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参加者が感じるクレーンカメラ事故

まずは被害者の皆様の一刻も早い快復を願います。

大阪での野外音楽イベントで事故が発生しました。

ロックバンドTHE ORAL CIGARETTES(以下、オーラル)が主催する『PARASITE DEJAVU 2024』での出来事でした。

正直なところ、怪我をされた方や近くにいた参加者以外、事の大きさが分からぬ状態でした。少なくとも私はそうです。

ダイバーが多く、サークルモッシュ、WODが多発するバンドのため、私は後ろの方で見ていました。そのバンド終わりに、オーラルのマネージャーでHIP LAND MUSIC CORPORATIONマネジメントDiv.執行役員及び MASH A&R取締役副社長の柳井(871)さんからアナウンス。

「上手のクレーンカメラが転倒する事故が発生しました。原因がわからないので、下手のクレーンとドローンの使用を取りやめます。怪我人は3名、現在救急車を呼んでいます。全員意識はあるので続行します」

その後ボーカルのやまたくも登場。
「どうしても俺の口から説明したくて。クレーンカメラが転倒する事故が起こってしまいました。不安な気持ちにさせてしまって申し訳ない。たくさんの人がクレーンを退けるのを手伝ってくれたと聞いています。助け合ってくれてありがとう。決してあなた達のせいじゃないです。俺らは怪我した人たちの対応に入るけど、みんなはライブを楽しんで。以上説明でした」

クレーンがどう倒れたのか、どの程度の怪我か全くわからず、とりあえず迅速な対応をしてくれた主催に感謝をして楽しんでいました。

数時間後、家族から心配のラインが届き、事故が報道されていることを知り、だからやたらとヘリコプターが飛んでいたのかと納得。
Twitterでも「大丈夫?」のポストが散見されはじめ、電波がなくて動画が再生できないので状況は把握できないけれど、何やら大事らしいぞと徐々に察知していきました。

さあオーラス、オーラルの出番。オーラルのファンが殆どを占めるこのイベントで、誰もが何よりも楽しみにしていた瞬間。待てど暮せどその時が来ることはありませんでした。

持ち時間10分押しで、無音のまま7名が登場。

それまでざわついてた空間が一気に張り詰めました。

まずは871さんが口火を切り中止を発表。

ここで2割程度の客がぶつくさ文句を言いながら帰っていき、残りの8割は固唾をのんで次の言葉を待ちました。涙をこらえ、声を震わせながら「容態が悪化した」と説明する姿に、訃報の2文字が頭によぎる。

被害者の詳細はプライバシー保護の観点から語られず、ただ一命はとりとめていることだけを知らされ、ひとまずは安心。

そしてクレーンの操作ミスで倒れたこと、これによりけが人が発生しメディア対応に追われたこと、このままオーラルが演奏をして「大成功で終演」という状況を作りたくないこと、チケットの払い戻しは未定だが検討することなど、胸のうちを明かされました。

続いて操作していた2名のカメラマンが実名を出し、人為的ミスにより起こった事故、申し訳ないと謝罪。

引き継ぐ形でやまたくが泣きながら謝罪。

「他のバンドがライブしているときも、随時お医者さんから容態を聞いていた。想像以上の大きい怪我になってしまっていたので、本人や親族のことを思うと続行できない。ここにいる2万人の楽しみを奪ってしまうことは重々承知だけど、主催として申し訳なく、この決断をしました。これから報道やコメントの書き込みなどで辛い思いをさせてしまうかもしれませんが、楽しんでくれてありがとうございました。ひとつ、カメラクルーを責めるのだけはやめてほしい。迫力のある画を撮ろうとしてくれた結果の事故です。責任は主催の我々にあるので、重く受け止め、随時発信していきます」

つられて涙を流す人、待ってるよと声をかける人、バンド擁護派しか存在しない空気感の中でも残る「どんな事故だったのか」という疑問。

帰路出ようやく事故の全容が見えてきて唖然となりました。
こんな事故が起こってたのにのうのうと楽しんでたのかと。

事故の原因は、クレーンが一番低い状態から一番上まで一気に上げたこと。土台の前方が浮き、遠心力で客側に倒れたそうです。
怪我の具合は?てっきりクレーンが低い状態から倒れたのだと思っていたので、足が挟まれたとか、腕に当たったくらいの怪我なのかと思っていたのですが、頭にぶつかり流血してたという情報がちらほら。なんと…。

突如の事故で誰も冷静に判断できなかったと思う。工事現場の人間じゃないからね。避難訓練みたいな感じで何度も何度も訓練しないと即座の対応は難しかったと思う。

だから、今回の対応にいかがなものかと議論するより、幸いにも全員命はあるので、今後に向けて議論すべき内容だと思うんです。起こったことに対して外野がとやかく言ったところで、主催や関係者の精神をすり減らして、より悪い対応に向いていくしかないから。そんなのは非生産的で無意味だと思っています。

今後検討しなければならないことは山ほどあると思います。素人考えでも…

・土台の固定
→メーカー、現場ともに見直しが必要では。
・自己発生時の対応
→爆音が鳴ってると救護要請の声が聞こえない。(これは本当にざわめきすら全く感じなかった)バンド側は騒ぎを起こさせないように「機材トラブル」などの理由で中断、PA主導で音を消すなどし、早期の救出を促すほうが良かった。
・一般人スタッフの登壇
→スタッフを守るのが監督、主催の役目。仲間意識が強いオーラルだからこそ、誠実さを示す方法だと考えたのだろうけど、名前も晒して弁明させるのはまずかったと思う。

オーラルひいてはMASHやイベンターのGREENSに求められるのは、今後のイベントでここらの問題をどう対処するのか、あとは被害者にどう償っていくのかだと思います。
今後一切のイベント中止とか、そんなことは求められるべきでない。そんなことは再度言うけど無意味で、ただ叩きたいネット民の戯言です。そんなことは無視して、関係者、そして業界が今一度考えるチャンスをもらったと思って、頑張ってほしいです。

向き合うのは被害者と未来だけでいい。

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