ファスト教養が悪いとは言わないけど

先日、この本を読みました。

まあ私自身、一時期はアホのようにビジネス書とかこういうファスト教養的なものは読みまくりましたからね。読みたくなる気持ちはわかりますし、それを読んで「知った気になる」のもよくわかります。

でもそれって結局大した効果がないんですよね。

個人的にはホリエモンの考え方は好きだし、勝間和代の0.2%の成長とかGive5乗とかは好きです。でも彼らと同じことをやってても彼らと同じようになれるわけじゃないですからね。

個人的な意見として、私はこういうファスト教養にハマる時期があってもいいと思います。で、それがどこかのタイミングで洗脳が解けるように「あ、これ読んでも意味ないな」って感じると思うんですよ。それがあればいいんじゃないかな、と。それがなくてずっと読み続けてる、触れ続けてるのは、リスクしかない気がしますね。

リスク、という意味では、個人的には中田敦彦のYoutube大学が一番危険なんじゃないかな、と思ったりしてます。いや、実は一度も見たことがないんですが。

前職で少なくない人間が「あっちゃん(中田敦彦)のYoutubeはすごい」「めっちゃ勉強になる」「すごく分かりやすい」なんて言ってるわけです。で、時々「Youtube大学で言ってたけど、5Gは結局こういうことで・・・」みたいなことを言い出したりするわけです。

その時点で私は「あ、これダメなやつだ(多分)。見る必要ないやつだな(多分)」って思っちゃったんですよね。

「分かりやすい」っつーのがどうにもこうにも問題で、そんなに簡単に分かるような内容じゃないはずなんですよ、5Gにしても、それ以外に取り扱っている話題にしても。そんな簡単に分かるんなら、誰だって専門家になれちゃうんじゃないですかね。

だから、彼の話は「本をサラッと読んで分かったような気になっている人(中田敦彦)」が説明した内容を聞いて「分かったような気になる」類のものであることは間違いないと思っています。偏見入ってると思いますが、大して外れてないんじゃないかと。

見てないくせに何が分かる、って言われそうですが、それなりに経験も積んできたので、分かりますよ。だって、彼自身それを認めてると思いますし。「内容は間違ってる可能性がある」的なことを但し書きしてますからね。そうやってちゃんと予防線を張っているところはちゃんと考えてますよね。

いやまあ、別にいいんですよ。分かったような気になって、気分良くなるために見る分には。娯楽の一つですからね。

でもこれで「分かったような気になっているだけ」であって、実際に分かった、理解したわけじゃない、ってことに気づいてないとしたら、リスクしかないんじゃないかな、と思います。

ここでは中田敦彦のYoutube大学を挙げましたが、他のビジネス書も近しい部分があるとは思います。そういうのを読むのは悪いとは言いませんし、読まないより5万倍くらいマシだとは思います。ただ、それを鵜呑みにしちゃ駄目よ、って話ですね。

あと、すごく突っ込んでおきたいのが、フリッパーズ・ギターを聴いたとか夏目漱石を読んだとか、そういうことをアピールしたところで就職試験の面接には通らないよ、ってことです。田端信太郎は自著で「教養の一つとしてそういうのを読んだり聴いたりするのが大事」なんて書いてるらしいですが、そんな事はありません。

例えば、私も今までに何度も新卒・中途の採用面接やってきました。私が通した人間も落とした人間もいます。そこでフリッパーズ・ギターの話をされても、そもそも私が聴いてなかったので全く琴線に触れません。「へー」で終わりです。

じゃあ仮に、私が大好きなHOUND DOGやTM Network、Queen、Red Hot Chili Peppersを聴いてました、すごく好きです、なんて言われたとして、加えて「田中芳樹の銀河英雄伝説、面白いですし勉強になりますよね。ヤン・ウェンリー最高です」なんて言われたとしても、別にそれで面接を通したりしません。それで話が盛り上がるかもしれませんが、それと仕事は別物です。正直どうでもいい話です。

なので、田端信太郎氏の面接を受ける人は、ぜひフリッパーズ・ギターを聴いてから臨んでください。他の人にはまず通用しないので、田端信太郎限定で。

正直なところ、こうやって短時間で何かを得ようとする、ってのを否定するつもりはないんですが、簡単に手に入れたものは簡単に失うし、大して価値がないんですよ。Easy Come, Easy Goってやつです。あと、「何かの役に立つから」「読めと言われたから」っていう気持ちで触れてもあんまり効果ないです。

それを理解した上で、ファスト教養と付き合うのが良いんじゃないかな、と思います。

そもそもファスト教養って教養じゃないよね。教養って言葉がバズワード的に無価値に消費されている気がします。

じゃあ教養って何なんだよ、ってことなんですが、明日にでも私なりの教養を書いてみようかな、と思います。

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