「そろそろ、PAで止まらないとね。」
ルーシーが枝に左手をかけて、ブレーキをかけながら、言った。
俺たちは新婚旅行をしている。「海がみたい」という妻の希望に答えるために、湾岸線に向かっている。
PAについた。
「その次、湾岸線乗り換えだっけ?」
俺は右手に子供、左手にリンゴを抱えながら、聞き、パーキングエリアのタイアに腰をかけた。
「あと、もう少しで海が見れるのね!」
ルーシーが、バオバブの木の幹のような美しい歯茎を見せながら笑った。
俺はこいつの笑顔が好きだ。思わず手に持ったリンゴを握り潰す。
湾岸線にでた。この辺りの線は複雑に入り組んでいて、乗り換えも一苦労だ。
ふと、樹々の間から、遠い祖先が作った石のモニュメントが見え、そのさき に海が見えた。
「ウホオォォォォォウホ!!!!」
ルーシーが笑った。俺、こいつ、好き。