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ひこにゃんが招き猫になるとき
彦根でいちばん有名な白い猫を知っていますか?
「ゆるキャラ®」ブームの火付け役、ひこにゃんは、毎年、お正月やバレンタインデーに、たくさんの年賀状やチョコレートが届く人気者(猫)。
その愛くるしくて、もふもふした姿は、ひこにゃんファンから「モチ」という愛称をつけられるほど、絶大な人気を誇っています。
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ひこにゃんと井伊家のご縁
東海道・北陸道・中山道の三つの街道が交わる交通の要衝である近江(滋賀県)は、京都の隣に位置し、歴史上重要な役割を果たしてきました。戦国時代には、「近江を制するものは天下を制す」といわれたほどです。
彦根藩井伊家初代当主・井伊直政公は、徳川家康公に仕え、「徳川四天王」の一人として名を馳せた戦国時代の武将です。
徳川家康公は、西国を抑えるため京都に近い彦根を井伊家に守らせました。直政公率いる部隊は,関ケ原の戦いなどで徳川家の先鋒隊を率いて戦い、戦国屈指の精鋭部隊として有名です。
直政隊の鎧・兜・旗指物などのすべては朱色(赤備え)で揃えられていました。朱色を身に付けることで部隊の団結力があがり、朱色は戦場でひときわ目立ちました。そして、直政公は兜に鬼の角のような飾りをつけていたことから、「井伊の赤備え」「井伊の赤鬼」と畏れられていたそうです。
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ひこにゃんは、2007年に国宝・彦根城築城400年祭のPRキャラクターとしてデビューしました。
ひこにゃんの住所は彦根城で、趣味は彦根城周辺のお散歩です。ひこにゃんが毎日、お散歩する時間は決まっているので、その時間を狙って彦根城に行くと、ひこにゃんに会えるかもしれません。
見た目はとてもゆるいひこにゃんですが、実は、「彦根市のPR活動」という、とても重要なミッションを持っています。
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そして、ひこにゃんは、「モチ」のような白いもふもふボディに、首に鈴を結び、鬼の角のような飾りをつけた赤い兜をかぶっています。
その出で立ちと愛くるしい姿から、ひこにゃんは、彦根に根付く直政公の精神を伝えているようですが、それは、ひこにゃんと井伊家にはとても深い繋がりがあるからなのです。
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江戸時代のある日、彦根藩井伊家第2代当主・井伊直孝公が鷹狩りの帰りににわか雨にあって、木の下で雨宿りをしていました。すると、お寺の中から手招きする白い猫を見つけます。「不思議なこともあるもんだな」と、白い猫に誘われるようにお寺の中に入り、住職の話を聞いて雨宿りしていました。すると、直孝公が雨宿りしていた木に雷が落ちたのです。
直孝公は白い猫のおかげで難を逃れたことから、白い猫に感謝して、このお寺を井伊家の菩提寺と定めました。
そして、お寺では、片手をあげている姿をかたどった「招き猫」が作られるようになりました。この白い猫の伝説が「招き猫発祥伝説」の一つとなっています。(※諸説あり)
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つまり、ひこにゃんは、由緒正しい井伊家にゆかりがある猫なので、井伊家のシンボル「赤備え」の甲冑をかぶっているというわけなのです。
しかし、「赤鬼」とはほど遠いイメージのひこにゃん。白いもふもふボディと「赤備え」のギャップが、ひこにゃんの「ゆるさ」を際立たせているのかもしれません。
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ひこにゃんの影響力
ひこにゃんのお世話係をされている彦根城運営管理センター副所長・𦚰孝子さんにお話しを伺いました。
ひこにゃんへの年賀状は、なんと2021年は1万4千通超え!そして、200個以上のバレンタインプレゼントが、国内外のひこにゃんファンから届いたそうです。その数から、ひこにゃんの人気と影響力の強さがうかがえます。
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ひこにゃんは、毎日3回、彦根城や城下町でゆるいパフォーマンスを披露しています。また、全国のイベントに出演し、彦根市のPR大使として抜群の存在感を示しています。
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熱烈なひこにゃんファンの方々が、ひこにゃんのイベント出演に合わせて彦根に駆けつけてくれるそうです。彦根を観光する目的として、「ひこにゃんに会いたいから」という理由がダントツなのもうなづけます。(※一般社団法人近江ツーリズムボード実施「彦根市観光客満足度調査」による)
𦚰さんご自身もひこにゃんの大ファン。ひこにゃんのそばにいるだけで、毎日、とても癒されるそうです。𦚰さんをはじめ、お世話係のみなさんによるひこにゃんのプロデュース、今後ともひこにゃんの活躍から目が離せません。
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そして、そんな人気者(猫)のひこにゃんには「公式ファンクラブ」があるのをご存知でしょうか?
ひこにゃんは白い猫なので、雨が降ると白い毛が汚れてしまいます。女性が毎日お肌をケアするように、ひこにゃんの白いもふもふボディを維持するためには、毎日のお手入れがとても大切です。
そのため、ファンクラブへの寄付金は、ひこにゃんのお手入れに欠かせません。ファンクラブでは、限定オリジナルグッズのブレゼントや、ひこにゃん限定イベントへの招待があるそうです。
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ひこにゃんのお仕事は「彦根市のPR活動」だけではありません。熊本地震で熊本城が被災したとき、ひこにゃんはお友達のくまモンのために熊本城への募金活動を行い、たくさんの募金が集まりました。
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彦根城の夜間特別公開での熊本城とのコラボレーションでは、ひこにゃんが、インスタライブでくまモンと繋がり、ひこにゃんの名前入りの綿毛がくまモンのところに飛んで行きました。
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赤い羽根共同募金運動の街頭募金活動のためにも、ひこにゃんは活躍しています。
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全国地域安全運動期間の防犯啓発活動では、ひこにゃんは自転車置き場の施錠チェック係を務めました。
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ひこにゃんは「ゆるキャラ®」を超える存在に
「ゆるキャラ®」の名付け親と言われている、みうらじゅん氏は、「ゆるキャラ®」の条件として次の3つをあげています。
① 郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性があること
② 立ち居振る舞いが不安定かつユニークであること
③ 愛すべきゆるさを持ち合わせていること
これを見ると、ひこにゃんは「ゆるキャラ®」の条件を完璧に満たしていることがわかります。
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「生死の事大 無常は迅速なり」
生きるか死ぬかは重大なことであり、今でなければ悟りを開くことはできない。過去や未来ではなく、今が最も大切である。
これは道元の言葉が元になった禅の言葉ですが、井伊直政公の名言としても知られています。
直政公は寡黙で多くを語らず、聞き役に徹することが多かったといわれています。しかし、相手が間違ったことを言ったときは、相手に恥をかかせないために誰もいないところで的確に助言したそうです。相手に礼儀を尽くす直政公の気配りが、家康公の相談相手として、とても高く評価されていました。
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ひこにゃんは「ゆるキャラ®」の条件を満たすだけでなく、「ゆるキャラ®」の役割を超えているように思えます。
私たちが会いに行けば、ひこにゃんはつぶらな瞳を輝かせて、何でもうんうんと私たちの話を聞いてくれます。ひこにゃんは、直政公のように信頼できる相談相手としての役割を果たしてくれているのかもしれません。
そして、過去にとらわれたり、未来を不安に思うのではなく、「今が大切だよ」と、私たちに教えてくれているのではないでしょうか。
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ひこにゃんは招き猫
「招き猫」は、一般的には、右手または左手をあげ、小判を持っているスタイルが多いようです。しかし、井伊家の菩提寺である豪徳寺の「招き猫」は、右手をあげ、小判を持っていません。
これは、「招き猫」はチャンスを与えてくれますが、必ずしも結果を出してくれるわけではないということを意味しています。チャンスを生かすのは本人次第、つまり、あなた次第だからです。
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彦根でいちばん有名な白い猫、ひこにゃん。ひこにゃんは、あなたに癒しだけでなく、たくさんのチャンスを与えてくれるはずです。
そんな「招き猫」のようなひこにゃんに年賀状を送ると、ひこにゃんから特典付きのお返事が届くのをご存知ですか?お返事の年賀状は、彦根城入場時に提示すると、最大2名までの入場料が無料になる彦根城招待券です。
ひこにゃんに応援のメッセージを送って、彦根城のひこにゃんに会いに行きましょう。
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※「ゆるキャラ®」は、みうらじゅんの著作物であると共に、扶桑社、及びみうらじゅんの登録商標です。
ひこにゃん
〒522-0061
滋賀県彦根市金亀町1番1号 彦根城
ひこにゃん公式サイト https://hikone-hikonyan.jp
ひこにゃんの登場はお天気によって場所が変わります。
詳細はひこにゃん公式サイト「スケジュール」でご確認ください。
(写真・文 若林三都子)