生成AIの将来を見せてくれたDX&AIフォーラム2024夏をレポート
1.フォーラムの概要
日 時:2024年9月13日(金) 13:00-19:05
会 場:東京コンファレンスセンター・品川
テーマ:AIとDXで挑む変革と創造 日本が世界で勝つためのデジタル戦略
本フォーラムに参加しました。テーマにある通り、日本企業の変革への体制を整え、環境の変化に迅速に対応できる“デジタル企業”へと変わるために、企業のDXの課題と現状を分析し先進事例を紹介するものでした。
ここでは、実際に出席した3つの講演について報告します。
2.アクセンチュア 保科氏「生成AIによる企業再創造」
生成AIの登場により企業変革のスピードは一気に加速し、企業間の収益成長推移の差も拡大している。一方日本企業は生成AI登場以前から、変革に向けて多くの課題を抱えている。生成AIを最大限活用したこれら課題に対する打ち手と、企業の再創造を推進するために必要なアプローチについて解説する講演でした。
私が特に注目したのは、コンサルタントとしての業務特性から生成AIが自社内で本格的に活用されてきており、それを顧客に販売していこうとする方針がはっきりしていることです。他の講演でも触れられていましたが、実際に活用できてない人が活用を推進することはできないということです。
3.NTTデータ先端技術 松澤氏「提案営業から見えてきた業務での生成AIとの付き合い方」
長年、自然言語処理技術および大規模言語モデルの開発・導入を行ってきた経験を活かして以下の問題解決を提案。
・既にChatGPTなどの生成AIを社内に導入したが、個人の便利ツールに留まり組織の生産性向上につながってない。
・今後、生成AIを社内に導入したいが、何処の業務に適用すれば良いかイメージができていない。
・検索機能拡張(RAG)の導入・利用は始めたものの、更なる活用を経営陣から求められている。
これらの問題を、生成AIが個人ごとの「デジタルAIアシスタント」となりスケジュール調整(単なる予定表の確認だけでなく関係者とのメールでの交渉を含む)をしてくれたり、他の専門家AIとの連携をしてくれることで解決するという構想です。
4.松尾研究所 金氏「生成AIの進展と活用可能性」
本講演では、大規模言語モデル(LLM)の技術進展について詳しい紹介と今後数年間で予想される生成AI技術の社会実装の方向性について考察が述べられました。
注目点は、生成AIの本質を「情報変換器」ととらえてその点で人間以上の成果を出せるといったことと、躊躇せずに導入しても効果があるし、プロンプトの改善で更にレベルアップしていくとの話です。
5.まとめ
前回レポートしましたAI博覧会2024夏では、生成AIにRAGを組み合わせる展示が主流でしたが、今回の講演では、RAGの使用が前提となって更に今後はAIエージェントの機能を追求するようなお話が聞けました。まだ、サービスとして形になっていないものが多いですが、アクセンチュアでは社内での活用が進んでいるようでした。各社の商品名としては、エージェントではなく、パートナー、アシスタント、ピアワーカーなど色々ですが、それぞれのコンセプトに特徴がありそうです。今後の開発状況に注目して行きたいと思います。