[「今どうしてますか。」インタビュー] 山口 周南/光あけぼの園さん その2:「どこで見つけたんだろう?っていう遠くから注文があることが、とてもありがたくって。」
G J.販売の機会やマルシェ、イベントなどがなくなってしまったということですが、何か代わりにやられたことはありますか。
相本さん:やっぱりイベントやみんなでいく一泊旅行などの行事が少なくなって、作業ばっかりになってしまい、利用者さんにとってはフラストレーションがたまっているようだったので、規模は小さいけれど、園内ですこしでもストレス発散をと思って、スイカ割りやミニ運動会を企画して楽しみました。
阿座上さん:
ふだんから布製品を作っているため、マスクを作ったんですけど、それが結構売れたんですよね。
やっぱり滞在時間がみじかくて。本当にピンポイントでマスクを事業所のお店まで買いに来てくださって、すぐ帰られる感じでした。
(いつも使っている厚手の帆布に加えて、よりうすい綿の布でマスクも作成したそうです。地元の山口放送でもマスク販売の様子が放映。)
G J:唐突ですけど、阿座上さん。いま 光あけぼの園にズバリ欲しいものってなんですか?
阿座上さん:あたらしい職員さんに入って頂きたいということ。そして、パソコンやネットが使える方だとうれしいです。
G J:それはどうしてですか。
阿座上さん: 職員がいま不足しておりましてね。福祉のほうになかなか人がいらっしゃらないので、なかなか難しいです。
G J:パソコンやネットに弱い人の方がやっぱり多いですかね。
阿座上さん: そうですね。もしくは 工房結のほうは、バック作りなどの作業をするので、ものづくりが好きな方は、きっと楽しいと思いますし、支援する上でのアイデアも生まれやすいかと思います。
あと、レザーカッターがあったら、革などの裁断に活用できるので。
その機材が簡単にー ある程度パソコンが最低限使える人だったら誰でも扱えるものであったらー 利用者さんができない部分を賄えて範囲が広がるなあ。っていうのはすごく思いますね。
どうしてもわたしらの手が行き届かない部分があるのですが、もっとできる範囲が広がったら、他の利用者の人たちの仕事(づくり)にもなるんだろうなと思います。
革でいったら、切断をしていて穴あけまでの工程の準備ができていたら、利用者さんの何人かぶんの仕事ができるなあと思うんですけれど、
GJ: それはやっぱり手でもできるけど、人の手だけだとちょっと難しいということですよね。
阿座上さん: そうですね。どうしてもその手でやった方がよい部分と…。なんていうんだろ。利用者さんの得意不得意というか…。ちょっと難しい場合が多い作業っていうんですかね。そういう例えば革を5ミリ 20センチに切るとか。
(細かい裁断スキルが必要とされる工房結のバッグづくり)
G J:!! うわあ。それはもうほとんどの人が難しいですね。
阿座上さん:そうなんですよ。特に革ってヨレヨレするし。
G J:5mm20cmに切るというのはカバンのパーツとかですか。
阿座上さん:うん。そうですね。革とかやわらかい類のものです。
手作業のよさみたいのもありますけれども、ある程度しっかりきちんとしてないと、あとが困るっていうものはしっかりしていたほうがいいんです。ただやっぱり職員もできない部分もありまして。
それが、できる人も限られてくるので、それが簡単にできるとなあ、って。
その作業ができる人がいたり、IoT (* 注:ネット経由でできるいろんな便利なサービス。ルンバやアレクサもこのジャンルです!)とかFab(*注:デジタルミシンなどデジタルなものづくり機械のこと。)とかの機械でおぎなえるのであれば、可能性が広がるかなって。そこができたらいろんな人の仕事がもっと増えるなと思っています。
Q.コロナ禍の中、考えられたことや改めて感じたことはありましたか。
対応に関しては、それぞれの事業所によって差があると言いますか。E Cサイトにとり組むのがすごい早いところも、やっぱりそうでないところも。
同じB型の事業所でもいろんな事業所がある方が選べていいと思うんです。
たくさん働いてたくさん稼ぎたい方、ゆっくり作業したい方、アートが好きな方、色々。利用者さんの個性が生かせる方法をいろいろやってみれたらと思うんですが。
福祉の世界は今までのやり方を変えないというか、あんまり新しいことをやらない方が…。ねえ? みたいなところがね。(*茶目っ気たっぷりに笑う阿座上さん)
― 笑
でも福祉の世界だから出来ることもあると思うので。
どこの世界でもやることなんでしょうけれど、その中で
ーどうやって一人一人の職員のモチベーションをそれぞれに持ちながら楽しんで取り組んでいけるかー
みたいなところがあるように思いました。
GJ:注文の発送作業などどんな感じですか?
大量注文がなくなってしまって、個別の注文が増えてきている中で、今までとちがい、発送の際の人件費を見越して価格設定をしていないと大変だなと思いました。
でも、とにかく今は難しい時期なので、できることをやれたらいいなと思いますね。知っていただく機会になると思うので。
私たちのいる場所は山口。でも新潟とか北海道とかどこで見つけてくるんだろう。っていうくらい見つけてきてくれて注文いただけるんです。
それはありがたいなあと思っています。
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阿座上さんがお話されていたことで印象的だったのは、障害を持っていない人が、特に障害を持っている人とかかわりなく一生過ごしていくことも多い中、
”そういう人たちやこういう場所があるんだということをまず知ってもらえたら嬉しい” ということ。
「たとえば将来、障害のある人が企業で雇用されたとして。その会社の人たちが前に障害を持つ人と接した知識や経験があったら、障害のある人がじぶんの会社に雇用された時にでも、ちょっと対応がかわってきたりとか。もっというと、その人が社長さんになった時にちょっと障害のある人を雇用してみようか。という対応にもしかしたらなるかもしれないですし。」
そうすることで、社会としての、受け皿が本当にすこしずつだけど変わってくるのかな。っていう可能性を感じます。と阿座上さん。
コロナ前の2019年の年末、カメラを持って工房の写真撮影にしにきてくれた
下松高校美術部写真班の学生さん達とのふれあいの一コマ。上の写真の左のスタッフさんは熱唱中だそう。楽しそう〜!
またいつか普通に交流ができる日が来ることを願って。
状況が刻々と変わる中、今できることを着々とされていたあけぼの園のみなさん。阿座上さん 相本さん インタビューにご協力いただきありがとうございました。
(聞き手:Uga)