【連載】cannondale Topstone Carbonについて語ろう vol.4.2
次はバイクパッキングについて書くなど、呑気なことを言っている間に衝撃的なバイクが発売されました。「Topstone Carbon Lefty」つまりサスペンションフォーク「Lefty」を搭載したモデルの登場です。サスペンションロードのオンロード性能の検証について、やり残したことを少し追加しておきたいと思います。
LeftyとSLATE
Leftyとはcannondale独自のサスペンションフォークのことです。左側だけの片持ち倒立構造は他に例がなく、重量・剛性・路面追従性において現在考えられる最高のパフォーマンスを誇ります。そして何よりcannondale社が好きなようにストローク、オフセットや全長を設定できるため、今までになかった種類のバイクが創造できるわけです。サスペンションを付けたロードバイクはcannondaleの歴史の中でもヘッドショック(Leftyの姉妹品)仕様などがありましたが、ここ最近では2016~19年のSLATEが有名です。ホイールサイズを650Bにインチダウンした上でエアーボリュームのある42C軽量スリックタイヤを履かせ、外径は700×23Cと同じとのこと。
SLATE専用のフォークはOliverと呼ばれ、30㎜だけストロークしました。「このバイクは何用ですか?」「シクロクロス?」と聞かれると回答に困るのですが、乗ってみればわかります。とにかく楽しい。オンもオフもぐいぐい行ける、試してみたくなるバイクです。後継モデルやカーボンモデルの発売を待つ声もありましたが、2019年Topstoneにバトンタッチして退任しました。
そして現れたTopstone Carbon についてここ何カ月も書いているわけですが、とうとうLefty仕様が登場しましたので追記しておかなければならないわけです。
Topstone Carbon Lefty
このバイクはあらかじめ650B×47Cのグラベルタイヤが装着されています。700Cで使う場合は、フォーク全長を伸ばす加工をしなければならないのですが、今回は加工せず。700×28Cでオンロード性能を検証していきます。700C化と言っても簡単ではありません。リアは前述したとおりAiオフセットなのでセンターを専用にズラしたホイールが必要です。フロントはLeftyなのでLeftyハブ仕様の29erホイールが必要です。偶然F-Si用にLefty×AiオフセットのMAVIC Crossmaxを持っていたので取り付けようとしたのですが、フロントのLeftyハブが合わず。しかたなくフロントは手組ホイールを新調しました。2015年以降のLeftyMTBはワイドフランジ(60)ですが、SLATEとTopstone Carbon Leftyは旧規格(50)のハブが必要です。今回はSlateのハブとMAVICのCXP Carbonリムを組み合わせました。
今回のLeftyは2019年F-Si以降の新規格です。従来のダブルクラウンではなくシングルクラウン仕様。これをTopstone用に作ったものでF-SiのOchoと呼ばれるフォークとは全く別物です。フォークの名前はSLATEより引き継いでOliverなのですが、よりオンロード性能を向上させています。ロックorアンロックはフォークの肩にあるレバーで切り替えるのですが、どちらに設定してもフォークは動きません。アンロックでもかなり衝撃荷重を加えた場合に最大で30㎜動くようにチューニングされています。通常のサスペンションは初動の軽さが大事なのですがこのOliverは動き出しにはある程度の勢いが要るようです。例えば階段を降りるような衝撃にはきれいに動きますが、オンロードにおいてバイクの上で多少暴れたところでサスペンションが邪魔になるような無粋な動きは感じません。
そんなこんなで通常のオンロード走行でもまだロック機能を使ったことがありませんが、このLeftyを装着したTopstone Carbon LeftyこそTopstoneの完成形ということがだんだんわかってきます。
SAVEハンドル
今回はフレアハンドルではなく純正のSAVEハンドルを使いました。SAVEハンドルは2018年のSynapse発売の時に発表されたキャノンデールのオリジナルハンドルです。カーボンハンドルと専用アルミステムの組み合わせでエアロ性能と振動吸収性能を両立させた画期的なハンドルです。もちろん一体型ではないので約8°の角度調整ができるところもポイントです。
ロードバイクとは違い、スプリントを得意としないグラベルロードですが、このSAVEハンドルとLefty OliverとKing Pinの組み合わせはスプリント領域でとてもうまく機能することがわかりました。ドロップ部分をしっかり握って全体重でペダルを踏みこむ場面において、ハンドルへの入力がしっかりステムに集まりフレームの前三角に伝わっていくスピードが速いのでダンシングのリズムが速くなります。ハンガー部分の横剛性はとても高く、ペダリングパワーはクランクを介してダイレクトにハンガーに伝わります。入力されたパワーは少しも逃すことなくリアステーがきっちり路面に擦り付けて、バイクを前に進めるイメージです。手からハンドル→フレーム→足からクランク→チェーン→ホイール→路面までがすべてつながる快感。
オフロードでのトラクション性能はそのままオンロードでは加速性能として体感することができます。特に超高速域での全開加速はバイクが不安定になりがちですが、60㎞/hから70㎞/hへの加速(もちろん下りです)でも安定感はロードバイクには無いものですので是非体感してもらいたいと思います。
Topstone Carbon Lefty。
次回は650Bのグラベルタイヤを装着していよいよグラベルに入ります。