あなたのペットは大丈夫? ペット遺伝子検査、最前線

近年のゲノム解析技術の進歩によって、ヒトの遺伝性疾患の研究を追いかけるように、犬・猫のゲノム研究が進んでいます。

現在、シドニー大学において、学術論文で報告された動物の遺伝形質ならびに遺伝性疾患に関わる遺伝子情報を収集したデータベース、「Online MendelianInheritance in Animal(OMIA))が公開されており、犬では 738件、猫では 344件の遺伝形質ならびに遺伝性疾患に関わる遺伝子があきらかになっています。今後も研究が進むことで、様々な遺伝的知見が蓄積されていくことでしょう。

現在、この中で犬で150項目以上、猫で40項目以上の遺伝性疾患の遺伝子検査の実施が可能です。

しかし、犬・猫種、その個体が病気の保因者がいない血統だった、などにより、遺伝性疾患の有病率が異なるため、全ての検査項目を実施する必要はありません。遺伝子検査を実施する上では、検査機関やかかりつけの獣医に相談されることをお勧めします。

では、私のペット(犬・猫)の遺伝性疾患の有病率は、どうすればわかるのか?

残念ながら、猫に関する大規模な調査結果は、現在公表されていません。

しかし、犬については、2018年、米国ペット遺伝子検査会社Wisdom HealthとGenoscoper Laboratoriesの研究者が、100,000を超える雑種犬と純血種の犬の152の遺伝性疾患の有病率の調査結果をまとめました。

その結果は以下を示しています。

混血犬の約2%が罹患するリスクがあり、40%が少なくとも1つの病気の保因者である。
純血種の犬の約5%が罹患するリスクがあり、28%が少なくとも1つの病気の保因者である。
また、すべての結果は、イヌの遺伝性疾患のオンラインデータベースとして公開されています。英語ですが、犬種名を入力して検索すると、犬種ごとの遺伝性疾患の一覧と、各遺伝性疾患の有病率に関する結果が閲覧することができます。

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出典:J. Donner, et al."Frequency and distribution of 152 genetic disease variants in over 100,000 mixed breed and purebred dogs.", PLoS Genet. 2018 Apr 30;14(4):e1007361. doi: 10.1371/journal.pgen.1007361. eCollection 2018 Apr.

今後も犬猫のゲノム研究は飛躍的に進み、DNAからより多くの情報を得ることができることが期待されます。遺伝子検査を実施することを契機に、飼育しているペットの病気や健康、特長、育て方などについて飼い主が多くを学べる機会が得られるのではないでしょうか。

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