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看護師から転身!!失恋を機に起業!? ローチョコレート専門店のカカ女将、吉田りえさんの魅力に迫る

色鮮やかで、他には無いようなデザインのチョコレートやケーキの数々。

それに加えて、とても華やかな冠??を被ったり、異国の民族衣装に包まれたりと陽気でエネルギーいっぱいの店主らしき女性。

お店のSNSを開くと、そんな写真や映像がたくさん投稿されていて、わくわくして思わずスクロールしてしまいます。どんな商品があるのだろう?どんな人が作っているのだろう?と興味は増すばかりです。

(写真提供:ハレトケト)

この色鮮やかなチョコレートやケーキを製造・販売されているのは、ローチョコレート専門店※ の「ハレトケト」さん。そしてこのロースイーツのデザインやレシピを全て考案されているのが、「ハレトケト」のオーナーで、写真の女性、吉田りえさんです。

※ローチョコレートのローって?
「ロー」とは「RAW」のことで、「生」を意味します。
食物の持つ酵素を壊さないように低温調理されたスイーツをロースイーツと呼ぶそうです。食物の酵素は人間の体の疲労回復やメンテナンスに役立つそう。
しかも、この鮮やかな色は、全て自然由来で着色料不使用!!
見た目も可愛く、美味しいのに体に良い最強のスイーツ!!


江戸時代から続く足軽組屋敷でオープン

彦根城前のキャッスルロードを超えて細い路地を入ると、ほどなくして、お店が見えてきます。

空き家だった彦根市指定文化財の足軽組屋敷を借りて2018年にオープンされました。古民家で新しい形のスイーツをいただく、その非日常な組み合わせにも期待が膨らみます。

背の低い昔ながらの門をくぐると、りえさんが明るい笑顔で迎えてくださいました。

お店を訪問したのは8月の暑い日でしたが、店内に入ると、心地よい静けさと懐かしさで、ふっと体の熱が落ち着くような感覚がしました。

まずは、はじめてのロースイーツをいただきます。ふわりと溶けてなくなるような軽い口当たりで後味はスッキリ。それなのにしっかりとお腹に溜まるような満足感。日々の慌ただしさの中で、ストレス発散に罪悪感と共に食べてしまうお菓子とは全く別物でした。

りえさんは、2013年に友人の働くお店でローチョコレートに出会い、食べた時の心の充足感に驚き、虜になったそうです。


看護師から転身!!ローチョコレート専門店をオープン

彦根で生まれ育ち、看護師として自立し働く祖母に憧れ、看護師の道に進んだりえさん。しかし、「看護師は素晴らしい仕事だけど、どこかでずっと、"これじゃない感”をもっていた」そう。

プライベートでは独学でローチョコレートを作り、看護師として健康に気遣い意識する中で、ヴィーガンやローフードに興味を持ち、実践。バックパッカーとして世界各国を旅しながら、国内外で酵素栄養学やヴィーガンについて学びます。

カカオ農家を訪れるりえさん(写真提供:ハレトケト)

「実はノーと言えない性格で、バックパッカーを始めたころは『地球の歩き方』で注意喚起されている通りの騙され方をするような人だったんです」と笑顔で振り返るりえさん。

「今でもそういったところはあるが、様々な経験を通して自分の意見をしっかり伝えることの大事さを学んできた」と話します。

そんな中でバリ島で恋をし移住を計画。当時バリ島では既にローフードやロースイーツが流行していたこともあり、バリ島で起業!!するはずでしたが、大失恋...。バリ島への移住を断念します。

一度は起業も諦めかけましたが、「日本で生きた証を残したい」という思いと、当時彦根を訪れた外国人に「流行っているところで流行っていることをやって何の意味があるの?」と言われ、まだまだロースイーツの馴染みのない日本で起業することを決意したそうです。

ローケーキを作るりえさん(写真提供:ハレトケト)

そして、だんだんと人気のお店になり、足軽組屋敷をもう一軒借りて、チョコレート工場も作られました。

こんなに素敵なデザインやレシピはどうやって思いつくのか聞いたところ、「なんとなく、面白そうだなぁとか、この組み合わせはこうなりそうだな、と実験的にやってみる」とのこと。うまくいかないこともあるそうですが、試行錯誤しながら作るそうです。

どの商品も、りえさんのワクワクがあふれ出てくるかのようで、可愛くて独創的で思わず魅入ってしまいます。

様々なデザインのロースイーツ(写真提供:ハレトケト)

ちなみに、お店の看板も鮮やかかつユニークで、思わず見入ってしまいます!「アパホテルの社長さんを彷彿とさせる」と、とても評判で「アパ看板」と呼ばれたりもするそうです。

パッと目を引くお店の看板(写真提供:ハレトケト)


ナンバーワンにもオンリーワンにもならなくていい

ハレトケトさんは開業から6年が経ちます。開業当初はローチョコレートに対する認知もなく遠巻きに見られるような感覚だったのが、今では認知が広がったと言います。ヴィーガンスイーツやランチが食べられる数少ないお店という事もあり、観光客も訪れるお店となっています。

様々な国を訪れたりえさんに、彦根の魅力を聞いてみました。
すると、不便さも便利さもちょうどいい田舎過ぎない良さがある、と話しつつも、りえさん自身は「敢えて尖らせよう!とか、この街のために!というような思いで活動はしていない」そう。

「自分の居心地がいいように周りの環境を変えていけばそれに共感する人が集まったり繋がったりする。そしてさらに居心地が良くなって好きになって、魅力になっていく。ナンバーワンやオンリーワンになる必要はないと思っている。」と話します。

『ナンバーワンになること』は周囲と比べた評価ですが、『オンリーワンでありたい』と思うことも、どこか周囲と比べてしまうような感じがしますよね。でも、りえさんの話を聞いていると、そもそもそんなことを考えない、ただ自分が好きなことを選択し続ける、自分と向き合い続けることが最大の魅力なのだと思えました。

カカ女将としてYouTubeでも毎日投稿されているりえさん
(ハレトケトのYouTubeチャンネルより)


“カカ女将”として発信を続けたい

今後のハレトケトの活動についてお聞きすると、「やってみたいけど手を付けていないことがいっぱいある」そう。でも「“やらない” ということはそんなに “やりたいことではない” のかもしれない」とも。

「どんな形になるか分からないけれどカカ女将として発信を続けたい」と意欲的に話してくださいました。ハレトケトのYouTubeチャンネルでは、カカ女将としてお店の経営に奮闘されているりえさんの、日々の出来事やそこからの気付きなどをざっくばらんにお話しされています。

 “まずはやってみる”チャレンジングな精神と、自分の気持ちに真っすぐに活動しておられるりえさん。

この先も、どんな形でその魅力を表現されるのか目が離せません。

 

足軽組屋敷の落ち着いた空間で、心と身体に染み渡るロースイーツとパワフルできらきら輝くりえさんから、たっぷりエネルギーをいただきました。

 ぜひ、皆さんも一度、足を運んでみてください。

 

Hareto-Keto Raw Chocolate & Detox Cafe -ハレトケト-

住所:滋賀県彦根市芹橋2丁目6-54
TEL:050-7115-4899
E-mail:info@haretoketo.com
営業日:金、土、日、月
営業時間:11:00-16:00 
※営業日・営業時間はHPでご確認ください

(写真・文 野田あかね)