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懺悔室
電車で人と帰っていたとき、隣にいたおっきいひとのズボンのチャックが開いていた。
開いていたというよりもうズボンが落ちかけていた。
社会の窓どころではない。
何度か視線を送ったが気にする様子がない。
このひとは気づいていないのか?もしかしたら気づくかもと思い、わたしはちょっと聞こえるかなくらいのボリュームで近しい話題の話を始めた。
ともだちの撮影現場で、半ケツが出ているキャラクターをどう撮るか議論になった話をした。
これでいきましょう!となったときあまりにもおしりが出ていたので、これは出し過ぎではないかと伝えたけど、これくらいがいいらしい。おしりの割れ目がくっきりするくらい出ていたので、本当に!?となった。手でおしりのかたちをつくって熱く語っていたら、たぶん声が大きくなっていってしまった。おっきいひとはなんだか申し訳なさそうにズボンを一生懸命あげだした。おっきいひとに声が届いたのだ。その時、私はなんだかとてもよくないことをしてしまったと後悔した。このおっきいひとは仕事帰りで、1日疲れた体は仕事のキツさもズボンのキツさも許してくれなかったんだ。もう限界まできていたんだ。そんなお疲れのひとに気を遣わせ、少し嫌な思いをさせてしまったんだ。
なんだか切ない表情のおっきいひとをみて懺悔したいと思い、ここを懺悔室とさせてもらった。
ごめんなさい。
ついでに、今までの懺悔したいことも相殺しておこう。
小学生の頃、家族で回転寿司にいった。
レーンがカーブする位置に、しゃりだけが転がっていた。ちょうどひっかかってしまっていてちょっとずつ場所を移動させながら回転してた。それがおもしろくて姉とずっと笑っていた。すると、ひょいっと箸でしゃりが救出された。反対レーンの夫婦が、私たちを睨むわけでもなく、淡々とした顔でしゃりを助けた。あの表情が忘れられない。自分はバツが悪くなった。何度も悪いことはしてきたけど、これはずっと心にこびりついている。
ごめんなさい。
もうひとつくらい懺悔しとこう。
これも小学生くらいのころ、親とドラッグストアにいった。
普段行かない店舗だったため、おもちゃコーナーを物色していた。おはじきが黄色いネットに入って売られていて、それを手に取った。厚紙とネットをホッチキスで固定してあるタイプで、たぶんそこが外れたんだろうけど、おはじきが一面に広がった。
焦って焦って急いで拾い集めて、ネットにしまった。
これは弁償だ…どうしよう…でも怒られる…
このあと親に言ったら、あーあ大変って言われたところまで覚えている。そのあと店員さんに話をしたのか、そもそも親にも言えずに見て見ぬふりをしたのか定かではない。いま、又吉直樹の人間を読んでいるから、記憶とはなんとも曖昧で自分勝手なものであるか考えさせられている。自分が勝手に記憶を捏造しているかもしれない。
ごめんなさい。
この文章もナカノタイチ以下のどうしょもない自分を慰めるためのクソみたいなコラムかなコラムではないか。
ごめんなさい。
もうええでしょう。
地面師、結局2話までしか観てないな。
もうこうやって文字にしたことで、おっきいひとのこともずっと忘れないんだろうな。
自己満懺悔室。
全く関係ないけど、豚山に行ってから二郎系ラーメンにハマってしまい、セブンでよく買うようになってしまった。今も買った。ああ、デブ。ダイエット宣言したばかりなのに。謝ってなんとか罪悪感を減らしとこう。
ごめんなさい。