2020年観た映画を勝手に振り返ろうのコーナー
■はじめに
あけましておめでとうございます🎉 年明けの大変お忙しい中、このような駄文を読む気になっていただきありがとうございます!いわゆるシネフィルの方々からすればおこちゃまですが、私は年間50本は映画館で映画を観ようと決めています。そして、毎年年末にはその年のベスト10を決めてインスタで発表していました。今回インスタではなく、noteで書こうと思った理由はたくさんあるのですが...。私の感想が誰かの映画選びの役に立てばいいなという想いと、インプットしたからにはきちんとした場でアウトプットしたいという想いが大きな理由です。まあ、どちらもつまるところ自己満足です。だからこそ、自分勝手な駄文に付き合っていただく皆様には感謝しています。退屈な思いだけはさせないよう努力しますね。
■私の考える映画とは
偉そうな見出しでお恥ずかしい。インスタではつらつらとベスト10を発表するだけだったのですが、今回はnoteなのでちょっとだけ読み物感をアップさせたいなと思い...。”私は映画をこんな風に考えているよ”というのを書かせていただけたら嬉しいです。てか書くよ。「そんなのはいいから、ベスト10だけ発表せんかい!」という方は読み飛ばしてね。ただ、その人が映画をどのように考えているかによって感じ方って変わり、それがベスト10にも影響すると考えています。「だから、このベスト10なのね!」となると思うので、少しだけ付き合ってみてもいいんじゃないですかね。知らんけど。
さて、前置きが長くなりましたが、私が考える映画について語ります。私なりの言葉で定義させてもらうと、「映画とは、”見る”という行為を通じて、なにかの人生を追体験することができるもの」だと考えています。大事なんでボールドしちゃいました。これだけじゃわからないと思うので説明します。
私たちが映画を観るときに、映画館だろうがスマホだろうが、まずはスクリーン、または画面を見ると思います。しかし、実はその時に見ているのはスクリーンや画面ではないのです。いや、スクリーンや画面は見ているのだけれども、それらを通じて、作品の中の様々を観ていると思うんです。「なにを言い出すかと思えば、そりゃそうだろ!」ってなるかと思いますが、それこそが映画の絶対的に壊れない要素の1つであることは否定できないと思います。映画は”見る”娯楽なのです。
そして、スクリーンや画面という「第3の目」を通じて私たちが観るものは、時間という制約の中に収められたなにかの人生です。それは作品がSFだろうが、サスペンスだろうが、ドキュメンタリーだろうが変わりません。2時間という長さなのか、はたまた1分なのか、もっと長くて80年なのか。さらには、それはスポーツ選手なのか、犯罪者なのか、空を飛ぶ鳥なのか、もしくはもはや生き物でもないのか。描かれるジャンル・時間・対象に違いはあったとしても、描かれる内容はなにかの人生です。私たちは映画を通じて、そのなにかの人生を「第三の目」を使って傍観者として追体験することができるのです。それもまた映画の持つ絶対的に壊れない要素の1つだと私は考えます。映画は”体験する”娯楽なのです。
長くなってしまいましたが、以上が私が考える映画です。なにを言いたいのか、書いてるうちに良くわからなくなってきてしまいましたが、私の映画鑑賞における絶対的ツボは2つ。”見る”ということを感じさせる要素があること、そして、”体験”として感動させられる要素があるということ。この2つが個人的なツボだと思っています。でも正直今までほとんど無意識でした。今回のベスト10を選んでいて、そしてこの文章を書いていて気づかされました。言語化するって大切ですね📒
■本題
自己満足もいい感じになってきたので、そろそろ待ちに待った(?)本題に入りたいと思います👍
まずは今年観た映画をずらっと列挙していきたいと思うのですが、ここで訂正を1つ。冒頭で、「年間50本は映画館で映画で観るようにしている」と書いておきながら、今年観た映画は程遠い合計37本でした...。理由としては、コロナで4.5.6月ぐらいの映画がごっそり抜けちゃったからです。苦しい状況にあった映画業界のためにももっと観たいという気持ちはあったのですが、自分自身の余裕のなさと時間の制約などがあったのも事実です。今年はこれで順位をつけたいと思います。では、37作品をさらっていきましょ♬
1. アナと雪の女王2
2. マリッジ・ストーリー
3. フォード VS フェラーリ
4. ジョジョ・ラビット
5. パラサイト 半地下の家族
6. ナイブズ・アウト / 名探偵と刃の館の秘密
7. チャーリーズ・エンジェル
8. 37セカンズ
9. 初恋
10. ミッドサマー
11. ハーレイ・クインの華麗なある覚醒 BIRD OF PREY
12. ストーリー・オブ・マイライフ / わたしの若草物語
13. エジソンズ・ゲーム
14. 透明人間
15. WAVES / ウェイブス
16. ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー
17. アルプススタンドのはしの方
18. 2分の1の魔法
19. はちどり
20. 事故物件 怖い間取り
21. 窮鼠はチーズの夢を見る
22. mid90s ミッドナインティーズ
23. TENET テネット
24. 劇場版 ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン
25. 浅田家!
26. 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
27. 朝が来る
28. 82年生まれ、キム・ジヨン
29. さくら
30. STAND BY ME ドラえもん2
31. 羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来
32. スパイの妻
33. 魔女見習いをさがして
34. ウルフウォーカー
35. 燃ゆる女の肖像
36. 私をくいとめて
37. 佐々木、イン、マイマイン
これを打つ作業が意外と大変でしたというご報告はしておきますね。ざっと見て今年観た映画の特徴としては、コロナの影響もあってか洋画が少なめだなと思います。しょうがないことだとは思いますが洋画は海外での公開延期が頻発したので、その余波を食らって日本でも延期になるという事案が多かったですね。その分、邦画やアニメ率が例年に比べて異様に高いですね。特にアニメに関しては8本も観てますね。しかもどれも豊作だったんだよなあ。ちなみに「鬼滅の刃」は2回観ましたよ。煉獄さん大好きです🔥🔥🔥🔥あとはNetflixなどの配信限定の作品は、今回の鑑賞数には含めておりません。ただ配信限定作品だけど、映画館で公開もされて、そこで観たものは含めています。これについては色々書きたいことがあるので、気が向いたら別の記事で書きたいと思います。たぶん気は向かないと思いますが...。映画館好きなんです、はい...。
■ベスト10発表~~~~!!!
やっとここまで来ました...。長々とここまでお付き合いいただいている皆様、ほんとありがとうございます!また、諸々をすっ飛ばしてここだけ読む方、一端の参考になれば幸いです!それでは、いきましょう!!!
第10位:マリッジ・ストーリー
<あらすじ>
女優のニコールと夫で舞台演出家のチャーリーが結婚生活に葛藤を抱え、離婚に向かっていく姿を描いたヒューマンドラマ。結婚生活がうまくいかなくなり、円満な協議離婚を望んでいた2人だったが、それまで溜め込んでいた積年の怒りがあらわになり、弁護士をたてて争うことになってしまう。
(映画.comより引用)
いきなり2019年の映画で申し訳ございません。映画館で観たのが今年だったので入れさせていただきました。Netflix配信作品であり、アカデミー作品賞ノミネート作品です。
まず、マリッジ・ストーリーというタイトルながら、展開されるのは子供の親権をめぐる離婚劇というのが、皮肉が効いてて好きです。でも、このタイトル以外なかったと思います。アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンという、アカデミー賞ノミネート経験のある演技派2人の圧巻の熱演も相まって、お互いの身を削りながら罵り合うシーンは地獄のようで、この2人の結婚は永遠に戻ってはこないのだと感じさせます。でも、随所でこの2人が愛し合っていたのだとひしひしと感じる描写を挟み込んでくるのが、本当に苦しくて...。お互いの好きなメニューは言わずもがな把握していたり、髪を切るタイミングだって手を取るようにわかる。結婚という形は消えてしまっても、2人が愛し合っていたという事は決して消えない。離婚・別れをきっかけにすることで、そこに至る2人の愛の過程を強烈に感じさせる脚本に痺れました。また、同じカット割りを時間や場所の違う場面で使用することで、時間経過や哀愁を感じ考えさせられるように設計されていると思います。まさに人生を切り取って見せる映画ならではの演出で感動しました。
弱点があるとすれば、この話って男側にだいぶ甘いようにも思えるため、女性からは不満が出そうだなとは感じました。でも、ごめんなさい。映画見てるときぐらいは、甘えさせてください。ああじゃない、こうじゃないって語り合うのも楽しい映画だと思うので、ぜひ観てみてください。
第9位:燃ゆる女の肖像
<あらすじ>
画家のマリアンヌはブルターニュの貴婦人から娘エロイーズの見合いのための肖像画を依頼され、孤島に建つ屋敷を訪れる。エロイーズは結婚を嫌がっているため、マリアンヌは正体を隠して彼女に近づき密かに肖像画を完成させるが、真実を知ったエロイーズから絵の出来栄えを批判されてしまう。描き直すと決めたマリアンヌに、エロイーズは意外にもモデルになると申し出る。キャンパスをはさんで見つめ合い、美しい島をともに散策し、音楽や文学について語り合ううちに、激しい恋に落ちていく2人だったが……。
(映画.comより引用)
フランスの映画です。Twitterで話題になってて、事前情報全くなしの状態で観に行ったんですけど、時代背景とかがバカでわからず、あとから色々情報収集して「だとしたら、すごいお話じゃん!」とこの順位になりました。
正直恋のお話だとは思ってなかったのですが、マリアンヌとエロイーズがお互いを”見る”行為を通じて、「あ、この2人は恋をしているんだ!」と感じさせる演出がとにかく美しかったです。そして、お互いを”見る”2人という構図と、その2人を”見る”ことで追体験する観客という構図がシンクロするという、私が考える映画を地で行くような作品で「まさに我が利を得たり!」とウハウハしました。すごく簡単にいうと、『教室で授業中、好きな人をちらっと見た時のドキドキ感。もう一回ちらっと見たら、あっちもこっち見てるんだけど!!!見つめ合っちゃったんだけど!!!』みたいな映画です。ハッピーエンドかどうかは知らんけど。伝わってほしい、この感覚...。
私が事前に知っておきたかったと思う情報だけ載せておきますと、①まだ女性の存在が軽視されていた時代のお話であるということ ②この時代の肖像画は、今でいうマッチングアプリの1枚目の写真みたいなものであるということ ③肖像画の完成=マッチングの成功であり、たとえ望まぬ男の家だったとしても嫁がなければならないということ 少なくともこれぐらいは知っておくとよいのではないかと思います。音楽もほとんどなくて人を選ぶ映画だとは思いますが、気になった人はぜひ観てみてください。
第8位:魔女見習いをさがして
<あらすじ>
1999年から4年間にわたって放送され人気を博した魔法少女アニメ「おジャ魔女どれみ」シリーズの20周年記念作品。教員志望の大学生ソラ、帰国子女の会社員ミレ、フリーターのレイカ。年齢も住む場所も悩みも全てが違う3人だったが、不思議な巡り合わせで一緒に旅に出ることに。3人は「どれみ」にゆかりのある様々な土地を巡る旅を通し、大人になって忘れてしまっていたそれぞれの大切なものを見いだしていく。(映画.comより抜粋)
「ピリカピリララ ポポリナペペルト 平日と休日入れ替われ..。」と、魔法が使いたいです。ということで、おジャ魔女どれみの映画が8位です。正直おジャ魔女ドンピシャ世代なので、懐かしさで涙腺が決壊するかと思ったのですが、純粋にお話としても面白いのが本当にすごいんですよ。
ひとえに設定が素晴らしいと思います。この映画のメインターゲットっておジャ魔女を知ってる世代であり、その世代が見たいのは懐かしいどれみちゃんたちのお話だと思うんです。しかし、実はこの映画、おジャ魔女どれみを見て育った3人の女性が主人公で、どれみちゃんやおんぷちゃんなどのメンバーはほとんど出てきません。サトシとピカチュウ見に来たのに、ゲームでポケモンバトルする人達を永遠見せられるみたいな感じです。めちゃくちゃ攻めた設定だと思いませんか?だからこそ、とても心に刺さるんです。それって自分だから。『子供の頃は誰もが魔法が使えると思っていたし、誰もが無敵でした。でも、現実の世界にどれみちゃんたちはいないし、魔法なんてないし、世の中そんな甘くない、うまくいかないことばっかり。でも、だからってあの時の魔法を信じてた自分が否定されるわけではないし、魔法は使えないけど現実で必死に頑張ってる今の自分はそれだけで素晴らしい。』という、この設定をフル活用したメッセージが込められた映画なんです。
私はこの映画を”ないかの人生”ではなく、”自分の人生”に重ねて観てしまいました。おジャ魔女どれみを見ていなくても、自分ゴト化しやすい、万人におすすめできる映画なんじゃないかなと思いました。
第7位:82年生まれ、キム・ジヨン
<あらすじ>
結婚を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨンは、母として妻として生活を続ける中で、時に閉じ込められているような感覚におそわれるようになる。単に疲れているだけと自分に言い聞かせてきたジヨンだったが、ある日から、まるで他人が乗り移ったような言動をするようになってしまう。そして、ジヨンにはその時の記憶はすっぽりと抜け落ちていた。そんな心が壊れてしまった妻を前に、夫のデヒョンは真実を告げられずに精神科医に相談に行くが、医師からは本人が来ないことには何も改善することはできないと言われてしまう。(映画.comより抜粋)
韓国でめちゃくちゃ話題になった小説の映画です。主演のチョン・ユミとコン・ユといえば、もうすぐ続編も公開される大傑作「新感染 ファイナル・エクスプレス」コンビで僕の中で勝手に有名なんですけど、今作もめちゃくちゃ良かったです。良かったというか、考えさせられました。
ポスターのビジュアルからは「素敵なラブストーリー?」とか想像するかと思いますが、韓国における性差別や子育ての孤独をこれでもかと見せられる内容で、はっきり言って非常に息が詰まります。しかも、この映画はジヨンという女性の、人生におけるターニングポイントとなる部分が回想的に入り込むため、まさしく人生を追体験することになります。そのため、ジヨンという人間がどう性格形成され、なぜ苦しむに至るかがわかり余計辛いです。コン・ユ演じる夫も、優しそうな顔と相まって理解力のある優男に見えますが、ブルータスお前もか状態で絶望しかありません。
また、冒頭で”韓国における”と書きましたが、この作品の射程範囲はそんなもんじゃありません。「キム・ジヨン」は82年に生まれた女性の中で最も多かった名前だそうです。つまり、これは他でもない多くの女性の物語であり、あなたの物語であるということです。だからこそ、小説も映画もたくさんの共感を呼ぶ結果になったのだと思います。そして、男性はこの作品を観ることを義務教育にした方がいいんじゃないかと感じました。千鳥と博多華丸・大吉がテレビでやってるダメ男ドリルてんこ盛りみたいな内容なので。ちなみに原作もめちゃくちゃ良いので、おすすめです。そっちは本作よりももっと救いがないですが...。
第6位:2分の1の魔法
<あらすじ>
かつては魔法に満ちていたが、科学技術の進歩にともない魔法が忘れ去られてしまった世界。家族思いで優しいが、なにをやってもうまくいかない少年イアンには、隠れた魔法の才能があった。そんなイアンの願いは、自分が生まれる前に亡くなってしまった父親に一目会うこと。16歳の誕生日に、亡き父が母に託した魔法の杖とともに、「父を24時間だけよみがえらせる魔法」を書かれた手紙を手にしたイアンは、早速その魔法を試すが失敗。父を半分だけの姿で復活させてしまう。イアンは好奇心旺盛な兄バーリーとともに、父を完全によみがえらせる魔法を探す旅に出るが…。(映画.comより引用)
完全にナメテーター案件でした。いや、最近のディズニー・ピクサー作品にはずれはないし、絶対に一定以上の面白さは担保されているのですが...。「それにしてもこのビジュアルは...なんかパッとしない!」となめてました。そんな期待値で観たもんだから、完璧にやられました。
このお話、見た人ならわかると思うのですが、最終的な着地がとにかく素晴らしすぎます。それもそのはずで、この着地に向けて物語が構築されていったというほどです。それほど気合の入った着地、ネタバレせずに話すのが難しいのですが...。『自分がなりたかった、達成したかったゴールとは違うかもしれない。それでも、自分が大切にしたいと思うことや人の幸せを願うことは、それこそがゴールとなりうる。それはとても尊いことである。』と心底思うことができる内容になっています。それだけのメッセージでも素晴らしいのですが、その魅せ方が本当にすごい。映画を”見る”私たちと、主人公の視線・”見る”ものが重なるというマジックが起こります。そのセカンドインパクトによって、もはやシンクロ率400%越えは確実です。いとも簡単に涙腺が崩壊しました。鑑賞後1週間はこのシーンを思い浮かべただけで、目に涙が浮かんだほどです。もうこの着地だけで万々歳です。
もちろん、その他の部分もめちゃよくできてます。ギャグも面白いし、伏線もしっかり張られていたりと抜かりがないです。ただ、やっぱり着地が素晴らしいお話なので、ネタバレとかはあまり見ず鑑賞してほしいなと思いました。おすすめです。
第5位:37セカンズ
<あらすじ>
脳性麻痺の貴田夢馬(ユマ)は、異常なほどに過保護な母親のもとで車椅子生活を送りながら、漫画家のゴーストライターとして空想の世界を描き続けていた。自立するためアダルト漫画の執筆を望むユマだったが、リアルな性体験がないと良い漫画は描けないと言われてしまう。ユマの新しい友人で障がい者専門の娼婦である舞は、ユマに外の世界を見せる。しかし、それを知ったユマの母親が激怒してしまい…。(映画.comより引用)
Netflix配信作品ですが、結構気になっていたので映画館で観ることにした作品です。結果、本当に素敵で愛おしい作品で、映画館で観てよかったとほっこりした次第です。
この映画の主人公は生まれた時に37秒息が止まってしまったことで、脳性麻痺になってしまいます。しかし、恨めしいと思っていた37秒が、様々な経験を通じてかけがえのない誇りとなっていく様子が描かれるのですが、演技の素晴らしさなども相まってシームレスに感動しました。人生において後悔する瞬間なんて、いくらでもあるじゃないですか。5分間の出来事だろうが、1分の出来事だろうが、たとえ1秒の出来事だろうが。そのたびに、穴があったら入ってもう一生出たくないと思ったりするのが人間の性じゃないですか。それでもこんなにスムーズに感動させられてしまうのは、この映画が障害者を描いた映画じゃないからだと思います。もはやそれは二の次というか、『後悔の瞬間があっても、それも大切な自分、それがあるから自分なんだよ』っていうメッセージがとても温かくて、心にすっと染み渡ってくるような感覚でした。
また、自分ではない誰かを理解する映画でもあると感じました。主人公のお母さんが異常なまでに過保護なことにも理由があって、主人公はそれを次第に理解していきます。その過程に合わせて、お母さん側も娘がどう接してほしいのかを感じ取ります。その「誰かを理解する」という過程描写の美しさも、この作品の魅力だと思いました。
Netflixにあって、気軽に見れると思いますので、気になった人はぜひ観てみてください。
第4位 : ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー
<あらすじ>
高校卒業を目前にしたエイミーと親友モリーは成績優秀な優等生であることを誇りに思っていたが、遊んでばかりいたはずの同級生もハイレベルな進路を歩むことを知り、自信を失ってしまう。勉強のために犠牲にしてきた時間を一気に取り戻すべく、卒業パーティへ繰り出すことを決意する2人だったが…。(映画.comより引用)
映画にもトレンドがあります。近年のトレンドとしては、非常にポリコレを意識した内容が増えてきているということです。女性の描き方が変わったり、アジア人の描かれ方も年々変わってきています。そんなトレンドが最も反映されるジャンル、それが「学園モノ」だと思います。なぜなら、常に新しい感性が生徒像に反映されるからです。時代に柔軟で、フレッシュな感覚がリアルとされるため、それを映す映画もフレッシュになるのだと思います。御多分に漏れず、本作も非常にフレッシュな作品でした。
特に特徴的なのは、誰も敵が存在しないように作られている点です。大体この手の作品は、嫌ないじめっ子がいて、そいつを見返すという話になりがちだったりしますが、本作にはそのようなキャラが出てきません。一応には出てくるのですが、全てを悪として描く作りにはなっていないのです。なぜなら、この映画のテーマが『他者を理解することの大切さ』だからです。人それぞれに、個々人の悩みがあって、それを考えずに自分の物差しで他人を測ることが如何に図々しいのかということを観た後に考えさせられました。
と、ここまでまじめに書いてきましたけど、基本は「高校生活最後、ワンチャン狙うしかないでしょ」系のギャグムービーなので、肩ひじ張らずに観てもらいたいなと思います。そんなギャグムービーなのに...。っていうギャップがサイコーなんですよ。ぜひ。
第3位:透明人間
<あらすじ>
富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは、ある夜、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に残す。しかし、セシリアは彼の死を疑っていた。やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、命まで脅かされるように。見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが…。(映画.comより引用)
「いまさら透明人間なんて。どうやっても面白くならないでしょ(笑)」なんて笑ってた自分をぶん殴りたくなったよ。怖い!フレッシュ!面白い!と3拍子揃った傑作ホラーだと思います。
とにかくはじまりから最高。うまく言葉にできないんですけど、すごく無機質でひんやりとしたオープニングからもう雰囲気ばっちり。そして、話が進んでいくと気づくのが、異様に長くある特定の一区画だけを映すカメラ。そこには主語となる人物はいない、ただの空間なんだけど、「透明人間」ということを意識すると、そこには誰かいるんじゃないかと無意識に思ってしまう。しかし、観客の私たちはただそれを”見る”ことしかできない。探しには行けないし、そらすこともできない。そういった演出がすごく多くて、「怖いっ!やめて!」って思いました。また、主人公は一貫して透明人間に襲われていると主張するのですが、まあ当然信じてもらえるわけもない。とにかく悲惨な目に遭い続ける姿を見ている私たちでさえ、「あれ、これって主人公の幻覚なんじゃね?」なんて思ってきたりする。どんどん作品内の意識と自分の意識が混濁してくる感覚もたまらなく怖かったです。さらに、この映画がすごいのは社会的なメッセージをも内包しているように見える点です。ラストでの今まで抑圧されてきた主人公の女性の行動、これはmetoo運動にも繋がるような主張を感じたりして、「この作品、深いっ!」なんてボーちゃん風に思ったりもしました。
まとめると、ホラー映画が大丈夫な万人におすすめできる完璧な作品だと思いました。みんなでワイワイ見ても絶対面白い!
第2位:ミッドサマー
<あらすじ>
不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。(映画.comより引用)
ホラー映画が続きます。これはホラー映画なのかな?とも思うのですが...。観た人も周りに多く、知ってる人も多い作品ではないでしょうか。私は観終わって数時間はなんかクラクラした記憶があります。
ホラー映画なのか?と思う根拠としては、これは一種のセラピー映画だとも思うからです。いや、作品内で繰り広げられることは圧倒的に正しくないし、不快!キモイ!って感じなのですが、その正しくなさが誰かにとってはある種の救いであるというバランスで描かれており、荒っぽい治療のように感じられるのです。というのも、この作品、実は監督のアリ・アスターという人の失恋がモチーフになっています。「どんな恋愛してきたんだ...。」と思いますが、それを踏まえてこの作品を観ると、監督自らのセラピーでもある映画なんだと気づかされました。失恋の立ち直り方って色々あると思いますけど、こうゆうのもありっちゃありか...なんて思うわけないだろ!かっぱ兄さん!監督の元カノ、今後絶対会っちゃダメ!って即座に思いましたよ。あとは日本版で主題歌つけるならRADWIMPSかな~とかも思いました。
とにかく、天気は晴れやかなのになんか不快だし不穏だし気味悪いしっていうのがずっと続く映画なので、好き嫌いははっきり分かれると思います。でも、ここまで人間の感情の発露をバックボーンを踏まえて見ることができる映画も多くないと思うので、鑑賞する価値はありあまるぐらいにあると思いました。グロ・エロがあるのでその点はご容赦ください。
第1位:パラサイト 半地下の家族
<あらすじ>
キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく…。(映画.comより引用)
今年だったっけ?なんて思ったりもしましたが、第1位はみんな大好きアカデミー賞作品賞を受賞した「パラサイト」でした。最初に観た時から本当に面白かったのですが、ポン・ジュノ監督の過去作とかも全部観た後にもう一回観たら、改めてそのすごさが浮き彫りになったような気がしました。
特にやっぱり特出すべき点は、圧倒的にエンターテインメント作品として面白いということに尽きると思います。アカデミー作品賞に選ばれる作品って、まじめで、肩ひじ張らなければいけなくて、理解するのも難解、社会派好みのアカデミー会員のおじ様方が選んだって感じが個人的にありました。ですが、観た人はわかると思いますが「パラサイト」は社会的なメッセージを差し引いたとしても、誰が見てもまずは「おもしろい!」と思えるように作られているように思えます。ある1つのジャンルというわけではなく、ユーモアもあればホラーもあり、サスペンスがあったりと表情豊かに設計されており、それがエンターテインメント性を高めています。過去作を全て観て思ったのですが、ポンさんの作品はそのような作品が多いです。観終わった後に、「どうゆう気持ちになればいいの...。」というジャンルがない故に、逆に気持ちの行き場を失うような感じ。ポンさん曰く、「人間は結果だけを見るが、そこに至る過程を見せることができるのが映画だ。」とおっしゃっており、そのような姿勢だから、ここまで喜怒哀楽が豊かな作品ができあがるのだと思いました。
そんなエンターテインメント性は担保しながらも、いろいろ考えさせられるのも本当にすごい...。土地の高低差がそのまま裕福さに直結する絵作りとか、大雨が降った後のそれぞれの対比とか、わかりやすくもシンプルに強度があると思いました。このように貧富の差がテーマなのはもちろんですが、特に感じたのは似た境遇にありながらも争ってしまう人の醜さ。時間やタイミング、出会い方が違えばわかりあえたのに...。人生においてタイミングって本当に大切だなとしみじみ考えさせられましたよ...。
いくらでも感想が書けちゃいそうなので締めますが、海外作品としてはじめてアカデミー作品賞受賞とか映画史に残ることは間違いないと思うので、まだ観てない人はぜひ観てみてください!
■終わりに
いかがでしたでしょうか?できるだけわかりやすく自分の感じたことを言語化したつもりなのですが、わかりづらかったり、退屈だったら申し訳ございません。この記事が少しでも読んでいただいた皆様の役に立つことができたらのなら幸いでございます。お付き合いいただき、誠にありがとうございました。皆様の2021年が良い年になることを祈っております。
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