GTOとは何か-対GTO-
前回GTOの記事(GTOとは何か-誤解と理解-)において、
・GTOとはexploitされない戦略であること
・相手がGTOから逸脱しており、それが明確な時はexploitできること
・自身がexploit戦略を採用する際、自身もexploitされうるということ
・GTOに対するMESはGTOであること
を解説しました。
さて、今皆さんが気になることは、
exploit戦略はどのようなものか
相手の戦略がわからない際はどうすれば良いか
ということでしょう。
今回は特に二つ目の、
相手の戦略がわからない際はどうすれば良いか
について説明します。
いくらか取るべき戦略の案はありますが、最も(発想が)簡単で利益的な方法は当然
GTO戦略を取ること
になります。
ここで、GTO戦略を勉強するモチベーションが出てきます。では、GTO戦略とはどのように導き出されるのでしょうか?
もう少し実践的に、
プレイ中に脳内GTOを組み立てるにはどうすれば良いか
ということを学ぶ必要がありますね。
こう思った方はGTOの定義を理解しているといえます。
全ての戦略に対してexploitされない戦略を考えれば良い。
しかし、これは現実的ではないですね。
全ての戦略を考慮していくことは人間の頭には到底できません。
そこで次のように考えてみてください。
相手がGTO戦略を取っていると仮定して、GTO戦略に対してMESを考えよう。
この発想により構築される戦略はGTOです。
ここで大事なことは
GTOを取っていない相手に対して、GTOを取っているという誤った仮定をしたMESは(GTOになるため)Exploitされない
ということです
(2022/12/06追記:厳密にはGTOに対するMESがGTOになるとは限りません。GTOに対するMES全体の集合はGTOに対してEVが0である戦略の集合に過ぎず、この集合に自身へ対するMESへのEVに依って順序を入れた時の極大元がGTOとなります。これはMESという単語自体の定義の話なので当記事では割愛しております。)
この立場を明確にすることで我々は
GTOvsGTOを勉強すること
が有意味であると気付けます。
「相手がGTOでないのにGTOだと思い込んで勝負をすると痛い目を見る」という主張は誤りです。
仮に、27oをopenする相手をGTO通りと仮定してしまっても良いのです。
(ここで痛い目は見ませんが、ある意味で損失があります。というのは、27oをopenするレンジに対するMESに比べGTOが劣っているというだけです。一方で、あらゆる戦略に対するexploitの構築に自信のない場合、誤ったexploitをしてしまい、この時、自身がexploitされるリスクを有します)
GTOと比べ違うのはAAをリンプコールすることだけの人に対して、適切なexploitが何か言えますか?
GTOと比べ違うのは3betに対してAQoをコールすることだけの人に対して、K72rボードが落ちたとき、相手のoopからcbetについて、MESとGTOの違いがわかりますか?
わからないならGTOを勉強する価値があるということです。
さて、ここで一つ断っておきたいのは、
私はGTO戦略こそが至高でexploit戦略はダメとは言っていない
ということです。
むしろどちらかと言えば、exploit戦略ないしMESが至高と考えます。
ただし、相手の戦略を適切に認識し、かつMESを構築した上で、相手のadjustへ敏感に反応してメタゲーム制するという能力はGTOを学ぶよりかなり難しいのです。
あなたの周りにGTOから逸脱したプレイを行い、鼻を伸ばしている人はいませんか?もしくは"exploit戦略"を雄弁に語る人はいませんか?彼がGTO戦略を最低限理解していないのだとすれば、その"exploit戦略"が本当にGTOよりEVが高いのか、容易にカウンターされないものになっているのかということを判断することは不可能だと考えます。
GTO戦略を完全に理解することは不可能でしょうが、だからといってGTOを学ばないというのは愚かです。GTOに比べ(MESに対する)EVlossが少ない再現性がある戦略を学ぶことは非常に有益です。
さて、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。ポーカーを勉強してプレイすることに興味を持って頂いた皆様へ向けて、次回こそ実践的な話題に入りたいと思います。
次回はEQという概念を導入します。
導入しますは少し大袈裟かもしれませんが
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