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火葬場が緑ゆたかな公園へ!「千鳥ヶ丘公園」の謎に迫る
「彦根は走りやすい街だ」
京都から引っ越してきたばかりの私がそう感じた理由は、いくつかあります。特に、植物が多く四季の移ろいを感じられることは、ランニング中の大きな楽しみでした。
走っているうちに見つけた公園のひとつが「千鳥ヶ丘公園」です。驚いたことに、この公園はもともと火葬場!「どうして火葬場が公園に?」疑問を解決すべく、調査に走り出しました。
「千鳥ヶ丘公園」は2つの顔をもつ市営公園
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「千鳥ヶ丘公園」は雨壺山丘陵地一帯にある公園です。平田町側・芹川側のそれぞれが公園として独立しており、特徴も異なります。
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平田町側は、手入れされた芝生の広がる広場です。周囲が緑で囲まれており、春には桜が広場を彩ります。
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芹川側は、いくつもの広場が連なった公園です。山のふもとから頂上に向かって散策できる園路があり、雑木林や竹林を楽しめます。
きっかけは火葬場の移転
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「慰霊碑のある、このあたりに火葬場がありました」
取材に答えてくださったのは、彦根市役所 都市政策部 都市計画課 公園緑地係の石田さんです。石田さんは市役所に残っている記録から、火葬場が公園へ変貌するまでの情報をかき集めてくださいました。
記録によると、以下のような経緯があるようです。
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火葬場が移転するのを機に、千鳥ヶ丘公園は誕生しました。
ちなみにですが、移転先の「紫雲苑」は現在も彦根市・愛荘町・豊郷町・甲良町・多賀町の火葬場として運営を続けています。
改めて現地に赴いて分かった、千鳥ヶ丘公園の魅力
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私がよく訪れる平田町側の「芝生広場」。広場の端には東屋とスプリング遊具がありますが、だだっぴろい空間であることが最大の特徴です。シンプルな設備だからこそ、さまざまな用途で使うことができます。
車の侵入や転がってしまったボールの紛失などを気にせず、安全に遊べるのも嬉しいポイント!実際にグラウンドゴルフやキャッチボールを楽しむ人の姿もありましたよ。
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芹川側は複数のルートで頂上まで登ることができます。県営芹川団地の周辺の階段を登ると、遊具のある「ちびっこ広場」へと続いています。
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「ちびっこ広場」と「どんぐり広場」の間には、トイレがあります。
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北側の東屋からは、なんと彦根城を眺めることも!
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園路にはたくさんのどんぐりが落ちていました。もしかすると、夏にはカブトムシなどの虫たちが、大集合しているかもしれません!
芹川側の園路は木々が生い茂り、見通しの悪い部分もあります。「どこまで続くのかな?」という一抹の不安と、まるで探検しているかのようなワクワク感!自然とスリルを楽しみたい人にはもってこいの公園でしょう。
利用者が楽しめるよう、行き届いた管理あり
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「千鳥ヶ丘公園は、市が管理しています。1番大変なのは草刈りです。面積が広いので、毎年業者や地元の方に委託して草や葉を刈ってもらっています」
石田さんがおっしゃるように、千鳥ヶ丘公園の草木はすさまじい生命力を持っており、ひと夏で地面を覆いつくすほどに成長します。
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草刈り後は、このとおり!気持ちよく公園を利用できるよう、管理は徹底されています。
千鳥ヶ丘公園の使い方は無限大!
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「コロナ禍で、ここ最近はなかったんですけど、昔は芝生広場でマルシェやフリマのようなイベントをしてくださっていました。千鳥ヶ丘公園を活用してくださることで、地域の方々の活性に繋がればいいなと思っています」
石田さんに話を伺い、改めて取材で現地に赴いたことで、千鳥ヶ丘公園に更なる可能性を見出しました。平田町側・芹川側のいずれも自然ゆたかで、訪れるだけでデトックス効果を感じられます。ハイキングや森林浴はもちろんですが、芝生広場の活用方法は数えきれないほどあるはずです。
あなただけの千鳥ヶ丘公園の楽しみ方を、見つけてみてはいかがでしょうか。
千鳥ヶ丘公園
住所:滋賀県彦根市平田町951-22(駐車場の位置)
駐車場:37台(平田町側のみ)
問い合わせ先:彦根市役所 都市政策部 都市計画課(0749-30-6124)
彦根市公園条例:
(写真・文:蕪木 夏芽)