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【コラム】ハイテクスニーカーVSローテクスニーカー。

スニーカーブームと言われて久しいけれど、そのブームはいわゆるNIKEのスニーカーブームと言い換えても差し支えないものと思われる。

アラフォーである僕らの世代からすると、Air MAX95に端を発する95年のスニーカーブームを彷彿とさせるけど、あの頃もまたスニーカーブームという名のほとんどNIKEのブームだったように思う。

そんな幾度とないスニーカーブームを牽引してきたナイキの創業者フィルナイトの自伝『SHOE DOG』は必読のすゝめであります。日本との関係があまりにも深かった事に驚きつつ、気が付けばその圧倒的な地位と人気の足元にも及ばなくなった現実に少なからぬ切なさを感じます。

さて、95年当時中学生だったわたしは、時同じくしてファッションに開眼し始めた頃で、アメカジのヴィンテージファッションブームと急速に普及し始めたB-BOYファッションの狭間で、気持ちが揺れ動いていた。

これまでは501XXをこよなく愛している様なアメカジな人々はALL STARかRED WINGはたまたニューバランスというのが定番で、GUESSの三角ロゴを誇らしげに履きこなすB-BOYキッズたちはエアフォース1かティンバーのイエローヌバックというのがお決まりのパターンだったように思う。

そこにAir MAX95が登場し、瞬く間にブームとなり、フットスケープなどを含むランニングシューズと、ジョーダンをはじめズームフライトやエアシェイクインデストラクト等のバスケットボールシューズにも火が付き、NIKEの人気を不動のものにしていた。

ジョーダンはその名の通り、マイケル・ジョーダンのシグネチャーモデルであり、同じくNBAプレイヤーのジェイソン・キッドやティム・ハーダウェイが愛用した事で話題となったズームフライトやデニス・ロッドマンが愛用したエアシェイクなど、NBAのスーパースターが愛用する事で、ナイキの人気に拍車をかけていた。

リーボックの不朽の名作であるインスタ・ポンプフューリーもこの頃にデビューして人気を呈しており、これらのスニーカー群はハイテクスニーカーとして分類され、90年代のスニーカーブームを牽引していた。そのリーボックもナイキと同様、NBAのスーパースターに肖ろうとアレン・アイバーソンと契約を交わしバスケットボールシューズのアイコンとして起用していた。

一方、ローテクスニーカーと言えば、オールスターかジャックパーセルのコンバース一択だった記憶があるが、歴史を遡ればコンバース社のオールスターも当初はバスケットボール用のシューズとして販売されていた事は何とも興味深く、その普及に一役買ったチャック・テイラーもまたプロバスケットボール選手だった事を考えるとローテク、ハイテク問わずバスケットボールというスポーツがスニーカーに与えた影響は計り知れない。ジャックパーセルに至ってはバドミントンの世界王者の名を冠したスニーカーである事からもスポーツとスニーカーは切っても切り離せない関係である事がよく分かる。(アディダスの名作であるスタン・スミスもテニスプレイヤーの名前)

特段バスケットボールがスニーカー産業の発展に大きく貢献した事は疑いの余地はなく、高度化するスポーツ科学に歩を合わせるように、スニーカーのハイテク化を促していったようにも見える。これは近年の箱根駅伝で話題になるシューズ論争を見てもスニーカーの機能性が競技の成績に強く影響を及ぼしている事は間違いないと思われる。

ハイテクスニーカーはデザインから機能性に至るまで絶えず進化している一方でローテクスニーカーは誕生した当初からデザインや生産手段に特段大きな変化はなく、今もなお100年以上前と同じ面構えをしている。

このようにスニーカーはざっくり分けてハイテクとローテクとに分かれるが、その性質と佇まいは全くの別物であり、ナイキ誕生以降のスニーカーブームの牽引役はいつの時代もハイテクスニーカーが優勢である。ブームの牽引役がハイテクスニーカーである以上、タイトルにある勝敗の軍配はハイテクスニーカーにありと結論付けて差し支えないものと思われるが、私の超個人的な好き嫌いで物申せば、やっぱりローテクなのである。ローテクスニーカーのもつ、あのクラシカルでオールドスクールな佇まいがなんとも味わい深く、その風情がたまらなく愛おしいのである。

という偏見と偏愛に満ちたコラムを最後までお読み頂きありがとうございました。







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