人を育てようなんておこがましいにも程がある
私は一応マネージャーです。まだ1ヶ月半も経ってないけど。まあその前に日系企業で部長をやっていた経験も合わせると、トータル2年くらい管理職やってるかな。それくらいの経験ですが、そこから感じたことを少し書いてみます。
人を育てるなんて幻想
よく言いますよね、マネージャーの仕事は部下を育てることだ、って。
そんなもん幻想です。人を育てるなんてできるわけがない。育つか育たないか、成長するかどうかなんて、本人次第です。「成長したい」と本人が思わない限り、どんな手を尽くしても成長なんかしません。
それに、マネージャーが部下を成長させようと思ったところで、与えられるものは「自分にとって良かったもの」だけです。それが相手にとっても等しく良いものか、なんて分かるわけがない。
人間は自分が経験したもの・ことでしか評価できません。それしか分からないのです。だから、無条件に自分が経験したものは良かった、と思い込むし、それは他の人間にとっても素晴らしいものだ、と無邪気に信じる生き物です。
そこに齟齬が生まれます。
結果、育てようとすればするほど誰も育たない、って結果が待っています。
俺は部下を育てたよ、って経験は勘違い
そんなことはない、俺は今までに部下を育てたことがある、なんて人もいると思います。「俺が育てたおかげでアイツは一流になったんだ」みたいな経験をお持ちの方もいらっしゃるかも知れません。
全部勘違いです。完全な勘違いです。
それは、あなたが育てたのではなく、本人が勝手に育ったのです。全て本人の手柄であり、あなたの手柄ではありません。
たまたまあなたの指導がマッチして、いい結果につながった可能性はあります。それは否定しません。
じゃあ、他の部下はどうでしょうか?他の部下も同様に成長しましたか?一流になりましたか?
全ての人間を成長させる事ができているのであれば、認めます。でもそんなことはないですよね?成長した人間のほうが遥かに少ないはずです。なので「成長した」ということ自体がまぐれか偶然の産物だと思うべきですね。
成長しなかったやつはやる気がなかった、みたいに思うかも知れません。
成長したら俺のおかげ、成長しなかったら本人のせい、ってのはエラい自己中な発想ですね。そういう発想ができたら人生楽しいでしょうね。
現実は違いますけどね。
人は育てるものではなく、育つもの
結局、人間は自分で育つしかないのです。自分で成長しよう、より大きなキャリアを積もう、もっといい仕事をしよう、そんなふうに自分で思って行動しない限り、絶対に成長しません。
ああ、極稀に上のようなことを考えなくても「好きなようにやってたら成長してた」ってケースもあります。これは極めてレアなケースであり、極めて幸運なケースです。
なので、あなたがもし管理職/マネージャーだとしたら、部下を育てよう、なんてことは考えるだけ無駄です。意味がありません。
だって、やるのは本人ですからね。
親から「勉強しなさい」って言われたら、逆に勉強するの嫌になりませんでした?同じことですね。いろいろと言われると逆にやりたくなくなる。
部下からしたら「そもそもお前はやってんの?」って話ですよね。
マネージャーの仕事は育つ環境を整えること
じゃあマネージャーって何したらいいんだろう。
簡単です。部下が自分で成長しようと思ったときに成長できる環境を整えてあげること。これです。
部下の能力やキャリア志向などに合わせて、適切に仕事を与える、チャレンジャブルなことに挑戦させる、困ったときのフォローアップ態勢を整える。
また仕事以外で自分が成長するための何かを与えている。例えば外部研修の機会だったり、読書するための費用の補助だったり、教育カリキュラムだったり。
加えてそれらのメリットを享受できるようにするために仕事において自由裁量を与える、結果を最も評価し、結果にたどり着くまでのルートは任せる、こういった動きも必要になります。
こういった部下が成長できる環境をしっかりと整える、それらを使うことに躊躇させない、こういった働きかけ、環境整備はマネージャーの仕事です。
でもマネージャーとしての要求は伝える
部下に気を遣って、部下が働きやすい環境を整えましょう、みたいな話になってしまいましたが、マネージャーの仕事の中で最も重要な仕事を最後に書きます。
マネージャーとして一番大事なのは、
部下を何で評価するのか、部下にやってほしいことはなにか
この2点を自分の言葉でしっかりと伝えることです。
「これで評価する」というのは、部下にとっては「何をやるべきか」という指針になります。それがないと不公平感が出ますね。頑張ったのに評価されない、って感じる人は、「何で評価するのか」が共有されていないので、自分の評価や他人の評価に対して納得できなくなります。
もう1つ、「自分がやってほしいことをやってもらう」というのも非常に重要ですね。もちろんそこにはWhy?が必要です。
あなたにはこんなことをして欲しい、なぜならね・・・
こういうコミュニケーションはめっさ大事です。自分の要求、それに対するWhy?、これらがちゃんと伝わっているかどうかで、部下の動きというのは変わってきます。常に納得性を持たせて仕事してもらう、これが重要です。
ちなみにこの内容は、ビジネスだけじゃなくて、〇〇教室みたいなのでも十分応用できる内容なんじゃないかな、と思っています。
ぜひ一度「相手は育つもの」という意識を持ったままで、いろんな機会や教材を提供できるようにしておくのが良いだろうな、と思います。
まあそういうのが一番難しかったりするんですけどね。