『お参りする神』
目を閉じ、静かに佇む。私の日課である。
私の社からそう遠くない小高い丘の林にひっそりとある祠。暖かい陽気と爽やかな風を感じる反面、私の心は波立っている。
神は信仰を失うと消える。
俺は3人組で会話すると消える。何急にボケてんだって?つまりは神も人も同じってこと。わかる?神は人からの信仰で形を成すのであれば、俺は偶数人数でないと人権が得られないってワケ。あれ、なんか目から汗が……
「どーしたん?泣いてんの?」
隣で酒を飲んでいた宜保愛子が俺を覗きこむ。
後ろには着いてきた心霊番組のカメラマン共がわらわらと湧いていた。
いや、さすがに俺の社が心霊スポットだからってこんな来る?迷惑だな〜と思っていると何もなってないのに宜保愛子が「きゃー!」と声をあげた。え?なに?と思って後ろを振り向くともう1人の宜保愛子が立っていた。
「そいつは偽物よ」
後ろに立っていた宜保が言う。
「私の左目は見えないの」
確かに宜保愛子は5歳の頃に失明していた。
じゃあ、こいつは……?
「あーた、私と彼女の違いにも気付かないなんてどうかしてるわよ」
独特の滑舌でいつの間にかドレスに着替えていた根本 七保子ことデヴィ夫人であった。
驚く私を横目に宜保愛子は
「この違いに気付けないようじゃ、お参りなんて1億年と2000年早いわよ」
デヴィ夫人と宜保愛子は、身を寄せあってほほほと笑った。
「あーた神格向いてないわよ。出川と変わりなさい」
デヴィ夫人が指を捻ると、俺の体は四散した。
その直後俺の体は出川になった。
「これが新しい俺?New me?」
「そーよ、あーたがうだうだ言ってるのからよ」
こうして俺は出川となり、イッテQに出演となった。
作者 ばちんこ/少年/人外/ぱりぱり
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