ChatGPTを使ってみた食口は、質問に対する回答の「歯切れの悪さ」を体験したかもしれません。
AI開発者が懸念するのは、「エコーチャンバー効果」と呼ばれる確証バイアスの増幅です。
アメリカ大統領選挙を例に挙げるまでもなく、SNSのアルゴリズムが分断を修復不可能なものとしてきました。
膨大な知識を雄弁に語る生成系AIだからこそ、大きな制約を設ける事情は理解できます。
長く信仰した食口は、このようなガイドラインを物足りないと感じるはずです。
「共産主義は無神論が土台だから、歴史的に大量粛清してきたのではないか」という質問に対しても、「おっしゃる通りです」という共感の回答はしません。
「無神論者でも道徳的な人もいる、歴史的には宗教も同じくらい残虐な行為に手を染めた」などを根拠に、無神論者に配慮した回答を返してきます。
原理講師が「歴史的事実です」と正しさを示した根拠の数々が、立て板に水のように反論されてしまうのです。
銃撃事件後の報道で、過去の悪事を暴かれることは仕方ないとしても、保守的な教義や思想まで批判されるのは納得できないと、感じた食口がいることでしょう。
ここまで主戦場とした思想の闘いは、神側vsサタン側に峻別して、優劣をはっきりと論ずるものでした。
「神様が憎む性解放や同性愛、進化論は、地球上から殲滅しなければならない!」のようなコンセプトのことです。
GPTは特定の信念や視点を優位に立たせて、反対側の信念や視点を見下すような言説を拒否します。
果たしてそのような価値相対主義で、本当に世界を良くすることができるのでしょうか。
どうやら80年前に設定された、「世界化したキリスト教が再臨主を迎え、統一原理によって『世界を一つにする』」モデルは、既に破綻していたのかもしれません。
背景には、世俗化に伴う宗教の、相対的な無力化が大きいのでしょう。
原理講論には、敬虔主義やカント、スウェーデンボルグによる第二次宗教改革に続き、「現代の第三次宗教改革」が予言されています。
しかし清平役事の金銭的堕落を見るだけでも、統一運動がそこに到達しなかったのは明白です。
食口がいまなおSNSで、(中国共産党やリベラルを引き合いに)自らの正当性を主張する姿は哀れです。
エコーチャンバー効果で分断した世界で、反対側に石を投げることは誰にでもできることだからです。
GPTの「中庸アルゴリズム」が、今後どれだけ効果を発揮するかは不明です。
しかし「サタン側」を貶めて、自らの正当性を主張する統一運動の戦略は、早晩効果を失うようになるでしょう。
我々が悔い改めるべきは、(霊界を正しく示せなかったことを含めて)「地の塩、世の光」になれなかったことに他なりません。
GPTが「霊性の成長は個々の旅であり・・・一生を通じて続く」と詩的に語るこの時代、やるべきことはただ一つしかないのです。