小さん・米朝対談 無筆日記 第六筆
寝てばかりいるので、米朝師匠の「壺算」をYouTubeで検索したが、無い。噂に聞いてはいたが、根こそぎ削除されている。残念だが仕方ない。
検索結果を見たら、こんなのが出てきた。
NHK「ステージドア」1998 年8月23日放送
柳家小さん・桂米朝 対談 「寄席落語200年に思う」
これは珍しい。この時、米朝師匠72歳、五代目82歳、それぞれ大正14年と大正4年生まれ、十違えば大先輩だが、米朝師は饒舌に昔の寄席の様子などきいていく。
ちなみに「ステージドア」という番組、NHKで、96年から99年まで比較的長い間、放送されていたが、大衆芸能に関しては他は藤山直美へのインタビューがあるのみで、落語はこの回1回限りである。
五代目も最初に世間話で剣道のことを聞かれたせいか、気持ちがほぐれ、時折視線をあわせて、米朝師と和やかに話をしていく。
昔の寄席のこと、下足番が巧みだったこと、客の入り(戦時下の方が入りが良かった)、畳敷きの方が寄席らしい、冷暖房がなかった時分のこと、当時のベテラン師匠たちのこと。
最後に米朝師、五代目とも我々噺家は、お客様が望むから古典落語をやるが、若い人たちはそれぞれ工夫をして、落語を未来に繋げていってほしいと一致した考えだったことは印象的だった。
米朝師、曰く「言葉は生き物ですから」
おふたりからは「落語とは〜」という説教じみた格言も聞かれず、むしろこの対談当時から、落語という芸が時代から取り残されて行くのでは無いか、という危惧が感じられる対談ではあった。
でもその危惧もなんとか乗り越えて、自分自身により創意工夫をもって、落語を未来に紡いでいこうとしている芸人が多いことは、ご存知の通りである。
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