今日の三題噺:第七夜「第47代」「青のネクタイ」「ハートのエース」
1️⃣
ある地方の老舗旅館「鶴の湯」では、代々受け継がれてきた大女将の座を巡る伝統がありました。その年、新しい当主として選ばれたのは、女将の娘のアヤでした。
「これで私は第47代当主ね!」と喜ぶアヤ。
しかし、母親からは厳しい言葉が。
「伝統を守るのもいいけど、それだけじゃお客さんは喜ばないわよ。今の時代に合った旅館にする覚悟が必要よ。」
アヤは意気込みながらも、「これからどうすればいいんだろう…」と悩み始めます。
2️⃣
そんなある日、商工会の集まりに出たアヤは、皆の前で「旅館の未来」について語る場を設けられました。
「緊張する…。」
アヤは悩みましたが、父親からもらった勝負用の青のネクタイを首に巻いて登壇します。
「この青色は冷静さを象徴する色だから、お前にぴったりだぞ!」と励まされたのを思い出し、少し自信が湧いてきました。
壇上でアヤは「伝統を守りながら、現代のお客様が本当に求めるサービスを提供していきます!」と堂々と宣言。
集まった地元の商工関係者たちも拍手を送りました。
3️⃣
旅館に戻ったアヤは、新たな試みとして「カップル限定プラン」を打ち出します。
そのプランでは、宿泊者に特製のトランプを渡し、楽しめる企画を盛り込んでいました。そのトランプには、「ハートのエース」が特別なメッセージカードとして仕込まれており、宿泊者が引くとサプライズのプレゼントが贈られるという演出です。
この新サービスはたちまち話題となり、旅館は予約でいっぱいに。アヤは手ごたえを感じながらも、「これで本当に良かったのかな…」と自問します。
4️⃣
ある日、宿泊したカップルがフロントで嬉しそうに話していました。
「ハートのエースを引いたんですよ!すごく楽しい時間を過ごせました!」
それを見たアヤは、ほっとした表情でこう言いました。
「旅館の未来を賭けた“勝負のエース”が効いたみたいね!」
おしまい