Gemini から欲しい回答を引き出すプロンプト術
こんにちは。Google の AI「Gemini(ジェミニ)」の公式 note 編集部です。
Gemini は「今日の天気とおすすめの服装を教えて」といった気軽な質問から、「〇〇様への提案プランを考えて」といった業務に沿った質問まで、さまざまな回答を返してくれます。
ざっくりとした質問内容でもちゃんと回答を返してくれますが、Gemini への質問の仕方を少し工夫するだけで、さらに質の高い内容になることをご存知でしょうか?
この記事では、Gemini をさらに効果的に活用するためのプロンプト(AI に送る質問文や指示文)ガイドを、わかりやすく解説していきます。
ガイドと聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、大事なことは以下の 2 点です:
Gemini にお願いしたいことを、なるべく詳しく、自然言語で思いついたまま書く
思ったとおりの回答が返ってこなくても、すぐに諦めず、たくさん会話してみる
たくさん会話すればするほど、回答の精度も高くなっていくので、「Gemini の力を最大限まで引き出したい!」という方は、ぜひ参考にしてみてください!
※ Gemini の回答は常に正しいとは限りません。実際に Gemini を使用した際の回答結果については、ご自身で正確性をご確認いただきますようお願いいたします。
プロンプトで意識してほしい 4 つの要素
Gemini に何か質問をしたり指示を出したりする際には、以下の 4 つの要素を意識してみましょう。必ずしも全てが含まれている必要はありませんが、意識していただくだけでも、Gemini からの回答の精度がもっと高くなることが期待できますよ。
ペルソナ(書き手の設定)
タスク(Gemini にしてほしいこと)
コンテキスト(指示の背景や状況)
フォーマット(出力の形式)
ここでは、この 4 つの要素について、プロンプト例を交えながら詳しく解説していきます。
紹介したプロンプトはコピーもできるので、実際に Gemini を開いて、ご活用いただけたらうれしいです!
1 ペルソナ|Gemini に役割を与える
まずは、Gemini に特定の役割や専門性を持たせるために「ペルソナ」を意識しましょう。
ここでいうペルソナとは、Gemini に与えたい役割・キャラクターのことを指します。
具体的なペルソナを設定することで、Gemini からの回答がそのキャラクターに沿ったものになります。
例えば、Gemini に「幼稚園の先生」という役割を与えて虹の仕組みを説明するように指示してみましょう。すると、以下のような回答が返ってきます。ぜひ、Gemini の口調に注目してみてください。
プロンプト例
Gemini の回答
他にも、技術的な質問に対しては「エンジニア」としての役割を、創造的な課題に対しては「アートディレクター」としての役割を与えるなど、目的に合ったペルソナを設定してみましょう。
2 コンテキスト|文脈や背景事情を説明する
タスクに関連するコンテキスト(背景や状況)を伝えることも意識してみましょう。人間と同じく、Gemini にも事前に多くの情報を持たせることで回答の精度が高まります。
例えば、「メール送信先の相手は、取引先であり初対面である」というコンテキストを与えることで、ビジネスマナーに沿った丁寧な回答を得られるようになります。できるだけ詳細な背景情報を与えることが、質の高い回答を得るためのカギです。
また、文脈や背景を効率的に伝える方法として、参考となるレポートや SNS のアカウントなどを指定することもできます。
レポートについては、URL や Google Drive 経由、またはファイルのアップロードを通じて、参考資料を追加できます。また SNS のアカウントについても、たとえば以下のプロンプトのように、アットマークを使って指定できます。
プロンプト例
Gemini の回答
3 タスク|Gemini にしてほしいことを具体的に伝える
Gemini にやってほしいことを書く際に、具体的にどういう作業なのか、なにが目標なのかをなるべく明確に伝えることが大切です。
例えば、「この記事を箇条書きで要約してください」「アイデアを 5 つ提案してください」など、具体的な指示を与えることで、漠然とした回答を避け、必要な情報や結果が得やすくなります。
また、段階的に指示を出すことも、理想の回答を得るために効果的です。例えば、ビジネスメールの作成を Gemini に依頼する場合、以下のように段階的にタスクを指示することで、回答精度がグッと高まります。
プロンプト例
Gemini の回答:https://g.co/gemini/share/dab7fc0f79df
(続く...)
かなり詳細まで提案してくれていますが、だいぶ長いですね。
4 フォーマット|出力の仕方を指定する
ここまでの内容に加えて、「箇条書きで」「表形式で」「簡潔に」などとフォーマット(出力の形式)を指定することで、回答の見やすさや使いやすさが上がります。
一つ前でご紹介した英語学習計画のように、Gemini からの回答が少し長すぎた場合、「A4 一枚で印刷したいから、なるべく簡潔に表にまとめて」のひと言を追加するだけで、簡潔にまとめてもらえます。
プロンプト例
Gemini の回答:https://g.co/gemini/share/40b5433447c1
このように、フォーマットを指定することで、使いやすく、見やすい回答を得られるようになります。
以上、ぜひここまでお伝えした 4 つの要素を意識しながら、Gemini をもっと活用してみてください。
さらにマスターしたい方向けのTips
さらにプロンプトのテクニックを磨きたい方へ、先ほど紹介した 4 つの要素に加えて、いくつかコツを紹介します。これらのコツを意識すると、Gemini の活用の幅がさらに広がりますよ!
① 言い方を変えてみる
一回の質問で理想的な回答が得られなくても、諦めずに言い方を変えてみましょう。例えば「要約して」の代わりに「重要なポイントをまとめて」や「簡潔に説明して」など、少し表現を変えるだけでも、より適切な回答を引き出せることがあります。
② Gemini の回答に対してフィードバックをする
「もっと斬新なアイデアが欲しい」や「この部分をより簡潔に」など、具体的に改善してほしい点を伝えましょう。「60 点くらいの回答なので、100 点を目指してもう一度」といった評価を伝えるのも効果的です。
③ 簡潔にして、複雑さを避ける
一度に多くの情報を詰め込まず、読みやすい形で指示を出しましょう。例えば歴史の説明を依頼する場合も、時代区分や重要な出来事など、項目を分けて指示すると分かりやすい回答が得られます。
プロンプト例
④ フォーマットの例や背景情報を、URL や PDF などで伝える
URL や PDF など、具体的な参考情報を提示することで、より良い回答を引き出せます。自分の過去の文章をアップロードして参考にしてもらうのも効果的です。例えば、過去に自分が書いた文章の書き方を参考にしてほしい場合、その PDF 資料をアップロードすることで、Gemini の回答が自分の文章のクセを反映しやすくなりますよ。
⑤ 何が足りないか Gemini に聞く
「この回答を作るために、他に何か必要な情報はありますか?」と聞いてみましょう。足りない情報が明確になり、より精度の高い回答につながります。最初から完璧な指示を出す必要はありません。まずは思いついたプロンプトを書いてみて、足りない部分を Gemini に教えてもらいましょう。
⑥ 複雑なタスクは、小さなタスクに分割して指示する
複雑な内容は一度に指示せず、小分けにして依頼するのがコツです。例えば新規事業の立ち上げを考える場合、最初の会話で市場分析、次の会話でターゲット顧客の設定というように、段階的に Gemini との会話を進めていくと、より良い回答を得られます。
もちろん、今回ご紹介した Tips を必ずしもすべて使う必要はありません。いくつかのコツを使うだけでも十分効果があるでしょう。
Gemini からより良い回答を引き出したいときに、少しでも参考になったらうれしいです!
4 つの要素を入れるのと入れないのとで、こんなに変わる!
ここまでお伝えした 4 つの要素をまったく入れていないプロンプトと、すべて入れたプロンプト、それぞれの回答を比べてみましょう。Gemini の回答精度がずいぶんと違うと感じるはずです。
簡単なプロンプト例
Gemini の回答
4 要素を意識したプロンプト例
Gemini の回答
このように、ペルソナ、タスク、コンテキスト、フォーマットの 4 つの要素を含んだプロンプトでは、より使いやすい回答を得ることができました。
ここまで読まれた方は、ぜひ 4 つの要素を意識して Gemini に質問や指示を出して試してみてください!
今日から実践できる!Gemini のプロンプトテクニック活用例
最後に、この記事でご紹介したプロンプトテクニックを、実際の場面でどのように活用できるか、具体的な例をいくつかご紹介します。
プレゼンテーション資料の作成
Gemini は、資料の目次づくりなど、情報の整理に役立ちます。例えば、以下のようなプロンプトで、プレゼンテーションの流れ(スライド構成)とそれぞれの内容の案を考えてもらうことができます。
プロンプト例
Gemini の回答
このようなたたき台があることで、プレゼンテーション資料の作成にかかる時間を短縮できるほか、内容も充実したものにできることが期待されます。ぜひ試してみてください!
広告コピーの作成
Gemini は、仕事で必要なアイデア出しも得意です。たとえば商品の広告コピーの案を考えてもらうのもお手のものです。
プロンプト例
もちろん、広告コピーに限らず、さまざまなトピックでのアイデア出しに使ってみてください。自分ひとりでは思い浮かばないような内容を出してもらえるかもしれませんよ。
アンケート作成
同じアイデア出しの用途でも、Gemini は、必要なデータを得るためのアンケート項目の作成にも役立ちます。例えば、顧客満足度調査のアンケート項目案を考えてもらいます。
プロンプト例
Gemini の回答
ぜひ、Gemini の回答を参考にしながら、より効果的なアンケートを作ってみてください。
旅行計画の作成
Gemini は、さまざまな計画づくりもサポートしてくれます。たとえば以下のように、気軽に家族旅行のプランを相談してみましょう。
プロンプト例
Gemini Advanced の回答:https://g.co/gemini/share/227826860465
このように、自然な会話で要望を伝えるだけでも、参考となる情報を回答してくれます。旅行計画に限らず、イベントや宴会の計画など、さまざまなシーンで Gemini を活用してみてください!
プロンプトのコツを活かして Gemini をより便利に活用しよう
ここまでいろいろとお話ししましたが、一番覚えていただきたいのは、冒頭にお伝えした以下の 2 点です。
Gemini にお願いしたいことを、なるべく詳しく、自然言語で思いついたまま書く
思ったとおりの回答が返ってこなくても、すぐに諦めず、たくさん会話してみる
Gemini を使いこなすには、実際にたくさん使ってみることが一番です。今回ご紹介したペルソナ、タスク、コンテキスト、フォーマットといった要素を意識しながら気軽に話しかけるだけでも、思った以上の回答が得られるかもしれません。
そして、もしプロンプトの書き方がわからなくなったり、より良い表現を見つけたいときは、Gemini に直接聞いてみましょう。「上手なプロンプトの書き方を教えて」のように質問すれば、アドバイスをもらうこともできます。
みなさまが Gemini をより効果的に使うためのヒントとして、この記事の内容がお役に立てればうれしいです!
ぜひ最新の Gemini を、ビジネスや趣味など、さまざまな場面で役立ててくださいね。