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今日の三題噺:第六夜「べらぼう」「年賀状じまい」「わさび」

1️⃣
年の瀬も迫る商店街で蕎麦屋を営むタツオは、常連客との会話に花を咲かせていました。
「最近、物価も上がるし、大変だよなあ。」
すると常連客の一人が、「いやー、なんでもかんでも値上げで、蕎麦もべらぼうな値段になったら困るよ!」と冗談を言います。
タツオは笑いながら、「うちの蕎麦は、べらぼうな値段にはしないさ!」と胸を張りますが、商売の難しさに頭を悩ませていました。


2️⃣
そんな中、タツオは正月に向けた年越し蕎麦の宣伝を考えながら、ふと近所で流行っている「年賀状じまい」の話を思い出します。
「昔は年賀状で新年の挨拶をするのが当たり前だったけど、時代が変わってきたんだな。そば屋も何か新しいことを始めるべきかも…。」
試しに、正月限定で「わさびを主役にした変わりそば」を提案すると、店員たちは「挑戦するにはいい機会ですね!」と賛同します。


3️⃣
タツオは「わさびそば」をメインに据えた新メニューを発表しました。香り高い本わさびを蕎麦に練り込んだり、辛さ控えめのわさびダレをつけ汁にしたりと工夫を凝らし、口コミで評判が広がります。
「辛さを楽しむってこんなに奥深いんだな!」
お客さんからはそんな声も上がり、これまでの年越しそばを超える人気メニューになりました。


4️⃣
年が明けて新年初営業の日。タツオは常連客に言いました。
「時代に合わせて変わるのも悪くないもんだな。今年もよろしく頼むよ。」
その客がわさびそばを食べながら、「これ、本当に心に染みる一杯だな!」と感激すると、タツオはにっこり笑ってこう答えました。

「ほら、わさびって涙を誘うけど、それも**“幸せの味”**ってことさ。」

おしまい

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ごりんや
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