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別れる前にウェディングフォトを撮ろう
あたいはイギリスに発つことになった。
まだ、仕事はない。
英語も、覚束ない。
ただ束の間の休暇を楽しみたくなった。
だからワーキングホリデーに応募して、抽選で当たった。
世界旅行は老後の楽しみにとっておくにはあまりに壮大過ぎる。
地球を楽しまなくっちゃ。
ボーイフレンドは泣いてくれるだろうか。
結婚しようとは思わなかった。
お母さんになるために結婚したいわけじゃないし、恋愛の先にあるのが「自分をなくすこと」なんてそんな馬鹿な話があるか 。
耳障りなクラクションの音が鳴り響く。
寅さんのように生きていきたい。
これが本音。
小学生の頃は、授業中に子どもの名前を考えていた。それは有名になった時用のサインの練習をするような、早すぎた厨二病だった。
確約された幸せなんて存在しないし、いらない。
「女」を持て余している。
無自覚に傷つけてくる世間から袋叩きにされる前に、とか。血縁者を喜ばせるためとか。誰がための正義だよ。
学生時代、やたらと一点ものにこだわっていた知人も結婚した。
GUやユニクロでは服を買えないとあれほど言い張っていたではないか。
普遍的になることは成り下がることとイコールだと私のプライドが叫ぶから、この膠着状態から降りようか。
子どもを脱いだ大人の子ども。
一丁前にドレスだけは着たい。
その思い出一枚だけで、どこへでも飛んでいけるんだ。
そしたらばいばい。
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