渋谷系と背伸びした僕
風薫る5月になると思い出す青春の話。
いかがお過ごしでしょうか。ぐっでぃテレビのモーリーです。今回はGWということで、ちょっと雑談を。。。まとまりのない話ではありますが、私の思い出話にお付き合いいただけましたら幸いです。
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時は90年代後半。高校生になってちょうど1か月ほどが経とうとしていた頃、私は中学校とは少し違う、ちょっとした自由を手に入れたような、自分の中で少し背伸びした高校生っぽい毎日を過ごしていました。(ちょっと背伸びといっても、学校帰り自転車で本屋さんやCDショップなどに寄り道するくらい(笑))
そんな時知り合ったのがA君。彼は渋谷系の音楽が大好きで、高校では部活にも入らず、音楽を始めたいと思う、中学校時代には出会ったことがないような、ちょっと都会的でお洒落な青年でした。
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出会って間もないころ、音楽の話になったので、私は60年代洋楽(ビートルズ・ビーチボーイズなど)を中心に聴いていることを話すと、A君は前のめりにその話に耳を傾けてくれたことを今でも覚えています。中学生の頃はこんなマニアックな音楽の話が出来る友達はいなかったのでとても新鮮でした。
洋邦違えど、お互い同じようなグルーヴ感を持った音楽が好き同士だったので、よくCDの貸し借りもしました。
私はビーチボーイズの『ペットサウンズ』を、その友達はフリッパーズ・ギターの『シングルズ』を共に貸し合ったのが最初の交流でした。
Wouldn't It Be Nice(素敵じゃないか)/ザ・ビーチボーイズ
私が初めてA君に貸したのが、ビーチボーイズの『ペットサウンズ』。1曲目は名曲『Wouldn't It Be Nice(素敵じゃないか)』
ビーチボーイズの名盤『ペットサウンズ』。私は最初期の青春ソング然としたサーフィン・ホットロッド系のサウンドの方がやや好きなのですが、A君の好みに合わせて『ペットサウンズ』をチョイスしたことを覚えています。
恋とマシンガン / FLIPPER'S GUITAR
A君が貸してくれたフリッパーズ・ギターの『シングルズ』に収録されていた『恋とマシンガン』。
高1の頃は、まだ邦楽をほとんど聴いていなかったので何となくとっつきにくかったのですが、その後渋谷系の扉を開いてくれるターニングポイントとなったのがこの曲。今ではこの曲を聴くと高校時代を思い出すくらい大好きな思い出ソングです。
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90年代後半、私の住む地方でも渋谷系が話題となっていたので、当初A君は、今流行りの音楽を好んで聴いているんだと思っていました。
しかし貸してくれるCDを聴いているうちに、次第に何やらA君の聴いている音楽はただの流行歌ではないんじゃないかと思いだした私。
そんなとき出会ったのがこの曲。
ベイビィ・ポータブル・ロック / PIZZICATO FIVE
A君オススメのアーティストの一つがピチカートファイブ。『ベイビィ・ポータブル・ロック』はピチカートファイブの中でも特に大好きな一曲。
確かCMか何かで使われていたような気がします。テレビから流れてくるこの曲に耳なじみがありなんか心地よいソフトロックな曲だなぁと思っていたら、A君の好きなグループ『ピチカートファイブ』のCDに入っているじゃないですか。
同じ頃、私はビーチボーイズの流れからソフトロック系の音楽に興味を持っていて、その時お気に入りだったのが60年代中盤に活躍した『Gary Lewis & the Playboys』。
軽快でそよ風のような軽さを持つグルーヴが好みならこのアーティストはいかがと思い、早速A君にCDを貸しました。(テープに入れて渡したのかも・・・(時代を感じる(笑))
Green Grass / Gary Lewis & the Playboys
高校に入りたての頃にタワーレコードでGETしたゲイリールイス&ザ・プレイボーイズのCD。当時何度も何度も聴いたベスト盤CDです。
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ある日、A君がPiccadilly Circus(ピカデリーサーカス)というグループが今お気に入りだという話をしていました。
私は当時、その言葉に気にもかけておらず聞き流していたのですが、『ピカデリーサーカス』という響きだけがその後も残っていました。
時は過ぎ、洋楽だけでなく邦楽もどんどん聴き始めていた20代後半、ナイアガラの繋がりから私は杉真理さんのファンとなっていきます。
そこでびっくり。Piccadilly Circus(ピカデリーサーカス)って杉真理さんが中心となって活動していたバンドじゃないですか。A君、本当にすごい。私はその後10年以上経ってから杉真理さんの音楽に出会い、そしてPiccadilly Circus(ピカデリーサーカス)にたどり着くことになります。
Never Cry Butterfly / Piccadilly Circus
竹内まりやさんもカバーしておられる『Never Cry Butterfly』。オリジナルはPiccadilly Circus(ピカデリーサーカス)です。
夢見る渚 / 杉真理
ちなみに杉真理さんのお気に入りの一曲。『夢見る渚』。ナイアガラトライアングルVol.2は私にとって名盤です。
私の主な邦楽歴の流れは、山下達郎さん→大瀧詠一さん→はっぴぃえんど→杉真理さん→須藤薫さん→村田和人さん・・・と続くのですが、ここまでたどり着くのに約10年ほど。A君は若干16歳でここまでたどり着いていたと思うとびっくりです。
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高1の春から、僕たち二人は、一応2ピースバンドということでオリジナル曲を書いてMTR(多重録音できる録音機)を使って録音するといった形で、音楽活動を楽しんでいたのですが、その後、高2になって別々のクラスとなり、教室の関係で校舎も別れ、学校で顔を合わせる機会も少なくなりました。(たまに自転車置き場でばったり会った時なんかはよく話をしてました。)
当時の高校生は携帯も持っていない時代。(都会では持っている人もいたかも・・・残念ながら私の周りでは普及していませんでした。)また高2・高3と進むにつれ受験も控え、次第に2人の音楽活動は自然消滅してしまいます。
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今考えると、聴いている音楽も考え方も立ち振る舞いも地方では珍しくハイセンスな感覚の持ち主だったような気がします。(彼は服装なんかもハイセンスでした。私は・・・ダサかった(笑))
当時、私はまだまだ見た目も考え方も行動も、何をとっても子どもで、どんなに背伸びしても、彼のセンスには肩を並べることが出来なかったような気がします。
だって高校生になり大人ぶっても、家に帰ると中学時代と変わらない服装(家にあるものを適当に着るというか・・・ファッションに無頓着ってやつです。)して、グローブ持って公園に遊びに行ったりもまだまだしていましたもの。(今考えるとそんな姿も微笑ましく可愛いですが(笑))
音楽という共通言語があったから、出会った二人。
タイプの違う二人だったかもしれないけれど彼を通じて色々な刺激をもらったような気がします。ほんと大人の階段を上る出会いって言いますか、思春期に自分の持っていないものを持っている人に出会うことで考え方や、モノの見方が広がったといいますか、大人になってからあの頃を思い出すとすごく青春を感じます。
5月の風を感じると、新しい友達と新しい感覚、新しい文化と出会った、私にとって刺激的だった高1のあの頃を思い出すというお話でした。