人は全員がアーティスト
自分の感動を表現する
人はロジックでなく、感情で動くとはよくいうけれど、いいコーチングの結果、クライアントのアクションにつながるとき、「クライアントが響いている」と表現することがある。
ただ、人が何かをやってみようと心が動くこと、自分の直感に従ってみようと思っている状態、感動している状態、自分が開かれた状態にあること、「響いた状態」がどういうことだろう、とふと考えた時に、言語化しようと、定義しようとしてもなかなか難しく、どれも”どこか違う”。
「自分が感じた感動とはね・・」「自分がもっている本当の自分とはね、、」と、自分が何かに感動したり、自分の内側を他者に伝えようと言葉で説明してもなかなか伝わらない。
人がこの世界で何かに感動し、それを表現し、誰かに伝える。それを他者に伝えようと試行錯誤するが、その姿や形を明確にしてしまう瞬間に最初に受け取った何かがなくなっていることに気づき、さらに試行錯誤を繰り返す。長い時間をかけて、時には数年かけて、試行錯誤した最後の最後になにかを手放した結果として、生まれるモノがある。それぞれの作品がある。
「響く」こと、人が動くということ、感動することについて考えれば考えるほど、そしてアートや芸術について知れば知るほど、これまで多くのアーティストが考え、表現しようとしてきたテーマと重なってくるところがあり、20代の頃に見えなかったモヤモヤをまた違う視点で見ている自分に気づく。
喜びだけでなく、怒りや悲しみも人の心を動かす(感動する)
アーティストはそうした言葉にならない自分の感性が感じたモノを表現しようとしている。
もっと世界に感動体験を
僕は、歌や絵などの芸能分野では何かそれで人を感動させることができるような特別な才能もなく、努力もしてこなかったけれど、自分の祖父母、両親がしっかりと僕の中に遺してくれた、確実に自分の中にあると感じているこの「響き」を人生を通して表現したい。
誰もがこの世界で出会うはずの感動を身体でしっかり感じ、自分らしく何かを表現したいと思いながら、思いっきり試行錯誤することができれば、その人の幸せにつながり、もっと感動があふれる世界になるはず。
クライアントはいつも自分に向き合い続けている。何かに向かって行動したいが、行動の形が見えない。言語化できない。でも心の中には確実に大きなモノが存在している。自分の人生でそれに向き合いたいと考えている。取り組みたいと考えている、表現したいと考えている。
そうした言葉にならない自分の感性が感じたモノを表現しようとしている人は全員がアーティスト。
コーチができること
コーチングのセッションは、コーチにとって自分の表現の場の1つであり、パフォーマーと同じ。そして子供がいない僕にとっては自分が両親から受け取ったものを将来世代に送っていく場でもある。コーチ自身がアーティストであり、アーティストを育てる場でもある。
母親が子供の話を聴くように、クライアントの声に耳を傾けること。
父親が自分の背中で子供に語り掛けるように、コーチ自身が自分の生き方を見せていくこと。
両親が子供が悩んでいるときに見守っているように、クライアントの無限の可能性を信じぬくこと
子供が何かにチャレンジしようとするときに、親が可能なサポートを差し出すように、クライアントが表現すること(行動すること)を一緒に考えること。
コーチングの1時間だけでなく、そこへ向きあう自分の意識とあり方が問われている。