ぐで、純粋さがとても力強い。
人柄が滲み出るというか、この人は応援したくなる。そういう人をさせたらこの人の右に出るものはいないと思います。
(少なからず、仲野太賀が演じた役で、コイツ嫌だな?って思う人は私が見てきた作品の中では居ないです。)
そんな彼の最後に溝口内匠に向かう様は、凄かったです。
語彙力無さすぎですが、凄かった。壮絶だった。としか言えないくらい、凄い演技でした。
そして溝口内匠役、阿部サダヲ。
私はこの方のファンでもあるので(20年以上前から、大人計画の舞台も何度も見に行ってるくらい)、相変わらずのバケモノっぷりにゾクゾクしてしまいました。
何を考え、何を見てるのか分からない表情。
百姓の首(実際は疫病患者)を切り落としてる時の返り血を浴びてるのに、瞬き一つしない見開いた目。
仲野太賀と対峙してる時の表情、残忍さ、平気で銃で打つところ。
あああああーーー。狂ってる。
でも、結果、この人がやったことで新発田藩は守られ、城下町も守られた。
もう、こうなると何が正しくて何が正しくないのか。
誰の為に戦い、何の為に命を落としたのか、皆んな分からない。
正義とは?
戦いの根底には、それぞれの正義があって、それぞれの正義がぶつかる。
何をもって正義となすのか?
人は生きていく限りこの壁にぶつかり、戦いは途絶えない。
戦国の時代と現代は違えど、戦いは途絶えない。
せめて、政の愛する人が幸せに暮らしてくれれば、これを見てる人達の希望であり、救いなのだから。
とにかく熱い熱い映画でした。
ラン丸でした。