初めてのキャンプ(3)
キャンプ2日目の朝。
うるさいほどの鳥の鳴き声で目が覚めた。スマホで時間を確認する。まだ6時前だ。
鳥の鳴き声はすさまじかった。あちこちから様々な鳴き声が聞こえてくる。
ホーホケキョ!
ホーチキ!
ピーピー!
彼らはこんなうるさい中で、ちゃんと会話できているのだろうか。そんなことを思いながら、私は再び目を閉じた。
再び目を覚ましたのは、7時過ぎだったと思う。鳥の鳴き声は小さくなり、代わりに子どもたちの声が聞こえ始めていた。
人の声が聞こえると、だんだん自分も起きたくなってきた。この日は11時にはチェックアウトしなければならなかった。その前に、バーベキュー第二弾を行って朝ご飯を食べ、昨日できなかったたき火をし、テントやタープをたたまなければいけない。
のそのそとテントから出ると、前日の悪天候から一変、さわやかな青空が広がっていた。さらに嬉しいことに、日が出ているせいかずいぶん暖かい。
青空にテンションが上がった私たちは、朝ご飯を食べながら焚き火をすることにした。
だけど、ここで1つ問題が…。
私たちの敷地は、テントとタープでほぼ埋まっていたのだ。焚き火をする場所がない。
仕方がないのでタープを先に片づけてしまうことにした。張る時はものすごく時間がかかったのに、畳むのは一瞬だった。片づけが早く終わって嬉しい一方で、少し寂しかった。キャンプは終わりに近づいているのだ。
できた空き地を使って焚き火台を設置した。木を組みながら、小さい頃ガールスカウトで得た知識を思い出した。木は空気が入りやすいように、三角に組むのだったと思う。
木を組んだら、持ってきた着火剤を使っていざ点火!
彼がものすごい勢いで扇ぐものだから、私は火の粉が飛んで火事になるのではないかとひやひやしながら見守った。
少しすると、無事木が燃え始めた。
だけど、のんびりしている時間はない。私たちはバーベキューの準備もしなくてはいけないのだ。
バーベキューは昨日の経験もあったのでスムーズに準備をすることができた。ただ、風が強くてお皿や箸がしょっちゅう飛んで行ってしまうのが大変だった。
ご飯を食べ終えると、テントを少し片づけることになった。本当はマシュマロというデザートが待っていたのだが、お腹がいっぱいになってしまったのだ。
一仕事して、お腹を空かせようということになった。
タープの片づけが簡単だったので、テントも余裕だと思ったのだが、そうはいかない。
私たちが借りたテントは、屋根が二重になるようになっていて、内側のテントに外カバーをかぶせているような感じだった。前日、テントを張ったときに雨が降っていたので、まずは外側のカバーだけとって内側を乾かそうということになった。
外側のカバーを外そうとして、私たちはペグを抜いていった。
すると、ビュ~~~~~ンと風が吹き、なんとテントがひっくり返りそうになったのだ。
必死にテントを抑える私たち。抑えながら思った。
「ペグを抜いたら飛んでいくよね、そうだよね。」
キャンプは失敗から学ぶことが山ほどあった。彼と2人、次はもっとうまくできるねと言いあいながら、マシュマロを食べた。
いよいよ、キャンプ場を出る時が来た。
借りていたテントやタープを返却し、チェックアウトを済ませる。寂しいような気もするけれど、また来ようねと彼と言いあった。
帰り際、彼がスタッフさんに「楽しさがにじみ出てましたよ~」と言われたらしい。本当に楽しかった。
そして、私たちは次の目的地「豊平峡温泉」へと向かって歩き始めた。