私は常に最先端
職場に不思議な考えの持ち主がいる。
どうやら自分自身は最先端だと思っている雰囲気がぷんぷんな人だ。(以下:最先端さんと呼ぶ)
実際、最先端さんは最先端ではない。絶賛勘違い中だ。
Amazonプライムデー
ある日、最先端さんがいきなり「Amazonプライムデーが始まりますよ!」と、プライムデーの宣伝をしてきた。私は興味がないため軽くあしらっていたのだが「何か買いますよね?」と、さも当たり前に買い物をするかのように聞いてくる。何で買うことが前提なの?と不思議に思いながら買わない旨を伝えると「え?!」と驚愕の反応が返ってきてこっちも驚愕した。
「買わないんですか?!何でぇ?」とAmazonプライムデーなのに信じられない!みたいな反応をされてさらに驚愕した。
「欲しい物がないから」と答えると「あぁー…」と心底 残念そうな反応が返ってきて私の頭には「?」が一杯になってしまった。
お前はAmazonの回し者か?
そういえば、最先端さんは楽天のお買い物マラソンには必ず参加し、ポイントをたくさんもらう人だったと思い出した。どうやら楽天だけではなくAmazonにも参加するらしい。特別欲しいものや必要なものがなくても、ポイント還元だけを目的に無理やり買う物を探して買い物をするのが最先端さんなのだ。それで「私はやりくり上手!節約上手!」と自負している。
無理やり買う物を探して買うのは、私にとっては やりくり上手にも節約上手にも思えない。本当に欲しいものや必要なものをこの時にまとめて買うならまだしも、最先端さんはざわざわ探して買い物をしているのだ。無駄買い、つまり無駄使いとしか思えないのだが、これはもう価値観の違いというやつだろう。
自分のやりくりと節約に相当な自信があるのは本人の自由なのだが、自身のやりくりや節約の仕方をこちらに押し付けてこようとするのだけは迷惑極まりないなと思っていることだったりする。ちなみに私はどんなに しつこくプッシュされても、買うものも欲しいものもないので相手にしない。
話を戻して、そんな最先端さんはAmazonプライムデーで買おうかなと思ったいるものがいくつか見つかったようだった。
モニターを縦に
最先端さんが突然 言い出したことが「そっちのモニターって縦にできるんですか?」だった。また突然ヘンなことを言い出したなと思いながら、縦になることを伝えた。
「ふ~ん」と思わせぶりな、モニターが縦になるのか確認した理由を聞いてほしい!という最先端さんの気持ちが透けて見える反応をしてくる面倒くささ。最先端さんは、察してちゃんでかまってちゃん気質も強いので匂わせが多くて半端ないくらい面倒くさい人間なのだ。
できれば関わりたくないと思うほどに面倒。
(最近は面倒すぎてスルーしている。どうぞご自由にやっててください。)
この時も当然「めんどくせぇ…」と思ったが、オーラがあまりにも うるさいので、モニターに関してどうしたのかと訊ねてみた。そうしたら「Amazonプライムデーでモニターを買おうと思ってるんですぅ」と、だろうねという反応が返ってきた。さらにそのモニターを縦にして使いたいと言う。
何のために?
自宅で縦モニター。
個人的な感覚になるが、どうして自宅で縦モニターにする必要があるのか想像がつかなかったため最先端さんに聞いてみたら
今、モニターを縦にして使うのって流行ってるじゃないですかっ!
と自信に満ち溢れた回答がきた。また私の頭の中には「?」が一杯。縦モニターって流行ってるの?ずいぶん昔からやっている人はたくさんいると思うのだが。純粋に、縦モニターが「今」流行りなのか聞いてみると
え?流行ってないんですか?!
とこれまた「驚愕!」みたいな反応が返ってきて、またこちらも驚愕する結果となった。
というか、縦モニターに流行りも何もないだろう。使い勝手の問題だと思うから、縦が使いやすい人が縦にするだけでそれに流行ってあるの?
モニターアームが欲しい
さらに最先端さんはアームも欲しいのだという。デスクに固定してパソコンモニターを縦横左右などに自由に動かせるアレだ。最先端さんが自宅でどのようにパソコンを使っているのか知らないが、そもそもパソコンの知識が薄いと見受けられる最先端さんだ、アームを使う必要性というのが想像つかなかった。そこで最先端さんにどうしてアームが欲しいのか聞いてみた。
アームも流行ってるじゃないですかっ!
という、「だろうね」という想像通りの反応が返ってきた。アームも昔からありますがね。最近出てきたものではない。またアームが「今」流行っているのか聞いたら、モニターと同じような反応が返ってきてとても面倒なことになりそうだったので適当に流して終わらせた。
ちなみに、最先端さんの私物パソコンはノート。デスクトップは持っていないらしい。
何でモニターアームがいるの???
最近知っただけでは?
最先端さんの過去発言などを思い出しながら、モニターとアームの話を考えていて ふと頭に浮かんだことがある。
この人もしかして、自分が最近 知ったことが「今」の流行りだと思っている?最先端だと思っているのか?
だった。
モニターにしてもアームにしても最近出てきたものではなく、ずっと昔からあったもの。ただそれを最先端さんが知らなかっただけ。今の会社に入社して本格的にパソコンを使い始めたという話も聞いたし、単純に最近になって縦にできるモニターがあること、モニターを自由に動かせるアームがあることを知っただけ。そして自分が知ったタイミングが最先端で「今」流行っていると勘違いしているのでは?と強烈に思った。
最先端さんは「自分は常に流行を追っている」という自負もあるので、この可能性は否定できない。
過去の発言を考えてもそうだ。
「今は〇〇が主流ですよね」とか「これからは〇〇がきますよ!きっと!」と最先端さんが自信満々で言ってきたことは、私からしてみたら「え?今?」ということばかりだった。
店や料理にしてもそうだ。
「今サムギョプサルって流行ってるじゃないですかっ!」と数か月前に言われたときには「もう終わってるだろ。」と思ったものだ。
韓国料理は今も人気があるかもしれないが、個の料理としてサムギョプサルはさすがに古いと思った。さらには、チーズタッカルビも今熱いと言う。いやいや、それもさすがに古めでは?と思った。私は、お菓子になるがヤックァが好きなのでそれも美味しいよねと話を振ってみたら最先端さんはヤックァを知らなかった。それどころか、ヤンニョムチキンやチュモッパやキンパすらも知らなかった。この話をした週末、キンパを食べに行ってハマったらしい。遅くね?
さらに最先端さんが今流行っていると言って紹介してくれる店は、別段 今流行っている店でないことが多い。ずっと昔からありますよ?そして昔から今なお人気の店です。という店ばかりを「今の流行りです!」と言って紹介されるので困惑する。
また、最先端さんの紹介してくれる店のほとんどを私も知っているため、知っているよという反応を返していたら最先端さんの機嫌が悪くなる時があると判明した。
どうやら、私が知っているのが気に入らないらしい。自分が最先端だと思っているからだろう。
なので最近は、ある程度は知らないフリをして「いっぱい知ってて凄いね。」的な反応をする時がある。そうすると最先端さんはとても満足そうで、アレコレ自慢げに説明してくる。そして不機嫌が抑制されるという感じだ。
本当に面倒くさい。
思春期真っただ中の女子中学生を相手にしている気分でとても疲れる。
ちなみに最先端さんは30半ばのオバサンだ。
最先端さんが「今のトレンドだと」言っているそれらは、最先端さんが「最近」知っただけのことだろう。そしてそれを「最先端で今!流行っている」と絶賛勘違いしている感じだ。
まとめ
最先端さんは、とても見栄っ張りで見てくればかりを気にする傾向にある。さらに承認欲求が激強で、察してちゃんのかまってちゃん。おまけに とてもプライドが高く、人に馬鹿にされたくない!見下されなくない!という気持ちも強いと見受けられる。
いったい今までどんな人生を送ってこられたんですか?何かあったんですか?と聞きたくなるくらいには、周囲からの自分がどう見られているのか、どう思われているのかといった評価を病的なまでに気にする傾向がある。
この人、怖いなと思うくらいだ。
最先端さん特徴の一つとして、「おしゃれ」「流行り」「トレンド」といった言葉が頻繁に飛び出すことがある。それこそ、何かのアイテムについての話を振られた時は100%「流行っている」という言葉が出てくる。今までに聞かなかったことはない。
そして、過去に最先端さんが言っていたのが「一番上じゃなくていいけど一つ下にはいたい」というもの。これはiPhoneに関する発言だったのだが、iPhone14が発売になったときに言っていたことだ。本当は最先端がいいのだけれどApple製品は高いから一つ下でいいらしい。
最先端さんの中で、Appleは「おしゃれ」「流行り」「トレンド」この3つが全て揃っている完璧なブランドの様子。
なので最先端さんの周辺はApple製品だらけ。(ノートパソコンだけAppleじゃなかったのには「それだけ違うのかよっ!」と笑いそうになったのはここだけのお話。)
「おしゃれ」「流行り」「トレンド」その3つを追って押さえていれば、人から馬鹿にされることはなく、むしろ凄いと言ってもらえると強く信じて疑っていない様子の最先端さん。(見てくれだけ取り繕ってもあまり意味がないと思うが。中身スカスカはいずれバレる。)
また、女優やモデルのような都会的で洗練された暮らしにも相当な憧れを抱いているらしいが、こんな田舎でそれを求めても無駄なだけなのにと若干 呆れている。
そんな感じで「自分は常に最先端にいる」という自負が強烈な最先端さん。なので、自分自身が最近知ったことは「今」流行っているものになっている可能性が高いなと感じている。何せ自分自身は常に最先端の情報を追っている、最先端人間なのだから、その私が「今」知ったということは「今」流行しているトレンドなのだ!ということなのだろう。
残念ながらトレンドではないことがほとんどだ。
思い込みと決めつけが激しいタイプでもあるため、こう!と思ったらそれしかないのも信じて疑わない理由だろう。
遠くから見ている分には面白い最先端さんだが、関わると半端ないくらい面倒くさいタイプだ。できれば必要以上に関わりたくないが、同じ職場でたまに関わりができるので完全に避けるのが難しい。
そして最先端さんは今日も、半端ないくらいの面倒くささを発揮しながらネットサーフィンを楽しんでいる。
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