グラベルロードが熱い!(cannondale Topstone Carbon編)
ここ数年、すべてのロードバイクが同じ形になってきたと思いませんか?カムテイル型のエアロ断面、オフセットチェーンステー、ディスクブレーキ、ハンドルステム内装のブレーキホースにDi2、カーボンチューブレスホイール。マットブラック。走りも似てきました。ロードバイクにおいて「よい自転車」の定義と作り方が固定してきたということかもしれません。
グラベルロードは違います。
今まさに各メーカーが「グラベルロード」というジャンルの在り方についてそれぞれが考え、2019年、2020年一斉にテーブルに出してきた感じです。すべてのジャンルのバイクにおいて課題を見極め合理的な解を示してくれるバイクメーカーであるcannondaleのグラベルロードがこのTopstone Carbonです。
1年早く登場したツーリングバイクのTopstone Alloyとはまったく異なり、このバイクはグラベルレース用です。最大の特徴は「キングピン」。前三角とシートステーをこの「キングピン」と名付けたリンクを介して接続しています。これによりチェーンステーのしなりだけで30㎜ストロークするダンパーレスリアサスペンションを備えています。走り出すと、よほど意識しないと動きは感じませんが、ダートに入るとあきらかにトラクションがかかっていることに感銘を受けます。少しラフに踏み込んだり、ダンシングしてもリアタイヤがキャパを超えることなく、しっかり地面を蹴ってくれます。この性能はリジッドフレームのMTB(F-Si)と比べても優れていると感じるほどです。また下りでもその威力を発揮しオン/オフ問わず「速い!」と感じます。
そう言えばキャノンデールは昔からリアサスペンションが得意です。市販のMTBにリアサスペンションを搭載したのは、フロントサスペンション搭載より前の1991年のことでした。その後もScalpelやJekyllなどのサスペンションも乗り心地やクッションではなく、常にトラクションを求めた設計でした。この技術の蓄積がこのTopstone Carbonにつながっています。
リアサスペンションを搭載すると走りがダルになるのでは?と心配しますが、そこはしっかり対策されており、チェーンステーの長さを415㎜とロードバイク並みに短くして対応。それにより犠牲になるタイヤやギヤのクリアランスはセンターをズラした専用ホイールを採用することにより、チェーンラインを6㎜外側にズラして対応。cannondaleらしくきっちり課題をクリアして商品化してきました。BB位置が高いのもTopstone Carbonの特徴。一般的にグラベルロードはロードバイクより低くする傾向がありますが、Topstone Carbonは同社のロードバイク(SuperSix EVO)に比べて10㎜高く、64㎜に設定されています。これは乗車時にサスペンションが少し下がることを考慮した設計と思われます。
乗り味はとても滑らか。オンロードでもタイヤを選べばロードバイクと一緒に走っても苦労することはありません。スプリント的な場面ではやや遅れ気味に加速しますが、結局追い付くのもこのバイクの不思議です。
Topstone Carbonを手に入れると・・・ロードレースに出るのでなければロードバイクを出して乗る機会がなくなる気がします。