『紫に染まる綿棒』
お風呂上がり、耳かきをするのが私のルーティン。今日もいつものように耳かきをしていた。ガリッちょっと大きめな耳糞に当たった。丁寧に耳糞をほじりとりだすと、そこにはちぃちゃい紫芋が乗っていた。
紫芋?は?紫芋じゃん。え?なに?
私は混乱しながらも綿棒の先の紫芋をつまむ。
紫芋は
「チャー…」
と産声をあげ、ふたつに割れた。
よく見るとそれは、真っ二つになった紫芋色のタムケンではないか。生まれた姿の小さなタムケンはまだ目も開けられない様子である。
私は綿棒を取り出したはず……。
夢でも見ているのかと目を擦ってみたが、タムケンの手にはお馴染みの獅子舞が携えられている。それもご丁寧に2Pカラーで用意されていた。
このタムケンは何ゴミに分類されるのか、下水に流していいのかなど考えていると、TVでアメトーークが始まった。
そこにはここにいるタムケンの姿があった。
「これがまだ2Pカラーが存在していない世界線のタムケンか…」
と思った。
アメトークでは生ゴミ芸人というテーマでやっていた。タムケンはほたちゃんに話をふられた瞬間、自慢のししまいを召喚し隣のケンコバの乳首を噛みちぎる。瞬間、スタジオは阿鼻叫喚と化す。出演者の乳首は次々と噛みちぎられ、乳首は生ゴミと化していった。
シンとしたスタジオの中で佇む半裸の男。どうしてこうなってしまったのか、彼には分からなかった。
隣にいる獅子舞の頭を撫でながら呆然とするタムケン。
失態を犯した彼は、気がつくと紫芋色の身体へと戻ってたちまち4等分になった。
ーーー
「それで、ヨウ素デンプン反応は青紫色と書くようになったんだね!」
「そう、紫色はプラナリアタムケン反応のことを指すからね」
日本の化学の未来は明るい。
ー完ー
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作者 ばちんこ/少年/人外/ぱりぱり
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