生きた証を残すというのもまた、「生きる」という事。
人と自然の共存って、この地球上での永遠のテーマだ。
人も自然の一部だという考えは本当に大切だと思う。
それを教えてくれる映画だと、当時10才の自分も思っていたが、大人になっても心底それを感じた。
映画館で再上映をすると知り、絶対に観に行かなければいけないと瞬時に思った。
なぜならこの映画は、自分の原点だからだ。
「もののけ姫」再上映を観に行った。
公開当時の自分はまだ小学4年生。
もともとトトロやナウシカなどのジブリ映画は大好きで、まだ言葉もまともに話せない幼い頃から、ビデオテープが擦り切れるほど観ていた。
そんな自分が、ジブリの中で、後に一番大好きになる映画は「もののけ姫」だ。
きっかけは「ジブリだから」だったと思う。
1回目を観に行ったのは母親だっただろうか?とにかく何が衝撃だったのか、全く覚えていないのだけれど・・・
自分の心のどこかに突き刺さったのだろう。
そこから私は公開が終わるまでの間に映画館で10回観た。
10才にしてはなかなかやるなぁと感心する。笑
とにかく、とにかく夢中だった。
パンフレットは表紙が取れそうになるぐらい読んだし、サントラもイメージアルバムも買ってもらい劇中でどの曲がどこで流れているか、暗闇の映画館で必死にメモをした。セリフも覚えた。サントラのピアノの譜面を買って、譜面がボロボロになるまで弾いた。
サンに憧れて髪も切った。
サンが持っている小刀が欲しくて、パンフレットの表紙のサンの手のサイズで大きさを測って、自分で木を削って実寸サイズを作った。
パンフレットに載っていたグッズが売っているお店に、どうしても行きたくて、池袋まで祖父に連れていってもらった。
もののけ姫を何回も観に連れて行ってくれたのは他ならぬ、大好きな祖父だった。(とても最高な祖父なので、今度ここでも話したいと思う。)
まさか池袋のそのお店が「アニメイト」だったとは全く知らず・・・
祖父は完全に場違いだった・・・
おじいちゃん、あの時はごめんね笑
(グッズは無事にたくさん買ってもらえた。じいちゃん、ありがとう。)
あまりにも好きだと言うからか、父親が屋久島に連れて行ってくれた。
ハマるととことんハマるタイプなのは自他共に認めている。
ただ、今までの人生の中でここまで心が突き動かされたものは、「もののけ姫」が一番だった。
そう、「五輪塔」の存在を知るまでは。
映画の中に見つけた、過去との繋がり、運命。
日にちを決め、気合十分でいざ再上映を観に映画館へ。
公開2日後の平日初回だったからか、なんと貸し切りだった。
ど真ん中に一人。なんて贅沢な。
今この瞬間を、自分一人が全身で感じられている事に感謝をした。
実は、映画館で観る何ヵ月か前に、自宅で久しぶりに観ていた。
やっぱりたまに観たくなるから、定期的に観るようにしているのだが、今まで全く気がつかなかったところに気がついてしまった。
映画の中に五輪塔が出ていた
まさかと思った。
まさか、子供の頃から大好きなもののけ姫に、つい最近、自分のライフワークの中に取り入れようとしている、大好きな五輪塔が出てきてたのだ。
もののけ姫に五輪塔
他のジブリ作品では出てくるはずはない・・・
トトロに出てくるか?千と千尋に?ぽんぽこに?あるかもしれない
でも、この作品に出てきたということは、子供の頃に気がつかなくとも、自分は何度も何度も五輪塔を観ていたのだ。
私は、これは運命だと思った。
自然と人間の共存、その想いを込めて
五輪塔がどこに出てくるかというと、まずアシタカがジコ坊に出会い、米を金の塊で買い村を出て、ジコ坊が追いかけてくるシーン。
それともう一つ、アシタカが買った米でジコ坊が粥をつくる有名なシーンで。
逆にアシタカ、ジコ坊のシーン以外には出てこなかった。
これはちょっと深読みか、自分解釈かもしれないけど……
2人はアシタカとサンとはまた違う、対極的な二人だ。
物語の前半部分、この話の中で重要な役割をもつ2人
同じ人間界の中にいるが、自然界の方にも味方をする人間界と自然界の中心にいるアシタカと、完全な人間界の中心人物といえる存在のジコ坊。
そんな人間界の人物としては対極的な2人だが、ラストのシーンでは共に手を添え、シシ神様に首を返す。
その2人が唯一2人だけで会話をするシーンにお墓、しかも五輪塔が出てきていたというのはとても興味深い。
人が生きた証、それこそ。
五輪塔は、下から地・水・火・風・空を表し、宇宙を構成する要素とされている。また、その他にも「五体満足」という言葉があるように、「5つの石が人間の体を構成している」ともされている。
つまり、五輪塔とは人の最終形態なのだと自分は思う。
人は亡くなり土に還り自然と一体となる。
またその魂は風に乗り空へ上り次の命へつながっていく。
その人が自然と一体となった証、地球に存在していた証が五輪塔なんじゃないかというのは、色々と五輪塔の事を考える上で出てきた、自分なりの一つの答え。
まさにもののけ姫のテーマを表現しているのは、五輪塔なのではないか?
と。大人になった今、このような解釈が自分の中でまとまるとは……正直思ってもみなかったが。。
大好きなもののけ姫と大好きな五輪塔が自分の中で繋がった事がとても嬉しかった。
もののけ姫は「生きろ」がキャッチコピーになっているけど、
生きた証を残すというのもまた、「生きる」という事。
もののけ姫を観る数日前に偶然、天に呼ばれて深川不動尊へ行った。
そこで引いたおみくじに、
『「命」命あること生きることが奇跡の連続である。感謝の反対は当たり前。毎日生まれ変わったように丁寧に生きよ。命をかけて打ち込めることが見つけられたなら、その人生は最高の宝となるでしょう。』
と書かれていた。
まさにもののけ姫を観るに相応しい素晴らしいタイミングだった。これも導きと思い、高野山へ行った時の事のように、忘れぬよう、しっかりと心に留めておきたいと思う。
最後に、約20年ぶりに、再度、映画館で観る機会を作ってくれたスタジオジブリに感謝します。
本当にありがとうございました。
「生きてりゃなんとかなる」
大人になって心に響いた、おトキさんのこのセリフで終わりたいと思います。
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