見出し画像

日本からも 2 チームが入賞! 数千件の応募があった「Gemini API 活用 グローバルコンペ」の結果が発表されました

こんにちは。Google の AI「Gemini(ジェミニ)」の公式 note 編集部です。

5月、グローバルでの「Gemini API デベロッパー コンペティション」の開催を発表しました。1981 年型デロリアン(DeLorean)の EV 仕様車がグランプリの賞品になっているということでも話題になった本コンペティション。日本からもたくさんの方にご応募いただきまして、誠にありがとうございました。

その審査結果が 2024 年 11 月 21 日(日本時間 11 月 22 日)に発表されました。

世界中から数千件の応募があった中、11 の賞のうち、なんと日本からは 2 チームの受賞が決まりました!

イノベーション部門の「最もクリエイティブなアプリ賞」(賞金 200,000 US ドル)に輝いた「Outdraw AI」チームと、テクノロジー部門の「ARCore ベスト プラクティス賞」(賞金 50,000 US ドル)に輝いた「everies」チームです。
受賞した皆さま、おめでとうございます!

今回は、日本発の受賞チームがどんなアプリを作ったのかを見ていきましょう。
※ Gemini の回答は常に正しいとは限りません。実際に Gemini を使用した際の回答結果については、ご自身で正確性をご確認いただきますようお願いいたします。
※ DeLorean はこのプロモーションとは提携していません。DeLorean は DeLorean Motor Company の登録商標です。

日本発の受賞チーム 2 組

Outdraw AI(最もクリエイティブなアプリ賞)

Outdraw AIは、2 人から 6 人のプレイヤーが順番に、「人間には理解できるが、AIには解読できない」ように絵を描くという、人間対AIをテーマにしたパーティーゲームです。

プレイヤーは、1 人の「出題者」と、残りの「描画する人」に分かれます。出題者が絵のテーマを設定し、残りの描画する人はそのテーマに対して「人が見たら何かわかるけど、AI の高度な画像認識機能で捉えようとすると間違える」という、絶妙なラインの絵を描いていきます。

AI で使われているのは、Gemini 1.5 Pro という、高度な画像認識機能を搭載したモデルです。各プレイヤーによる描画が完成したら、Gemini API を介して、最も可能性の高い解釈が返されるようになっています。

AI がだまされたら、人間であるプレイヤー達の勝ちです。一方で、AI が正解を当てたら、プレイヤー達の負けというわけです。

こちらのアプリは、東京のアーティストを中心とするチームにより開発されたもので、世界的なメディア・アートの祭典であるアルスエレクトロニカをはじめ、世界中の著名なイベントで紹介され、注目を集めています。

プレイヤーが協力し合い、AI の盲点を突くような描画が求められる。そんな、人間のクリエイティビティを強化するコラボレーションツールとしての可能性を、ゲームという仕組みに落とし込んだという点で非常に秀逸でユニークなアプリだと、編集部一同がうなりました。

2024 年の冬にはオンラインでプレイ可能なバージョンがリリースされる予定とのことで、非常に楽しみですね!

Everies(ARCore ベスト プラクティス賞)

Everies は、スマホやタブレットのカメラに映る「普通の物体」に命を吹き込む、というコンセプトで開発されたアプリです。

たとえば目の前にあるピザに Everie のカメラを向けると、ピザに “2つの目玉” が表示されます。その目玉をタップすると、目玉の下に口も出現して、ピザが一人のキャラクターとなって喋りだします。

あらかじめプログラムされたセリフを喋るのではなく、選択した物体や環境、状況に合わせて、喋る内容がカスタマイズされます。動画を見ていただくと、ピザはラップ調で調子よく喋るキャラクターが表現されており、植木鉢は淡々と喋る寡黙なキャラクターが表現されていることがわかります。

また、どのキャラクターも、Gemini Live の要領で音声でのインタラクティブな会話ができるようになっています。

Everies は、Gemini API と Google の拡張現実 SDK  ARCore を活用して作られています。Gemini の視覚理解と高度なプロンプト機能を通してオブジェクトごとにユニークなスクリプトを作成し、またARCore を通してオブジェクトに顔の特徴を重ねることで、普通の物体を革新的で楽しい方法で生き生きと表現しています。

キャラクターによって声や喋り方はもちろん、目玉の表現も微妙に違っており、その辺りの細かい設定のバリエーション含めて素晴らしいなと、編集部一同感じています。

こちらはまだコンセプト実証版ということで、今後のアップデートによる正式リリースが楽しみです!

開発者が誰でも Gemini にアクセスでき、社会課題の解決ができる世界を目指して

今回ご紹介した日本チームのアプリ以外にも、実にさまざまな作品がコンペティションに寄せられました。

デロリアンが愛車という科学者役を演じたこともある俳優のクリストファー ロイド(Christopher Lloyd)氏も、今回のコンペティションに参加した一人です。(彼は、自身が出演した映画やテレビ番組のセリフだけを話すチャットボットを開発し応募しましたが、残念ながら受賞には至りませんでした)

応募されたアプリを見てみると、人々の生産性を向上するものや、Everies のようにクリエイティビティを解き放つようなものの他に、受賞作品である Vite VereGaze Link のように、現実世界での社会課題を解決するようなものも多く作られていました。

Google で ML(機械学習)および AI プロダクトの VP を務めるマット ベリョソ氏(Mat Velloso)からは、以下のメッセージが寄せられています。

AIをすべての人に役立てる、という私たちの使命を達成するには、Gemini のような強力なモデルへのアクセスを民主化する必要があります。そのため、Google AI Studio を通じて、最先端のモデルに直接アクセスできるツールを開発者に提供し、AI を搭載した次世代の体験を構築できるようにしています。開発者が私たちの AI モデルを使って実験、調査、構築を続ける中で、次にどのようなアプリケーションが開発されるのか、今から楽しみでなりません。

引用邦訳:How developers are using Gemini API

日本には高齢化や労働力人口の減少をはじめ、さまざまな社会課題が横たわっています。Gemini は、これらをイノベーティブかつクリエイティブに解決できるポテンシャルがあると、編集部としては実感しました。

開発者でなくとも、生成AI が実現する世界を垣間見てほしい

今回の Gemini API デベロッパー コンペティションにて、本当にたくさんの素晴らしいアプリが開発されました。

Gemini では、次々と新しい機能を実装しています。今回のコンペティション結果発表を通じて「こんなアプリも作ってみたい!」と思われた開発者の方、ぜひ Google AI Studio を通じて Gemini のような強力なモデルを使い、さまざまなプロダクトの開発にチャレンジしてみてください。

また、開発者ではない方も、今回ご紹介したアプリで気になるものがあれば、ぜひ下記の受賞チーム一覧でご紹介する各 YouTube 動画をご覧になってみて、生成AI が実現する世界を垣間見ていただけるとうれしいです!

受賞チーム一覧

【グランプリ】Jayu(アメリカ)
Gemini の機能とデバイス上の操作をシームレスに統合するパーソナルアシスタント

【最も影響力のあるアプリ賞】Vite Vere(イタリア)
知的障がいのある方々へのパーソナライズされた支援、日常生活における自立の促進を支援するアプリ

【最も便利なアプリ賞】Prospera(ドイツ)
営業のやり取り中にリアルタイムでパーソナライズされたコーチングとアドバイスを提供するアプリ

【最もクリエイティブなアプリ賞】Outdraw AI(日本)
人間と AI が対戦するパーティーゲーム

【ベスト Flutter アプリ賞】Prospera(ドイツ)
営業のやり取り中にリアルタイムでパーソナライズされたコーチングとアドバイスを提供するアプリ

【ベスト Android アプリ賞】Gaze Link(アメリカ)
ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者のための目線によるコミュニケーションシステム

【ベスト ウェブ アプリ賞】ViddyScribe(アメリカ)
視覚障がいのある方々でも動画の内容が分かるように音声でアシストするアプリ

【ARCore ベスト プラクティス賞】everies(日本)
周囲の物体をスキャンし、インタラクティブなキャラクターに変えるAR(拡張現実)ツール

【Firease ベスト プラクティス賞】Trippy(カメルーン)
旅行計画を簡単に立てるためのパーソナルアシスタント

【ベスト ゲームアプリ賞】Pen Apple(アメリカ)
コーディング不要でゲーム内コンテンツを動的に生成できるローグライク デッキビルダー

【ピープルズ チョイス賞】Vite Vere(イタリア)
知的障害を持つ方々が自立した生活を送れるよう支援するアプリ