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私がゆめみで実践しているサービスデザイン
このnoteについて
ゆめみサービスデザインチームの同志たちで、
サービスデザインをテーマにリレーコラムしています。
📖 内容
・私が把握しているサービスデザインの概念
・サービスデザインとは
・私が実践していること
・実践の具体例
私のサービスデザイン(概念整理)
私が把握している内容は以前こちらのnoteに書きました。
A. サービスのデザイン という抽象概念
B. サービスをデザイン するための具体的手技法
A. サービスのデザイン という抽象概念
プロダクトデザインや、パッケージデザインとの対比で、サービスという距離的・時間的に幅のある事象全体をデザインの対象物として捉える考え方。サービスを設計するということ。
これを司るのがサービスデザイナーです。
B.サービスをデザイン するための具体的手技法
サービスを形作るために行う、リサーチやアイディア展開、試作等を通してサービスの体験を改善するアプローチ、手技法。
サービスデザイナーをはじめとして、サービスのデザインに関わる人が行います。
私はAを実践する職業としての「サービスデザイナー」を自称しています。
※なぜ自称かというと、具体的な資格名称としてのサービスデザイナーが規程されていないからです。
サービスデザインとは、デザインのデザイン
もっと噛み砕いていうと、
「なにがほしいか、がわからない。」かたに対して
「なにをさしあげるのか?」をデザインし、
それが世の中の役に立つまでを責任をもってお手伝いする。
という仕事だと考えています。
例えば、土地があるとします。
オーナーとしては、これをなにかにつかわなきゃ勿体ない気がする。
不動産屋は、将来のために家を建てて、それを売らせてくれと言う。
コンサルは、ROIがいいのは駐車場だと、データを参照しながら言う。
でもなんか違う。なにをしたらいいのか?わからない。モヤモヤしている。
そのようなオーナーの「なりたい自分」を一緒に見つめて、
一緒に収益物件を建てて、一階にオーナーの趣味のお店を開店し、
上層の部屋は客付けの方法まで一緒に考える、
といったところまでご支援差し上げるイメージです。
実践していること
少し上であげた概念B.にあたる「サービスをデザインするための具体的手技法」ですが、それを使える=サービスデザイナーを捉える向きも多いです。その文脈でのサービスデザインはツール・手法のお話になりがちです。
採用や評価の際にも、サービスデザインのツール名をあげて、それが使えるか、つかったことがあるか?みたいな話しになります。
しかしそれは本質ではないと考えています。
いくらペルソナだ、ジャーニーだ、サービス・ブループリントだ、と言っても、なんのためにそれをしているのか?を忘れてはいけません。
本当に大事なものは、そういう道具の要素還元主義では出てこない、
と実感しています。
つねに
・これは何のための道具か?
・もっとうまい使い方はないか?
・他の道具でここに使えるものはないか?
と考えて、実行していくことで、本質の深みに到達できると考えています。
💁㌽
✗ 道具にしばられたプロセス・ルールを守る
◎ いろんな道具をアレンジして一番ハマるものを考える
そしてときには、プロセスから逸脱することも必要かと思います。
「まじめに」プロセスを「きちんとこなす」ことで、なにか新しいものが生まれるのでしたら、世の中には溢れているはずですが、そうはなっていません。
💁㌽
✗ まじめにきちんと手順どおりやる
◎ 構造を理解して、ハックする
たとえば迷路を考えてください。
お客さんと迷路にきました。この迷路を通らないと先にはいけません。
通った先にある場所にできるだけ早く到達することが求められたとします。
地図はありません。
手技法にとらわれた人
入り口から迷路をちゃんと解こうとします。
迷路解析の一番の基本である 左手法 をつかって壁をつたい、
迷路を地図に残していきます。
殊勝なことで素晴らしいと思います。
ですがそれでは途中から「手順に沿う」ことが目的になる。
早く迷路を抜けることが目的で、抜けた先にあるものを求めているお客さんにとっては、手順に沿う体験は本質から外れていくのですが、やってるほうは気づかない。この迷路を解こうとしている人が他にいないにも関わらず、この迷路を解くことが大事だと信じてしまっている。
結果として「くたびれもうけ」、出来上がったストーリーが「ありえない」ものになってしまった、ということはよくあると思います。
構造を理解してハックする人
・迷路とは何?
→1人称視点では壁があって先が見通せないのだな。
・先を見通すにはどうすればいい?
→高いところから俯瞰視点にたてばいいな。
・どうやったら俯瞰視点にたてるか?
→鏡を持って手を伸ばして、壁から上に出してみてみよう
→だれかの話しを聞いてみよう
・この迷路を造った人の立ち場にたつとどうしたいか?
→認知の矛盾を突いてくるのはでないか?
→わざと遠回りするのが近道ってのがよくある手だよな?
・それってありえるのか?
→ 解いてまでやることか?
→だれも通ってないってことは、解く価値がないのでは?
→飛んでいったらだめなのか?
→迷路以外の道を探したほうが早いのでは?
こんな考え方をするということかな?と思っています。
正解かわからないものを、まじめにプロセスに沿ってやることではない、
あらゆる選択肢から正解に近いものをどれだけ早くえらべるか?ということです。
その選択肢を得るためには、あらゆる分野を勉強しなければなりません。デザイン、エンジニアリング、ビジネス、経済学、文化人類学・・・・
実践の例
バリュー・プロポジションキャンバス
本来のバリュープロポジションキャンバスは、
自社のサービス/プロダクトがユーザーのニーズに合っているか?を確認するツールです。そのため、すでにあるプロダクトから発想し、ユーザーの体験を確認していくのが普通です。図の左側からですね。
そしていかにこの画を完成させるのが目的になったりします。
私達は、左側のプロダクトのない状態で、右側のユーザーの悩みや願望からそれを叶える機能/サービスを考えるために使います。あくまで中間作成物にすぎないです。
書いたら完成ではなく使い倒してボロボロにしていきます。
そのためには、ここに出てくるペルソナをより「実在」にすることが必要。そのため、共感から進める方法をつかってペルソナを作ります。
ユーザージャーニーマップ
ジャーニーマップとは、顧客がどのように商品やブランドと接点を持って認知し、関心を持ち、購入意欲を喚起されて購買や登録などに至るのかという道筋を旅に例え、顧客の行動や心理を時系列的に可視化したものです。
よくあるパターンは、ここに出てくる顧客が「今できる機能からこじつけた非実在ペルソナ」であるということ。そしてこの画を完成させるのが目的になったりします。
私達のジャーニーマップは、あくまで中間作成物にすぎないです。
書いたら完成ではなく使い倒してボロボロにします。
先程もありましたが、共感から進める方法をつかってペルソナを作ります。ジャーニーマップのどの場面にアイデアが適用されるのかを考え、ユーザーの行動/場面の付箋の上に重ねて貼っていきます。
この時に張り出せないアイデアは、「ユーザーにとって嬉しいものではないのでは?」「面白いけどユーザーが使う場面がないのでは?」と確認できます。
必要なのは、はやくユーザーの輪郭を掴むこと。
そして、プロジェクトでの今現在の選択は、正解だったのか不正解だったのか誰もわからない、という視点にたち、繰り返すことが大事です。
であれば、早く形にしていくことが大事かと思います。
そのためには道具も自分の使いやすいようにデザインしていく、
デザインをデザインしていくことが求められていると思います。
結局、誰のほうを向いて仕事しているのか?を問うこと
💁㌽
✗ 発注者
◎ そのさきにいる利用者、利用者の周りにいるステークホルダー
ちょうど、具体的な例がありましたので紹介しますね。
これは農業ICTのめちゃくちゃ面白いところなんですけど、
— なかざん (@Nkzn) June 23, 2020
アプリ開発文化圏の人「最高のUIでユーザーに気持ちよくアプリを使ってもらえるようにするぜ!」
ユーザー「土で手も手袋も汚れてるし、いちいち手袋外して操作するのも面倒だから、アプリは操作しないな」
が最低限のスタート地点です。
似た話は飲食業界にもありますね。
— ぷ よ 太 郎 (@puyotaroh) June 24, 2020
出前館は、「個人商店ではオーダー確認を厨房内で行う店が多く、水や火、油を使う所で機械操作をするのは難しい」という声を受け、Webで受けた注文を店舗にFAXで流して自動発信電話で確認してもらうようなシステムにしてます。https://t.co/eacMmasO7X
まとめ
・サービスデザイナーは具体的な手技法がつかえる人、ではない。
・手技法は道具。それをアレンジして使い、目指すのは構造のハック。
・サービスデザイナーに必要なのは、多様な知識の集積かも。
・「今できる機能からこじつけた非実在ペルソナ」はもうやめよう。
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