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会社四季報で最低限チェックしておきたい項目ってどこ?
四季報ってどこを見たらいいの?
四季報の内容ってどこが大事なポイントなの?
四季報の見出しや記事欄には文字数制限あるので
企業の最新情報のほんの「一部」しか掲載することができません。
私自身、初めて買った時はどこをどのように見ていけば良いのか解りませんでしたが、
気になる企業について、HP等と併用していくことで、「企業精査」の楽しさや必要性を知る事に繋がりました。
四季報を、ただ漠然とペラペラと読んだだけで「直ぐに利益に繋がる」のであれば、周りの人みんな億トレですよね。
そんな事は期待してはダメで、
四季報では「企業を知り」「未来の利益に繋がる銘柄」を発掘する切っ掛けにすれば良いのではないでしょうか。
「新年度大バケ期待の銘柄はこれだ!」のような銘柄には飛び乗る前にしっかり「精査」をし、納得したうえで投資対象にしましょう!
◆それでは見ていきましょう!
●先ずは記事欄から
「連続増配」等の文言に続き、企業の近況や新事業の取り組み、案件の推移などについて記載されています。
例えば、秋号で「三菱商事/8058」を確認してみると、
「欧州再エネ事業拡大」との記述があります。
ここで大事なのが、その内容を更に深堀してみるという事です。
再エネ事業と言っても、その内容や拡大の規模までは四季報を読んだだけでは解りません。
読み進めていく段階で、気になる企業があった際は、「決算説明資料」でその内容を把握しておきましょう。
ただし、その場で手を止めて作業を進めると、
四季報をそのものを読む時間が削られてしまいます。
とにかく、気になる記述や文言をチェックする。
◆最低限見るべきところと手順
先ずは、自分がわかりやすい業界から見てみましょう。
①企業概要
②財務状況
業績は良いか?チャートは右肩上がりか?PERはどうか?など、パッと見た印象も大事です。
どんなに業績が良好であっても、事業内容、テーマがまだ注目されていない銘柄もありますので、数字だけで判断しないようにしましょう。
①企業ピックアップ
②気になる企業の気になる項目を短信や資料で精査
③チャート確認
④ファイルに入れる
⑤株価アラート設定
私は現在「1日1銘柄精査」を継続しているので、特にこの時期に一気に読み込むということはなくなりましたが、
オンライン版で選定銘柄は都度再確認しています。
また、この時期は多くの人が四季報を読んでいるので、一般的にどの部分、どのセクター、どんな事業に注目をしているのかを読み取り、Tradeに活かせるようにしています。
●財務の項目(下記の赤い欄)では、
時価総額、自己資本比率、有利子負債、ROE、キャッシュフローなどの確認ができます。
財務内容はとても重要ですので、下記で詳しく説明をしてあります。
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◆具体的にこんな感じで見ています!
下記「YEデジタル/2354」を例に説明したいと思います。
左が四季報「紙面ページ」で右は「決算説明資料」になります。
今回の四季報「記事欄」には、「倉庫自動化」についての記述がありますが、倉庫自動化って?なあに?と思いますよね。
詳細は四季報だけでは把握できない為、
下記のように更にその内容を把握します。
資料には規模や計画についても、より詳しく記載されています。
このように、更に深く精査すると企業に対する理解力も深まり、
保有に至った場合「握力」も高まり、日柄調整など多少の下落の際に、安易に手放してしまうようなこともないでしょう。
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このように並べて、「記事欄」に記載してある内容を確認
◆映像クリックで資料に飛びます!
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「倉庫自動化」についての詳細、
取引先、今後の展望なども記載されています。
◆時価総額について
時価総額は、企業価値や会社の規模を評価する指標になります。
1000億円以上の企業になると、
機関投資家など大口投資家の資金も入ってくると言われていています。
◆自己資本比率について
自己資本比率は、貸借対照表の負債と純資産を合わせた総資産に対して返済不要の自己資本(純資産)がどのくらいの割合かを表したものになります。
一般的には30~40%以上あると安全な企業と言われています。
資産には、株主等から調達した「返済しなくても良い資産」と、借り入れ等で生じた「返済しなければいけない資産である負債があります。
その合計が総資産で、「総資産から負債を引いたものが純資産」になります。
総資産に対する純資産の割合が、自己資本比率になります。
有利子負債とは、「短期借入金」や「長期借入金」など、利子が発生する負債になり「財務諸表」で確認できます。
負債額については、純利益の10倍以内なら安全であると一般的には言われています。
有利子負債が多過ぎると、経営上、利息の返済が大きな負担となり、企業の健全性を測るうえで重要な指標になるため、しっかりと把握しておきたい指標になります。
10倍を超えると有利子負債が多いと判断されています。
◆ROEとは
ROEとは、自己資本純利益率です。
(純利益÷自己資本× 100)
自己資本を使ってどれだけの利益を出すことができたかを表す指標になり、企業の稼ぎ方「効率的に利益を得ているか」など、経営内容をROEから判断することができます。
一般的な基準としては10%以上あると良いと言われています。
自己資本比率とは相反する指標になりますが、自己資本比率、ROE共に高い会社もあります。
たとえば、現状ROEが低くても毎年改善している企業であれば、その価値が上がる可能性は期待できると考えても良いかと思います。
気になる企業は、
企業IR資料で「ROEの目標が記載」されているかを、確認してみるのも良いでしょう。
◆キャッシュフローについて
キャッシュフローは、企業の現金の流れを表す指標です。
例えば、黒字であっても倒産に追い込まれる企業が存在しますよね。
そこを把握できるのがキャッシュフローになります。
「営業キャッシュフロー」
「投資キャッシュフロー」
「財務キャッシュフロー」
の3つに分類されます。
◆キャッシュフロー詳細
営業キャッシュフローは、
商品販売やサービス提供で得た収入から、
仕入れや営業活動に必要な諸費用を差し引き、本来の営業活動から得られた金額になり、
プラスが望ましいとされます。
営業キャッシュフローの項目をしっかり見ていくと、
「売り上げ計上はされている物の、入金がまだ入っていない状態」なども把握することができます。
キャッシュフローを見ることはとても大事ですので、併せて決算書を確認してみましょう。
投資キャッシュフローは、固定資産等の増減に伴う現金の収支をチェックする項目です。
有形固定資産(土地や建物)を取得した際には、「支払った額がマイナス計上」され、「売却した際にはプラス計上」となります。
業績が悪化してしまった際など、事業再編で資産売却が多い場合はプラスになります。
他には、「子会社取得の費用」もここに計上されます。
財務キャッシュフローは、社債や借入金等が多いとプラスになり、返済が進行している過程ではマイナスとなります。
有利子負債の項目でも記載してありますが
純利益の10倍以内であれば問題ないとされていますので、
財務CFがプラスというだけで「財務が悪い」という評価はできません。
また、みなさんが大好きな「配当金」の支払いも、この財務キャッシュフローの項目に計上されます。
他には、「自社株買いはマイナス計上」されます。
まとめ
四季報活用法については、私も様々なやり方を試してみました。
先ずは最も簡単な「付箋貼り」(2017年から)
↓
「付箋貼り」+「大きなメモ付箋貼り」
(2018年から)
↓
「付箋貼り」+「セグメント別項目コピー貼り」
(2020年から)
今は付箋は使いませんし、コピー貼りもしていません。
「セクター別ファイルに入力して保存」しています。
セクターは常にローテーションしますので、
「今はここが来ているな~」「次はここかな!」と思ったなら、
そのセクターの情報ファイルを開いて、「個別銘柄情報を確認」するようにしています。
しかし、オンライン版にはオンラインの良さが、紙面版には紙面版の良さやがあるので、使い易い方を選択すれば良いかと思います。
また、オンライン版+四季報プロ500(価格1500円)と組み合わせている人も多いようです。
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◆最後に
やっていて良かったとずっと、今でも継続しているのが、
「セクター/テーマの記載」です😉
特にセクターが重複している企業も多くありますので、どのセクターに属し、そのセクターがセグメントのどの程度の割合なのかを把握するのは、
大事ではないでしょうか。
四季報が発売された時だけ、調べるのではなく、
「気になる銘柄」があった時には、直ぐに確認してみる~そんなスタンスで向き合うのが長続きのコツたと思います。
四季報を購入せずとも、中長期投資で大きな利益を得ている方は沢山いますし。
記載した内容については、個人的な考えや表現もあります。
あくまで私はこうしてきた、こうしているという事を書いているだけです。
私のやり方が正しいなんて思っていませんし、
まだまだ試行錯誤中です。
みなさんのやり方も知りたいと思っています。
最後まで読んで下さりありがとうございます!
少しでも初心者さんの為になれば幸いです♡
気が付いた事、忘れている事があれば追記していきます。
お時間あれば下記「無料note」もご覧ください。
👇決算説明資料の読み方について解りやすく纏めてあります。
初心者向け学びシリーズ「決算短信と決算説明資料の読み方①」
◆追記/質問と回答
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Q>個別の質問申し訳ありません。
四季報について。
評価のコメントが最高益と連続増配、
ならばどちらを好みますか?
もしくはどのように評価しますか?
どちらに興味深いが沸きますか?
いまいち違いがわかりません。
なにかのコメント頂けるとありがたいです。
A>最高益と連続増配について
長期間にわたって「増配を続ける」のは簡単なことではない為、多くの方が注目している箇所だと思います。
個人的には「連続増配」では、継続年数を把握するようにしています。
「増配を続けている」と言う事は、長期的に業績を伸ばしていると判断することができますし、万が一何らかの理由により、一時的に業績が落ちたとしても、
しっかりと配当を出せるように「利益を蓄積させている優良企業」との判断ができるからです。
他に重要視しているのは、
「連続増配期間」だけでなく、「増配率や配当性向」も判断材料に加えています。
その理由は、連続増配期間が長くても増配率が極端に低い場合ですと、配当額が大幅に増える事は、あまり期待できないからです。
「最高益」について。(下記*参照)
多くの投資家が「連続増配」同様に、
「最高益」にも敏感なのですが、
「特別利益の計上」などで、一過性の利益で最高益となっても評価はされませんので、
「利益の内容」をしっかり把握することが重要になります。
*企業の業務内容に直接関係なく、特別に発生した金額的にも大きな利益、臨時的な利益、
該当の期にのみ限定して生じる一時的な利益、
所有する車両、建物等の固定資産を売却した時に生じた売却益や、投資目的で保有していた有価証券を売却した時の売却益、他には保険金を受け取った時に生じた利益等は「特別利益に分類」されることを覚えておくと良いでしょう。
新事業やテコ入れしたセグメントに起因しての「最高益」であるならば、それは好感しています。
したがって明確にどちらを評価するとの明確な回答はできないですが、
敢えて言うならば、同じような内容であった場合の選択肢としては、「得意分野」「得意なテーマ」に属している方を選ぶようにしています。
◆2023年9月23日追記
この記事を読んで下さった方より、
多くの質問が届いています。
質問内容が酷似していますので、
こちらでの回答とさせていただきます。
ただし、私の個人的な考えとやり方ですので、
必ずしも正しいわけではありません。
◆1日1銘柄を知ろう
「1日1銘柄を知ろう!」についてですが、
誤解をされているようなので、改めて説明させて頂きますね。
これは四季報で1銘柄読めばよい…と言う事ではなく、
四季報や、自分が気になるセクターからピックアップした銘柄を「更に深堀しよう」と言う事です。
「深堀ってどこまでやればいいのですか?」とのDMも多く貰い、個別に回答していました。
その理由は、
投資に向き合う時間や投資の時間軸で精査の度合いは必ずしも同じでは無いからです。
深く知っている事が多い方が、知らないよりは有利ですし、対応も変わってくると思いますが、
できないことはできませんし、長続きしませんよね。
先ずは、「できる事からできる範囲で!」そこから始めていけば良いのではないでしょうか。
自分が更なる精査が必要と感じたなら、自ずと深堀するでしょうし、なければしなければよいだけです。
ただ、個人的に言えるのは「しっかり精査した銘柄」は握力も意思も強く保てるため、多少の事(日々の株価の変動等)で安易に売却する事も無く、大きな利益に繋がる事が多いです。
手あたり次第調べれば良いかと言うと、
それでは効率が良くありませんよね。
下記で手順を説明していきます。
①投資の時間軸を明確にする
②投資の目的を明確にする
③投入予定資金を考慮した銘柄選定をする
④銘柄精査をする
◆①投資の時間軸を明確にする
初心者さんにありがちなのが、
時間軸を明確に決めていない、曖昧、
何となく安いから…そんな方がとても多い気がします。
この資金を、この時間軸で投資をする!と、
最初に決める事で、銘柄選定も楽になります。
短期、中期、長期なのかある程度決めてみましょう。
短期であれば、「配当」は狙えませんが、
中長期であれば「配当」を考慮しての銘柄選定ができます。
◆②投資の目的を明確にする
②
保有している事で、安定した「配当」や「優待」を受け取る事を目的とした「インカムゲイン」なのか、
売却によって得られる利益を目的とした「キャピタルゲイン」なのかを保有する段階である程度決めておきましょう。
私は、最初の長期保有銘柄では、その辺りを全く考えずに銘柄選定をしてしまいました。
長期投資では、最終的に保有額が増えてきたら「インカムゲイン」を考慮していこうと思っていましたが、最初からしっかり考えるべきだったのでは…と、後悔が多少あります。
インカムゲインのメリットは、株価の短期的な値動きに左右される事無く、安定的に配当としての利益を得ていく事が可能なところです。
デメリットは、配当の年間利回りが数%程度のため、ハイリターンにはならない。
例えば、東証プライム企業の平均利回りは、2%前後で推移しています。(下記参照)
頻繁に株価の推移やポジションの調整などができない、兼業投資家の方に向いている方ではないでしょうか。
一方、「キャピタルゲイン」では、短期間で大きな利益を狙う事も可能となる場合もあります。
時には週単位、月単位で株価が数倍になる銘柄もありますが、株価が暴落するリスクも伴います。
その為銘柄選定、精査方法も「インカムゲイン」とは多少異なってきます。
株価の変動や企業IRなどを頻繁に確認する時間がある人や、ある程度資金に余裕があり、リスクを理解したうえで、それを許容できる人向けではないでしょうか。
◆国内の株式指標/平均配当利回り
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◆③投入予定資金を考慮した銘柄選定をする
これは具体的に私の成功と失敗例で説明していきます。
例えば手元に投資資金が100万円あるとします。
1単元1万円の銘柄を100株買うのと、
1単元千円の銘柄を1000株買うのでは、
どのような違いがあるかを考えてみましょう。
保有した銘柄に「悪材料が出てしまった」際に、
100株しか保有していなければ、分割して売却する事はできませんよね。
(S株/ミニ株/一般口座/は別)
しかし、1000株の保有銘柄であれば「分散利確」をすることもできますので、その後の開示に対する反応等を確認しながら、計画的に利確や損切ができるというメリットがあります。
私自身は、値嵩株の保有で苦労した事がありました。
長期的に見れば調整の範囲なのでしょうが、
日々の株価の変動に気持ちがついていけず、微益撤退をしたり、損切りをしたりしたことがありました。複数枚の保有であれば、別の対処の仕方もあったので、それ以来、銘柄を長期投資では「分散利確」「買い増し」のし易い価格帯の銘柄を選ぶようにしています。
◆④銘柄精査をする
これは、目次の「具体的にこんな感じで見ています!」でも書いてあります。
会社四季報やスクリーニングで、「投資対象」としての銘柄が見つかったら、紙面では確認できない項目や属しているセクター(複数に属している銘柄もある)やテーマを知りましょう。
また、財務ではセグメントで売上げの構成比を知っておくことも、強みとなるかと思います。
下記は三菱電機の「売上げ構成比」を示したものです。
例えばこの中の、「インフラ」についてもう少し知りたいと思ったならば、そこを深堀していけば、内容についての理解力も高まりますよね。

「インフラ」の中には、「社会システム事業」
「電力システム事業」「防衛・宇宙システム事業」についての詳細が記載されています。
防衛システム事業の大口案件…の文言が気になったなら、それを深堀します。大口案件の規模って?

◆更なる精査で分かる事
三菱電機の「軍事防衛システム」について、もう少し深く知りたいなと思ったなら、👇に辿り着きます。
レーダや電子戦システム、情報通信指揮システム等の受注が「防衛省」よりあり、その受注額は第3位である事が分かります。
第3位か…んっ?「1位はどこだろ?」と思ったなら、更に深彫りする。
へーっ、「三菱電機ってこんなこともやっているんだ」と分かります。

◆深堀の過程で知り得る事の出来る事
「設備投資計画(約700億円)」
「アストロスケール社との協業」
宇宙事業へも積極的に取り組んでいる計画が分かります。
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一つの、気になる企業が見つかったなら、
このように少しずつ知りたい事を深堀していくと、その過程で学んだ事が、「更に他のテーマ」や、
「同業他社」へとの興味にも繋がっていくようになります。
忙しい日々の中で、投資の勉強をするのは確かに大変ですが、「未来の利益に繋がる」と思えば、苦にはならないのではないでしょうか。
楽して簡単に稼げる…そんなことはないですから!
勉強の仕方や、銘柄選定の方法などであれば、
きっと近くにいる親切な方であれば、そしてあなたが熱心であれば、きっと親切に教えてくれるのではないでしょうか。
◆2024年3月19日追記
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●四季報独自の記載ルールについて
③の業績/取材記事は「これから先(未来)の事について書いています。
担当者が取材に基づき分析し、近い将来を予測(予想)をしていますので、現状の事ではありません。
イイネ♥とコメントは励みになります!
gordon_lapin🐰
◆会社四季報関連サイト
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3800以上ある全ての上場銘柄から、有望な500銘柄を厳選。
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