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ちかてつ味

今日の夢は、不思議だった。
だから目覚めた瞬間に、記したくなった。


小学校の体育館のギャラリーで、小学生の私は袋からアメを取り出して舐めた。
そのアメは、鉄の錆を体現したような赤茶色だった。

袋には「ちかてつ味」そして「化学的でおいしい!」という文字。
しかしそのアメは、舐めても舐めても私に一向に感動を与えてはくれなかった。
それもそうだろう。「ちかてつ味」はまるで醤油を煮詰めた上に塩分を加えたような、とても塩辛くて全く美味しくない代物だったのだ。

気づいたら、目の前にいる人の目が冷たい。
高校時代に演劇部の私がよく見かけた、名前も知らないダンス部の後輩だった。

「それまずそう」と、彼女は私を一瞥する。
私も同感である。というより本当に不味い。

しかし普段から化学調味料を摂取している私が、なぜこの化学的なアメを美味しいと思わないのだろう。
私はなんて愚かなのか。化学的な味に囲まれた末に、化学的な味を突き放すなんて。これから何を食べれば良いのだろう。
こうして悲観的になったところで、目が覚めた。

※イラストは思い出せる部分のみ書きました(商品名がどうしても思い出せない)。また、あくまでもこれは創作ではなく夢の話です。

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