自分を愛することについて
幼稚園の頃、不登園になった。
先生に否定され、縛り付けるようなおゆうぎや、眠くないのにさせられる無理やりの昼寝や、決められた色で塗らなければならない塗り絵に、何もかもが嫌になった
不登園になって、先生は僕の家へ来た。
自分の気持ちなど、何も考えずに、ただ母親に良い格好をするために、着飾った服で僕の家に入ってくる先生たち
その、作り笑顔と、半オクターブ上がった声が怖くて、僕は泣いて、テレビ台の裏に隠れ、彼らにおもちゃを投げつけた。
母親は、僕を愛していた。
ただ、母親には沢山の重圧がかかっていた。
父親は、母親を愛していたが、仕事や単身赴任であまり家にいなかった。
アルツハイマーを患い、どんどんおかしくなる父方の祖母と、頭ははっきりしているが、身体が動かなくなった祖父の介護をしながら、僕と妹を必死に、愛情を持って育てていた。
しかし、諸々が重なったとき、優しくあろうとするが、気づいたら僕を縛り付けてしまう母親も、いた。
少し前の僕は、その先生や、その頃の母親になっていた。
それを、自分や、自分の周りの人や、自分が大切にしたい人に向けてしまっていた。
いまは、まずは自分から愛していきたい。
自分で、自分の認めたくないところを、叩きつけたり、怒鳴ったりするのをやめたい。
嫌なところがあっても、叩かずに、それを目をそらさずに見つめる。
見つめた上で、「そうか、辛いんだね」といたわる。
いたわった上で、「変われるといいね」と静かに待ってあげる。
待った上で、いつになるのかと、結論を急かしたり、監視したりせずに、でも心はそちらへ向けてあげる。
自分を愛することは、周りの人や、大切な人を愛することとおなじことだ。