【連載】cannondale Topstone Carbonについて語ろう vol.4
グラベルでの良さはわかってきたけど、グラベルやダートは走れらないし、走るところがないし。という方のためにvol.4ではオンロード性能について語ります。自動車で言えばSUVのハイウェイインプレッションみたいなことを書きます。
グラベルロードでオンロードを走る検証は2016年にサスペンション付きロードバイクのSlateが発売されてからずっと、部品やポジションを替えながら続けてきたことです。定例の練習会やサイクリングはもちろん競輪場でトラックレーサーと走ったこともあります。
実際グラベルロードはロードバイクより速いか?と言われるとそんなことはありません。タイヤをスリックにしておけば、最高速自体は同じレベルまでもっていけますが、その過程はとてもロスがありコツが要ります。ロードバイクのようなカッチリした手応えは少ないのでバイクに身体を預けて力任せに踏むよりは、バイクの重心の上でどんどん回転を上げていくイメージがよいです。
Topstone Carbonに700×35Cのスリックタイヤを履かせた様子。奥に見えるバイクはcerveloのグラベルロードAsperoにエアロホイール、700×23Cを履かせたバイク。今一番注目されているグラベルロード2種をロード仕様にアレンジして検証しました。
Asperoの方は良くも悪くもcerveloらしいバイク。現在cerveloに乗っている方は想像通りの乗り味です。今回のようにエアロホイールを装着すれば、グラベルロードであることを忘れます。軽量でキレがあり、それでいて安定感があるクリテリウムレーサーです。グラベルタイヤを履かせるためリアセンターをR5に比べて10mmだけ長くして420mm。タイヤクリアランスとチェーリングクリアランスを確保したうえで限界の短さです。PINARELLOなども420mmのチェーンステーを採用しているようですが50Tを超えるチェーンリングはチェーンステーとの接触に注意が必要です。
レーサーバイクである以上機敏さは大事です。その機敏さを演出するのがチェーンステーの長さとハンガー周りの剛性、味付けです。700×40Cのグラベルタイヤを履かせて420mmはかなり短いです。多くのエンデュランスロードが420〜425mmあたりということを考えるといかに短いかわかります。
Topstone Carbonはさらに短く415mm。これを実現させたのはXCレーサーで実績のあるAiオフセットと言われるリアホイールの規格。チェーンラインを6mm外側にオフセットさせることによりチェーンリングとチェーンステーのクリアランスを確保したまま、リアセンターを短くできるメリットがあります。
Aiオフセットは2015年、29erのマウンテンバイクを機敏に走らせるためのcannondaleの発明です。当時各メーカーは29erの取り回しの悪さを解決できず、走破性を諦め27.5にシフトしましたが、cannondaleはこのAiオフセットを使って取り回しのよい29erを開発したのです。今回この技術はTopstone Carbonにも搭載されており、700×40Cのグラベルタイヤを装着しても415mmというコンパクトなリアセクションを実現しました。
Aiオフセットにはもう一つメリットがあります。それはリアホイールのスポーク長です。通常リアホイールはギヤ側のスポークが短く角度がとれないのですが、Aiオフセット対応のホイールはハブのセンターに対しリムが反ギヤ側に6mmオフセットしているため、左右でスポークの長さが同じなのです。これによりホイールの剛性は80%近く向上するらしく、Topstone Carbonの走りの良さに寄与します。
カラクリを聞いてみれば、なんだそんなことかということですが、クランクやホイールに至るまで自社で作り込むcannondaleにしかできない発想なのです。
しかし、Topstone Carbonの真骨頂は30km/h前後のロングライドです。グラベルで暴れない特性はアスファルトの継目やマンホールを乗り越えてしまった時でも、突き上げることがないので楽なのです。ツーリング派やブルベに参加する方は要チェックです。
Vol.5ではTopstone Carbonを使ってのバイクパッキングの例をご紹介します。
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