超考察:第3章「小ネタ集」&4章「インパクトで何が起きた?」+「カヲルが13番目に堕ちた理由」・世界一深い「新劇場版エヴァンゲリオン考察」
以下ネタバレ大量に含まれます。
【ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序・破・Q】の3部作と、
【シン・エヴァンゲリオン劇場版】について、おそらく今、一番理解していると思われるシンゴリが解説します!
【前提】
基本的に、作中で描かれたこと以外は無視します。
絵コンテは【参考】にはします。
【次回予告】は基本的に無視します。
本記事は基本無料ですが、最後の超深い考察のある「超深考察」だけ有料(100円)です。
無料部分が面白いと思ったら缶コーヒー一杯おごると思ってご購入ください。
シンゴリは以下の内容を作成予定です。マガジンは300円ですのでお得ですが先行投資だと思ってご検討ください。
第1章 ラストシーン解説(無料のみ)
ー19歳の碇シンジと駅のホーム
ー「マリEND」なの?
ー最後のシーンは反復している
ー第3村は消えたのか?
第2章 新劇場版は旧作と似て、非なる世界
ー「旧劇場版」は生命の実VS知恵の実
ー「生命の実」VS「知恵の実」ではない新劇場版の世界
ー「渚カヲル」の円環と「旧劇場版」の仕組み解説
★超深考察「円環しているのは渚カヲルだけではない」
第1章&2章はこちら
第3章 小ネタの館(無料のみ)
ー細かいネタ
・リツコのグリップシューズ
・マリの外国語
・ジェットアローンとは?
・アスカのぬいぐるみ
・ナディア38話のデジャヴ
ーシンジ復活の兆し
鳩→綾波の目→月と綾波
ー都市伝説「ゲンドウ=渚カヲル説」を検証
第4章 そのインパクトで何が起きた?
ー「破」のニアサードインパクトとは何であったか?
ー「Q」のフォースイノパクト(未遂)とは何であったか?
ー「ニアサー」と「フォース(未遂)」の類似点
ー「ニアサー」と「フォース(未遂)」の相違点
ー「ニアサー」と「フォース(未遂)」からわかること
★超深考察「13番目」にカヲルが落とされた理由
第5章 さらに深く世界を知る
ー「新劇場版ぶら散歩」神/ゼーレ/人類-の技術
ー「リリス」実はとんでもなく強かった!
ー「パターン青」ーエンジェルブラッド
★超深考察:リリス考察
★超深考察「セカンドインパクトとサードインパクト」
★超深考察:「使徒」何故、第3新東京市を攻めてくるか?
第6章 実はヒーローだった「ゲンドウ」
ー碇ゲンドウがヒーローになるまでの歴史
ーもし、ゲンドウが「ネブカドネザルの鍵」を使わなかったら
ーゲンドウの回想
★超深記事:死海文書の契約(リリスの契約)って何?
★超深記事:「ゼーレ」と「ゲンドウ」から見た新劇場版
第7章 作品のテーマ性
ー「レイ・アスカ・マリ」3人の女性
ーATフィールドの時代だった平成
★超深記事:令和の時代はコア化とインフィニティ
★超深考察:綾波レイとは「究極の持たざるもの」
はじめに
1995年にテレビ放送された「新世紀エヴァンゲリオン」の「リビルド」として始まった「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズだが、「序」の時点では細かい点が異なるものの、概ねテレビシリーズと差異がない「見たことのあるエヴァンゲリオン」のように見えていた。
そして、「破」で真希波マリが出てきたり、参号機にアスカが乗ったり、「レイの食事会」というイベントが発生したり、最後にはシンジがインパクトを起こしたのを、早々に渚カヲルが舞い降りて止めたり、「見たこと無さそうなエヴァンゲリオン」が始まった。
そして、「Q」では予想しなかった「破、から14年後」という舞台設定の「見たことのないエヴァンゲリオン」が展開された。
そして、2021年、完結編である「シン・エヴァンゲリオン劇場版」では、「見たかったエヴァンゲリオン」を観ることができ、本当の意味で終わった気がした。
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しかし、庵野監督は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」でたくさんの謎解きを残してくれた。かく言うわたしも、その謎解きに取りつかれた一人だ。
この記事はその謎解きゲームに疲れた(憑かれた?)人の道しるべになりたいと思い、書くことにした。
セリフや時系列については、自分のメモや第三者のメモをベースにしているため、誤りがあるかもしれないが、複数回映画を見に行って確認しているので、解釈には間違いはないと思う。
念のため、これを書いている時点ではDVD等は出ていないため、ご容赦いただきたい。
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第3章 小ネタの館
この章では話題休閑として小ネタをいくつか紹介。
ー細かい元ネタ
今回のエヴァンゲリオンは色んな作品の引用(オマージュ)がたくさん出て来る。その中で自分が気が付いたものをいくつか紹介しよう。
正直、たくさんありすぎるので、全く気付かなかった人もいれば、もっと気づいている人もいるかもしれない。
・リツコのグリップシューズ
シン・エヴァンゲリオン劇場版 ©カラー
パリ作戦はアンチLシステムの柱の上に、プラグスーツを着たリツコが下りたつところから始まるが、このとき、足のアップになると「GLIP SHOES」と書かれた靴から始まる。
※なお、世界同時上映されていた0706作戦時には書かれていないが、マグネットで吸着されているかのような演技はあった。
0706作戦 ©カラー
これは1968年の宇宙を舞台にした映画「2001年宇宙の旅」のイントロのオマージュになっている。宇宙に浮かぶ宇宙船の外観が数カット映したあと、宇宙旅客機のCAが履く「グリップシューズ」のアップから始まる。
引用:2001年宇宙の旅
「シン・」では今回初めて地球の衛星上にヴィレの基地があることが発覚したが、このプラグスーツはコア化した「大地」ではなく、あくまでも宇宙上で使用することを想定されたものだとわかる。
・マリの外国語
マリは作中で英語、フランス語、中国語を喋っており、国際的なところをアピールしている。それぞれ何と言っているのか解説しよう。
“”まさしくMany a small bird drive away a hawkね””
直訳は「たくさんの小鳥は鷹を追い払う」だが、日本語で言うと「多勢に無勢」だ。
たくさんの44B(小鳥)が鷹(8号機)を追い払おうとしている状況がマッチしたため「まさしく」と言ったのだろう。
0706作戦 ©カラー
""Excusez-moi, Eiffel""
「失礼しますね、エッフェル塔さん!」ですね。
エッフェル塔にわびた後、ゴリゴリにエッフェル塔をネジって4444Cねじ込んだマリ。
0706作戦 ©カラー
なお、14年の歳月が経った「Qとシン・」では「不思議の海のナディア」からのセルフオマージュが多いのだが、実は「不思議の海のナディア」でも決戦はパリであり、戦艦がエッフェル塔を壊したので、今回もまた壊したのだと思われる。
ふしぎの海のナディア ©ガイナックス
”再見(ザイジェン!)”
アスカとマリが出撃する前に、シンジと話してから出撃するシーン。マリは「ザイジェン」とお別れを言うが、中国の「バイバイ」を表す言葉だ。中国では「再見=また会おう」と言って別れる。マリはポジティブなニュアンスで言ったのだろう。
ちなみに、筆者は中国に住んでいたことがあるが、みな「再見」とは言わず、英語の「バイ!」で別れる 笑
・ジェットアローンとは?
「シン・」の弐号機はほぼ大破した弐号機をベースにしているため、パリで奪還した「JA-02」をベースにしており、パリ作戦が上映されたときに古いファンの中で沸き立った。
0706作戦 ©カラー
Aとは?「ジェットアローン」のことだ。
これは旧作には出てきた機体で、エヴァンゲリオンと異なる対使徒用兵器で、完全に機械でできており、核融合炉により、アンビリカブルケーブルによる充電を必要としないロボットだった。
新世紀エヴァンゲリオン ©カラー
開発した組織は日本重化学工業共同体、通産省、防衛庁であり、ネルフと敵対していたため、ネルフ関係者によるハッキングされ、妨害されてしまう。最終的には暴走し、計画は頓挫することになったため、1話しか出てこなかったのだが、まさか25年経って弐号機と合体するとは・・・!
また、「シン・」の字幕付き版では、シンジとアスカが乗艦した後のサクラとアスカの会話のシーンのバックで流れるオペレーターのセリフに「ジェットアローンとの接続作業開始(だったはず)」と流れるため、ジェットアローンで間違いない。
・アスカのぬいぐるみ
予告でざわついていた幼女はアスカだったわけだが、彼女が作中で持っているぬいぐるみは旧作でアスカが踏んで壊してたぬいぐるみだ。
シン・エヴァンゲリオン劇場版 ©カラー
旧作ではいつも抱えてた母親替わりのぬいぐるみは、母親の死とともに破壊してしまう。
新劇場版では母親のいないクローンだった彼女はずっとカバンにこのぬいぐるみを付けている。これは、「母」の象徴だとすると、ずっと「頭をなでてくれる人が欲しかった」と言っている今作のアスカともシンクロする。
新世紀エヴァンゲリオン ©カラー
・ナディア38話のデジャヴ
ヴンダーの甲板に登場したゲンドウと対峙したヴィレクルー。リツコがいきなり銃で敵(ゲンドウ)のを撃つと、顔に身に着けているものが割れ、素顔が明らかになる、というくだり。
まったく同じ話が「不思議の海のナディア」の38話(最終回の1つ前)の回にある。
敵対するガーゴイルの顔をいきなり撃つエレクトラ。すると、今まで一度も仮面を外さなかった敵の素顔が見えるという演出。そのあとブルーウォーターの秘密などについて話すのだが、「シン・」の甲板の上のシーンと一致している。
不思議の海のナディア 第38話 ©ガイナックス
あと余談だが、宿敵ガーゴイルの声優は冬月先生だ 笑
不思議の海のナディア 第38話 ©ガイナックス
ー都市伝説「ゲンドウ=渚カヲル説」を検証
最後の方で唐突に出てきた「碇司令」というワードは大いにファンをざわ憑かせた。
その中で出てきた「碇ゲンドウと渚カヲル」は同一人物説という都市伝説が出てきた。
根拠となるのは以下の通り。
ー加持が「渚司令」と加持が呼ぶときの構図が、ゲンドウにネブカドネザルの鍵を持って出て来るときと同じ
ー同じ「ピアノ」が大好き
ー初号機の出撃時に敵対する第13号機(=ゲンドウの機体)が渚カヲル初回登場時(↓)と同じ。
ー補完の中でゲンドウが補完を諦め電車を降りると、カヲルが出て来る
シン・エヴァンゲリオン劇場版 ©カラー
新世紀エヴァンゲリオン ©カラー
正直、根拠は薄いかな・・・と思いつつ、自分なりに肯定材料と否定材料を探してみた。
ー肯定できる要素
1-シンジがカヲルに「君の13号機を処分しようと思う」と言ったシーン。
何故、「父さんの13号機」ではなく「カヲルの13号機」と言ったのか?それはシンジがゲンドウとカヲルが同一人物だと気づいたから…かもしれない。
2-第13号機は「ダブルエントリー」だ。逆に言うと、2人以上は入れない。片方に「アスカのオリジナル」が乗っているとすると、もう片方に「カヲルとゲンドウ」が乗っていることになる。
これは「ゲンドウ=カヲル」であるため、実際は一人が乗っているからなのではないだろうか。
正直、肯定的な内容はここら辺が考えられる。
さらにもう1つあるとすれば、後述の「カヲルが第13番目の使徒に堕ちた理由」で述べるが、Qのフォースインパクト未遂でゲンドウは「カヲルの何か」を引き継いでおり、それに「カヲルのシンジへの想い」が含まれる可能性がある。しかし、「最初から、カヲルはゲンドウの光の側面を持っている」は否定してしまうことになる。
ー否定的な要素
1-「渚司令」の記憶
加持の「渚司令」は「碇司令」、すなわち「ゲンドウ=カヲル」の混同によって起きているとは正直考えづらい。「渚司令」、「リョウちゃん」の関係ではないが、「序~Qの円環」とは別の円環の中で親しくなったことがあったのだろう。
「第1使徒から第13使徒に堕とされる」という経験はこの、「序~Qの円環」が初めてであると考えられるため、残念ながらカヲルが「第13使徒」になった時点で加持は死亡している。
あくまでも、このシーンは過去に仲の良かった「加持」を思い出し、彼に代弁してもらっているというのが正しいだろう。
アスカの補完でも、実際底にいないはずのケンケンが登場するように、補完中は記憶やイメージがセリフを代弁するケースも考えられる。
しかしながら、「Q」では加持とのやり取りを思い出しているような描写も見られるため、過去に「加持」との関係があったのは間違いないだろう。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q ©カラー
2-同じピアノが好き
これも正直難しい。マリとレイが読書が好きなので、同一人物と言っているようなものである。よって根拠は乏しい。
しかし、「Q」でカヲルとシンジがピアノを弾いた描写については、1つ仮説がある。カヲルは円環の中でゲンドウがピアノを好きであることを知った。
「Q」で何度もピアノを弾き、連弾(複数人で弾く)を練習したのは、いずれゲンドウとシンジで親子の会話=連弾をしてもらうためだったのではないだろうか。
3-シンジを待っているポーズが同じ
第13号機が待っている姿はカヲルの初回登場とは方向やポーズもだいぶ異なっている。カヲルはシンジに背を向けているが、ゲンドウは半身でシンジの方を向いている。ちょっと同じとは言い難いかな…。
シン・エヴァンゲリオン劇場版 ©カラー
新世紀エヴァンゲリオン第24話 ©ガイナックス
4-ゲンドウが補完の中心から降りるとカヲルが出て来る
これはさすがに第13号機にいたのがカヲルとゲンドウであり、ゲンドウが補完を降りたため、反対側に乗っているカヲルが補完を始めたのだろう。。
同一人物だからというよりは、同じ機体のパイロットだから、だ。
Qでシンジのエントリープラグが射出されるとき、カヲルがシンジを見送る描写があるが、魂はそこに残ったことを意味していたのだろう。
©ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q ©カラー
エヴァンゲリオンはもともと「生命の実」と「知恵の実」を取り込んで、疑似的な神を作るシステムであるため、エヴァに同化した魂はエヴァの中に残る。
初号機と同化した碇ユイ、綾波レイ、碇シンジ、第9使徒、第10使徒はその中に残る。同様に第13号機も、渚カヲル、式波アスカ、第9使徒、第12使徒等が残っていると考えられる。
これについては「シン・」の中でもマリが「第13号機の中に姫(=アスカ)が残置されている可能性がある。」と言っている。
ー結局どうなの?
私は上記の理由で「ゲンドウ=カヲル説」は否定する立場をとる。「破」の中で綾波レイが食事会をして、碇親子の距離を縮めようとしたのに対して、カヲルも「ピアノ」というものを使って親子の仲を取り持とうとしたのだろう。
そこに「渚司令」のくだりが入ったことで、混乱を生んだと結論付けたい。
第4章 そのインパクトで何が起きた?
本では以前書いた以下の記事も参考にしつつ、「新劇場版シリーズ」で起きたインパクト関連の話を掘り下げていく。
新劇用版を通して描かれているインパクトは「シン・」も踏まえると、5種類。
・「破」のニアサードインパクト
・「Q」のフォースインパクト(未遂)
・「シン・」のアナザーインパクト(違う様式のフォースインパクト)
・「シン・」のアディショナルインパクト
・「シン・」のネオンジェネシス
上記の5種類になっており、ファーストインパクト、セカンドインパクト、サードインパクトについてはほとんど描かれていない。
我々はこれらの情報から、「インパクトとは何か?」を紡がなくてはいけない。
ー「破」のニアサードインパクトとは何であったか?
「Q」公開当時は、ニアサードインパクト(ニアサー)とサードインパクトについて、複数の説があったが、今回の「シン・」で両インパクトの関係はある程度明確になり、「ニアサー」と「サード」は時期が離れている別々のインパクトであることが確定した。
破のエヴァ初号機はシンジとシンクロしシンクロ率400%を超えた。そして、最終的には疑似シン化覚醒形態になる。本来、エヴァを覚醒するためには使徒の「生命の実」を捕食する必要があると推測されるが、初号機は第9使徒を捕食していたため、シンジをトリガーとしエヴァ覚醒状態へとなった。
なお、生命の実が必要であると判断する理由は人間がインパクトを起こすためにエヴァンゲリオンが必要であることから推測している。
人間が持っていない「生命の実」を得るために、エヴァンゲリオンという装置に「生命の実」を宿し、「疑似的に」神に近づいている。
この状態を「疑似シン化」と解釈するとこの後も辻褄があう。
第10使徒を殲滅し、まだ第11・12使徒を倒していないにも関わらず、インパクトを始める。ゼーレの補完計画は「①全使徒の殲滅」、「②知恵の実の破棄」が前提となっているが、それを無視する形で、インパクトが進む。
ガフの扉を開き、シンジの願い=綾波を助け出すを叶える形でインパクトが進む。なお、この時点では「シン化形態覚醒第1形態」であり、エヴァンゲリオン初号機の形状をとどめている。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 ©カラー
その後、第10使徒から変容した綾波が初号機と融合を果たすと初号機は「エヴァ疑似シン化第2形態」へと姿を変える。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 ©カラー
その後、エヴァmark.6が降下し、「カシウス=希望」の槍でシンジを貫いたため、初号機は元の姿に戻り、インパクトは終わる。余談だが、ガフの扉を開く過程で第3新東京市を吹っ飛ばすため、鈴原の家族などを殺してしまう。
ここまでが【ニアサードインパクト】だ。
なお、ここで参考になるのがリツコが、「シン化第2形態」を見た時の解説だ。
「人の域に留めておいたエヴァが本来の姿を取り戻していく。
人の掛けた呪縛を解いて人を超えた神に近い存在へと変わっていく。
天と地と万物を紡ぎ、相補性の巨大なうねりの中で、自らをエネルギーの疑縮体に変身させているんだわ。
純粋に人の願いを叶える、ただそれだけのために」
【人の域に留めておいたエヴァが、本来の姿を取り戻していく】とは、エヴァのそもそもの姿は「シン化覚醒」した状態であり、それを装甲版(=拘束具)により制御しているということがわかる。
【人の掛けた呪縛を解いて、人を超えた神に近い存在へと変わっていく。】は難解であるが、「神に近い存在へと変わっていく」は現在は「神に近い存在」ではないが、「神に近い存在へとこの先、変化するだろう」という仮説を表しているため、シン化第2形態~第3形態付近にエヴァ本来の姿があると推測される。
【天と地と万物を紡ぎ相補性の巨大なうねりの中で、自らをエネルギーの疑縮体に変身させているんだわ。純粋に人の願いを叶える、ただそれだけのために】という最後はなかなか難しい解釈になるが、【天と地と万物を紡ぎ相補性の巨大なうねりの中で、自らをエネルギーの疑縮体に変身させているんだわ】は前述の「疑似シン化覚醒第3形態以上」の状態の能力、すなわち【神】の能力を形容していると思われる。
最後の【純粋に人の願いを叶える、ただそれだけのために】は、ゴルゴダオブジェクトにアクセス、現実をかなえれるということを表していると思われる。
この一説が、【人類補完計画との差異】に当たるものと推測される。人類補完計画とは、全生物を対象に「魂と体の形」を書き換えるものなのだが、この「ニアサードインパクト」は純粋に、シンジの「綾波を第10使徒から取り返す」という願いのためだけに大量のエネルギーとゴルゴダオブジェクトの「事象を書き換える力」を取り出している。
このインパクトは他のインパクトとはディテールが異なっている。主に異なっている点は以下の2点。
1ー使徒を全て倒したわけではないこと
2-ロンギヌス及びカシウスの槍を使用していないこと
3-対象が第10使徒と綾波レイだけであったこと(人類補完のような大規模ではないこと)
上記の点で異質なインパクトであったことまでをも踏まえて、「Qのフォースインパクト(未遂)」も追ってみよう。
ー「Q」のフォースインパクト(未遂)とは何であったか?
「Q」のフォースインパクトは「未遂」となっている。
リツコの「誰のおかげかわからないけどフォースは止まった。ミサト今はそれでよしとしましょう」という言葉からも、フォースインパクトは「未遂」になっていると考えてよい。「シン・」でも、再びフォースインパクトが起きないように第13号機を停止するのが目標となっている。
このフォースインパクト(未遂)は、ゲンドウの「だがゼーレの少年を排除し第13号機への覚醒を導いた。葛城大佐の動きは計算内だ。今はこれでいい。」という発言から、目的は「カヲルの排除」と「黒き月」の入手だったと思われる。
さて、このフォースインパクト(未遂)も、インパクトを考察するうえで貴重なサンプルとなるので分析してみよう。
きっかけは、第13号機が自動で動き、槍を抜いたことから始まる。
この「槍を抜く」はシンジの気持には対応させているものの、直前のカヲルが「操作系が(乗っ取られた、だと思われる)」と言っているように、第13号機が自立型になって、勝手に動いているのだと思われる。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q ©カラー
第13号機が槍を抜くと、2本の槍は両方ともにロンギヌスの槍へと変わり、リリスやリリスから生み出された骸骨は消失し、大量のLCLとエヴァmark6が残る。
その後、mark.9がMark.6の首を切断すると、第12使徒が出現し、第13号機を取り囲む。すると、カヲルが第13使徒になったと言い始め、第13号機には翼が生え始める。
第12の使徒が自ら縮小すると、第13号機がそれを捕食し、インパクトが始まった。
上空に第13号機が飛翔すると、第13号機は「疑似シン化覚醒第3+(推定)形態」へとなり、ガフの扉を開き、地底からは「黒き月」がせりあがってきた。
黒き月からは新たに「エヴァインフィニティ」が排出され、ガフの扉の奥には、「シン・」にも出てきたゴルゴダオブジェクトも見えている。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q ©カラー
第13号機が自分のコアを貫き、聖痕を刻むと、それはシンジに反映された。そして、カヲルが自爆すると第13号機は落下するもインパクトは止まらず。
マリが第13号機からシンジのプラグを射出すると全てのインパクトは止まった。
ー「ニアサー」と「フォース(未遂)」と共通点
劇中で描かれた2つのインパクトについては、それぞれ共通点と相違点がある。まずは共通点から見てみよう。
それぞれ「エヴァ、使徒の生贄、シンジ、シン化」、そして「ガフの扉」。
①「エヴァ、使徒の生贄、シンジ、シン化」
当たり前だが、エヴァンゲリオンを使用している。先述の通り、「疑似シン化覚醒」、つまり疑似的に神に近づいている状態を指している。
エヴァで神と言えば、「生命の実」と「知恵の実」を持った存在を指している。
エヴァとは「神」に似せた姿だと思われる。「シン・」の中で第13号機について、式波タイプのオリジナルが「最後のエヴァ(=第13号機)は神と同じ姿」と言っている。
しかし、そこには意思も魂もない。単なる器である。そこに、「知恵の実」を持つ生物と「生命の実」を持つ生物を入れることで、疑似的な「神」として儀式を行うのが「インパクト」の原理だと推測される。
なお、両インパクトに於いて、シンジがトリガーになっているが、セカンドインパクトやサードインパクトではシンジはその場にいないため、他の「知恵の実の生命体」がいたか、違う法術に基づいたインパクトが行われた可能性は否めない。
②ガフの扉
「破」でも「Q」でも、エヴァの頭上に広がる同心円状の空間に空いた穴を指す。
こちらの名前は同名の「生命が生まれる前に魂が、出番を待つ伝説上の部屋」から来ている。名前の意味からだいぶ変わってしまったが、「新劇場版」では「マイナス宇宙」へ通じる門であると推測される。
この門の奥には「全ての虚構と現実が等しく存在する」と言われているゴルゴダベースが見えている。
「新劇場版シリーズ」では、基本的なインパクトの仕組みとして、疑似的な神を作り、生命の実で永久的に大量のエネルギーを出し、マイナス宇宙のゴルゴダオブジェクトにアクセスし、この世を書き換えるのが「エヴァ世界での科学」なのだろう。
ー「ニアサー」と「フォース」の相違点
前者では共通点を語ったが、今回は相違点を挙げてみる。
「初号機と第13号機、2つの魂」、「黒き月、ネルフ本部(柱から何が出ている)」、「2本の槍」
相違点を挙げればきりがないのだが、この4点に絞る。
①「初号機と13号機、2つの魂」
使用されている機体が異なっている。初号機はシングルエントリーであり、碇ユイがコアにダイレクトエントリーしている機体である。第13号機はカヲルとシンジの2人が入っている機体である。
碇ユイがそこに生きていると考えると、エントリーシステムが異なるだけで2つの魂が入っていることが同じである。共通点ともいえるが、相違点ともいえる。
②黒き月とネルフ本部
フォースインパクト(未遂)では黒き月が大地から出てきている。黒き月からは大量のエヴァインフィニティが出てきている。
引用:ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q絵コンテ集 ©️カラー
また、ネルフ本部もインパクトに作用している。12本の尖った塔から赤いエネルギーが放出されており、こちらはコンテ集を見ると「エネルギー流」だそうだ。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q ©️カラー
ニアサーの時は、ネルフ本部の近くでインパクトが起きていたが、この2点は異なっている。
③2本の槍
なんといっても一番の違いはこの2本の槍だろう。「シン・」において、棒状態の「聖なる槍」は持つものによって「絶望のロンギヌス」に変わる、「希望のカシウス」に変わるかの違いがあるだけで、元々は同じ一本の槍のようだ。
また、槍を生贄にすることで世界を書き換えるインパクトができ、その際には「希望の槍と絶望の槍を相互に生贄にする」必要があるようだ。
上記のことから、ニアサーはこの槍を用いずインパクトを行っており、結果的にカシウスの槍で貫かれなくても、世界を書き換えるような大きなインパクトはできなかったのではないかと推測される。
ー「ニアサー」と「フォース(未遂)」からわかること
上記から、インパクトについてわかることを挙げてみよう
①「ニアサー」がインパクトを起こすためのミニマムかも?
覚醒済みのエヴァンゲリオンを1体、生命の実の生命体が1体、生贄の使徒が1体、これが最低限だと思われる。
エヴァンゲリオンを覚醒に導くには、エヴァンゲリオンに生命の実の生命体が取り込まれているいる必要があるとも考えられるが、エヴァ第13号機は覚醒する前に、生命の実を取り込んでいない。
しかし、使徒であるカヲルが乗っているため、この工程が満たされていると考えらる。
もちろん、初号機は第9使徒戦でダミープラグを使用し、初号機に使途を捕食させている。
②叶える願いが多いほど、莫大なエネルギーや槍が必要
「ニアサー」と「フォースインパクト」では対象が異なっている。
「ニアサー」が既存の生命体(綾波レイ)を使徒から抽出するだけに対して、「フォースインパクト」では新たな生命体を作り出し、地球の体系を変えてしまうほどの規模であるため、莫大なエネルギーが必要であったと考えられる。
「ニアサー」ではエネルギーは初号機から取り出される分で賄っていたが、「フォース(未遂)」では、第13号機からのエネルギー流入に加え、ネルフ本部からもエネルギー供給をしていた。
また、後の「アナザーインパクト」でも、それに加えて戦艦4隻を追加していることから、莫大なエネルギーの創出が必要だと考えられる。
無料版はここまでになります。
★超深考察「13番目」にカヲルが落とされた理由
★超深考察「セカンドインパクトとサードインパクト」
が気になる人は引き続き有料版を見てみてください。
ここまで読んで面白かったよ!って人は、「♡(ハートボタン)」を押したり、RTをしていただけると死ぬほどうれしいです!!!
まだまだ、無料で見れる考察記事はたくさんあるので見てくださいね!
★超深考察「13番目」にカヲルが落とされた理由
それでは、未だ謎の多い「渚カヲルが第13の使徒に堕とされた謎」について、ほとんど語られたことないであろ【カヲルが第13の使徒】になっていく表現にも触れて話をしよう。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q ©カラー
はじめに、皆さんはカヲルが「第1使徒」からナンバーが違う「第13使徒」になったと「ナンバリング」について変わったと思っているだろうが、それは間違っている。
実は、身体的変化を伴って「第13使徒」になっている。
これが第13使徒になる前のカヲルで、
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q ©カラー
こちらが使徒になった後のカヲル。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q ©カラー
違いにお気づきだろうか?
もう一つヒントに、カヲルが使徒化したあとのシンジのエントリープラグ内がこんな感じだ。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q ©カラー
答えは、
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