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bet sizeの第一歩

今回は初級者に向けて、非常に疑問となりやすいbet sizeについてその第一歩をお伝えしようと思います。
pokerにおけるbet sizeは非常に複雑な理屈に基づいており、それはよくArtに例えられるようなものです。
ところが、bet sizeを決める指針について簡単な理解をしているだけでも、大きなミスを減らし、より楽しいpokerをすることができます。

当noteは上級者の方からすると、「そうとも限らない、こういうケースもある」だとか「その説明は誤解を生むのでは?」と感じるかもしれません。
しかしながらあえて強い主張を好んで使っていこうと思います。

アミューズメントなどでpokerを学んできて、勉強をしてみたいというような人へこのnoteを紹介していただけるような内容にしたいです。

あらかじめ、以下のnote程度の内容を抑えておいてもらえるとよりスムーズに理解できるのではないかと思います。

・pot% betとは

・説明

betをしようと思ったときに何点打てばよいかというのはよく初心者が疑問に持ちます。
このときpot% betというものを行うのですがその理屈について簡単に説明をしようと思います。

pokerではお互いがどのようなハンドを持っているかはわからないため、
betを打たれたときにcallをするかどうかは、
勝率を考えた時に、割に合う賭けかどうか
で決定することになります。

例えば以下のようなシチュエーションを考えてみましょう。

Case1 ; potが1000点の時相手に500点をbetされました。

この勝負に参加すると500点をリスクにさらすことになります。
そして勝てば2000点を獲得することになるので4倍の賭けを受けるということになりますね。

一方次のシチュエーションを考えてみます。

Case2 ; potが10000点の時相手に500点をbetされました。

このシチュエーションでは500点をリスクにさらし、11000点の勝負を受けることになります。
するとオッズとしては22倍の賭けを受けることになりますね。

では以下の例ではどうでしょうか。

Case3 ; potが10000点の時相手に5000点をbetされました。

これはpotもデカいですが打たれた金額も大きく結局4倍の賭けとなっています。つまりCase1と同じオッズを要求されています。

難しい算式は使っていないので数字もしっかり追ってみてください。




Case2は金額がCase1と同じbetにもかかわらず割のいい賭け
Case3はCase1より金額が高いにもかかわらずCase1と同じ賭け
になってますね。

このように、

betされてる金額ではなく、betされた金額のpotに対する比率によって賭けのオッズは決定されます。

これは相手側から見れば、

betされた金額のpotに対する比率によってcallするのに必要なEQが決定される。

ということです。

betされた金額のpotに対する比率をpot %と呼びます。

Case1とCase3ではpot%が同じ50%ですね。
Case2ではpot%はいくつでしょうか?
10000に500打たれているので5%betということになります。

大事をもう一度

相手のbetに対してどのくらい勝率(EQ)のあるハンドまでをcallすべきかというのはpot%で決まる。

ということです。

pot%が低ければ低いほど弱いハンドでも(勝ってる可能性が低くても)callする期待値が合うし
pot%が高ければ高いほどより強いハンド(勝ってる可能性が高いハンド)で守る必要が出てきます。

ここまでを自分で説明できるレベルで落とし込んでおきましょう。

(よく大きいサイズを打たれるとブラフに見えるが、小さいサイズだとvalueに見えるので、大きいサイズに沢山callをして小さいサイズにおりすぎるプレーヤーがいます。
このような思考はExploitになることはあっても均衡的には誤った考え方です。)

・代表的なサイズ

超初心者講習の記事において

bet額の候補は
・33%
・75%
・100%
・150%
・All-in
とする

と書きました。
これらのpot%は非常にpopularなサイズとなっています。

もちろん実際には好きなサイズを使用してかまいません。
自分の持っているハンドと相談をして

33%より大きく打ちたいが75%は大きいな

と思ったら50%betを打てばいいのです。
このSize選定は非常にpokerのスキルとして重要なものです。

では、どんな時に33%より大きく打ちたいが75%は大きいなと思うのでしょうか。
これが分かれば自身でbet sizeを決める指針となるはずです。

そのために前項の内容を今一度思い出しましょう。

相手のbetに対してどのくらい勝率(EQ)のあるハンドをcallすべきかというのはpot%で決まる。

のでした。

・sizeによる弾力性(elasticity)

次のようなシチュエーションに遭遇したことを考えてみましょう。
状況をイメージしながら自分ならどう思うかを考えてみてください

AさんはBTNでopenしてきた相手に対しBBでcallしました。

Flopはチェックで進み、
TurnでTが落ちました。

Aさんは125%のbetを行い相手はcall

Riverでは2のスペードが落ち、Aさんは続けてpot overの150%betを繰り出します。

相手はすぐにcallをして、showdownとなりました。

AさんはQc9cでFlop top hitからの2pairをしぶしぶshowしました。
相手はT7を持っていて、Tと7の2pairです。

Aさんはこの対戦を振り返って以下のように語っていました。

Aさん「Flopはtop hitだったんだけどなぁ。Riverで2pairにもなったし。でもスナップコールには負けてると思ったなあ。上の2pairを持たれていたなんて。。。Turnで捲られたんだね。運が悪いや。」

このような状況では非常に初心者の犯しやすいミスが現れています。
横で見ていたBさんは以下のように指摘をします。

Bさん「いや、これはAが打ちすぎてしまったことによって起こった問題だよ。そんなに打ってしまったら負けてるところにしかcallされないとおもうよ。Turnは打ってもいいけどサイズが大きすぎるし、Riverでも打ってしまったらもうBluffなのかわからないでしょう。」

これはどういうことなのでしょうか?

このことを実際に均衡を見て理解していきましょう。

画像がTurnの均衡戦略となります。Q9はほとんどチェック。もしくは低頻度での33%betが推奨されていますね。

実はTurn時点でQ9というセカンドヒットEQは70%あります。

50%のハンドには勝っていて強い寄りのハンドとして考える事ができそうです。

ではValue betを打つべきではないのでしょうか?

実は50%以上のEQを持つことはValue betを打つべきということを意味しません。

これを理解するには相手のレンジを見てみましょう。

当然のことですが
betを打たれると、相手は弱いハンドを捨てることになります。
そしてCall以上をするレンジは強くなります。
Aさんは即座におろすことを目的としてbetをしているわけではないのですから(おろすことが目的ならbluff betになってしまいます。)、この強化されたレンジと戦って勝利しなくてはいけませんね。

betがValue betとして機能するためには相手がcallした後尚十分勝っていることが必要なのです。

実際上のレンジを見るとQ9やK9というハンドがフォールドし始めていますね。

これは125%betをTurnで打った時の相手の役ごとのアクションです。
Second pair が9hitになります。
残るレンジは緑になりますからかなり強化されたレンジを相手にしなくてはならないことが分かりますね。

一方こちらは33%betを打った場合の相手のレンジになります。
9のみならず7や2もcallしていますので9hitという役が相手にcallされた後も強いハンドとして残れそうです。

上の2つの役分布を見比べると

bet sizeによって相手の抵抗レンジは弾力的に変化をし、残るレンジの強さはbet sizeが大きいほど強くなっていく。

ということが分かると思います。
このような性質をElasticityなどといいます。
(有名な単語ではないので覚える必要はありません。)

Bさんが言っていたことをもう一度振り返ってみましょう。

Bさん「いや、これはAが打ちすぎてしまったことによって起こった問題だよ。そんなに打ってしまったら負けてるところにしかcallされないとおもうよ。Turnは打ってもいいけどサイズが大きすぎるし、Riverでも打ってしまったらもうBluffなのかわからないでしょう。」

なるほど。確かにAさんのbet sizeが大きすぎたためにQ9のValueとしての価値が失われてしまい、ValueともBluffともつかないbetになっていたことが分かります。

ここまでの要点を纏めてみましょう。

・bet sizeによって相手の抵抗レンジの強さが決まる。
(bet sizeが大きいほど強くなる。)

・Value betというのは、相手のレンジに対してではなく、相手のcallレンジに対して十分な強さが必要である。

・自分のある程度強いハンドが打つことによってValueでなくなってしまうようなsizeを打ってはいけない。

ということですね!
bet sizeの決め方の理屈が見えてきたのではないでしょうか?

このベースを守ってbetをすることができればValue bet初心者は脱却といえるはずです。

・bet sizeを決める指針

さて、ここまで理解いただけた方は、どのようなsizeを打ったら相手の抵抗レンジはどのくらい強くなるの?

ということが気になってくるのではないでしょうか?

結論から言うと
・ある程度理論的に考える事はできる
・様々なソリューションを見て代表的な境界を覚えていくのがよい

ということになります。ここではある程度の理屈について簡単に判断できるものを紹介します。

・Large bet

 中くらいから大きなサイズのbetを打つ場合は、打つ前の相手のレンジと打った後のcallレンジには大きな差が生まれます。

よってvalue betの時には自分のハンドが強いかではなく、相手のcallレンジにvalueがあるのかをしっかり考えてください。
相手のコールレンジについては均衡の場合大まかに以下のことを知っていると指針になるかと思います。

  1. 50%betには相手は弱いハンドから40%を捨てる

  2. 75%betには相手は弱いハンドから50%を捨てる

  3. 125%betには相手は弱いハンドから60%を捨てる

もちろんボードやシチュエーションにより多少、時には大きく頻度が変わりますが概ね上の頻度が多いです。

・small bet

33%以下のsizeを基本的にsmallサイズと呼ぶことが多いです。
シチュエーションに応じて
10%, 20%, 25%, 33%
あたりのサイズを採用しているプレーヤーが多いですね。

まず初心者の方はsmall sizeは33%と考えてしまって問題ないです。

そしてこの33%betですが、もしあなたが戦略として33%betを採用しているのなら

・FlopかTurn
あたかもチェックするかのようにbetする。
・River
Large betの項のように考えてbetする。

と考えてください。

betを打ったら弱いところを下ろしてしまうのにチェックするかのようにbetして問題ないのか!?

と思った方はここまでの内容が染みついていて素晴らしいと思います。
以下ではなぜ「チェックするようにbetできるのか」
について書いていこうと思います。


・なぜチェックするようにbet出来るのか?

betをするときに大事なことの3つ目
・自分のある程度強いハンドが打つことによってValueでなくなってしまうようなsizeを打ってはいけない。

という点を考えてみます。

振り返ってみましょう。なぜbetを打つとvalueでなくなるという現象が発生するのでしょうか?

それはcallレンジが元のレンジより強化されるからですね。

small  betの場合、相手の降りる頻度もそこまで高くはなりません。
であれば相手のレンジも極端に強化されることがないので、チェックしてもbetしてもハンドがバリューでなくなることが少ない。
つまりsmall betが打ってはいけないサイズとなることが少ない。
ということですね。

さらにもう一点
FlopやTurnで自分より弱いハンドを安いbetで降ろしてしまっても、そのハンドたちはまくり目があったことがほとんどでしょう。
すなわち、下ろすこと自体にも価値が出てきます。この概念はprotectionなどと呼ばれます。

Riverではこの効果がないためしっかりバリューであるかブラフであるかが要求されています。



・まとめ

ここまでの記述を纏めたいと思います。
この記事で伝えたいことは「打ってはいけないサイズ」というのが存在するということです。
そのサイズを避けてbetに意味を持たせましょうということです。


・bet sizeの基本ルール

  1. betを打つときは金額の絶対的な数値ではなくpotに対する比率、pot%でbetを行いましょう

  2. Value betを打つ場合、自分のハンドが強いことはValueが打てる十分条件にはなりません!callされたときに尚勝っていて初めてValue betと呼べます。

  3. pot%の大きいbetほど、相手のcallレンジが強くなります。せっかくの強いハンドを大きすぎるpot%を使ったことにより、「勝っていたはずがcallレンジに対しては負けてしまった。」というbetは禁忌級のbet size選択になります。自分のハンドの強さと相談し、どのサイズまで打てるのかを相手のcallレンジの推定から考えておきましょう

  4. 小さいサイズのbetをFlop(やTurn)で行う場合は、どんなハンドで打っても大きな問題にはなりづらいです。強いハンドでも、弱いハンドでもあたかもチェックするかのようにbetを行って構いません。



bet sizeは初心者が最も躓くpointだと思います。
以上のことを意識しながらpokerをしていくだけでも上達速度が全く違うはずですので、是非意識してみてください。

・いくつかの少し発展的な補足とか

以上の内容がすでに意識できているというプレーヤーに向けての内容となります。

例えばRiverにおいてあなたのハンドが以下のランクに分かれているとしましょう。

Aランク:上位20%のハンド
Bランク:上位20~40%のハンド
Cランク:上位40~60%のハンド
Dランク:上位60~80%のハンド
Eランク:上位80~100%(下位20%)のハンド

この時、bet sizeの基本ルールに沿えば以下のサイズは打って良さそうのように考えられるはずです。 

Aランク : 125%含むお好きなサイズ
Bランク : 50%や75%まで
Cランク : 50%や33%程度
Dランク : betできない
Eランク : bluff bet

さて、貴方がCランクのカードを持っているときは何点打ちますか?
Aランクの時はどうでしょうか?
またEランクの時は?

ここでよくあるリークは
33%のベットを打ったらCランクしか出てこない。
という類のものです。

すると相手はBランク相当以上のハンドを持っていたら大して強くなくてもNuts級になってしまいますね。
ブラフがなければDランクは降りればいいとなってしまいます。

このようなことを避けるために
すべてのbetサイズにはしっかりと

より大きなサイズも打てるランクのハンド
bluffハンド

を用意しておく必要があります。

このために、自分のハンドを見る前に、各シチュエーションで自分が打つ可能性のあるサイズをすべて頭に思い描き、レンジ全体で戦略を決める必要があるわけですね。「ハンドとレンジ」のnoteで書いた内容にもつながります。

ではどのシチュエーションでどのようなサイズを用意するのがよいのか。
これはボードやシチュエーションごとに暗記や理解が必要な部分で、各スポットごとに出すnoteと理論的な話で説明していきたいと思います。

とりあえず大事なことは、
自分のハンドのbet sizeを決める前に、
自分が打つ可能性のあるbet size全体の集合を意識する

ということです。

・最後に

お読みいただきありがとうございました。
今回も7000字overのnoteになってしまいましたね

久しぶりに初心者用のnoteを書いてみました。
そんな内容知ってるよ、もっと面白い話を書いてくれ、と思った方は申し訳ありません。

しかしながら、この
callレンジにしっかり勝ってるか
という観点が抜けてるせいで酷いbetが量産されているのをみて、いつもこの記事を書きたいと思っていましたので今回はご容赦ください。

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