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あってほしい社会をつくるための仕組みと技術 / IoTとFabと福祉セミナー④

身体的なケア、人や地域とのつながり、表現や創作すること、学ぶことや働くこと、これらを支える技術として IoT の可能性があるけれども、福祉現場にとっては未知数なところも多く、楽しみながら受け入れることはまだまだ難しいかもしれません。

まずは「何ができそうか」「自分たちには何が大切か」「何から始められるか」を具体的な事例を学びながら福祉現場への活用を考えるため、「IoTの活用場所をひろげる:ものづくりとケアの現場から考える」をテーマにセミナーを開催します。

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9月5日の登壇者1人目は、株式会社Nature Innovation Group丸川照司さん(代表取締役)。傘のシェアリングサービス「アイカサ」を事例に、製品やサービスをつくるにあたって技術をどのように活かし、それらを実現するための具体的なプロセスや課題や工夫について学びます。

もう、カサを持ち歩かない生活を。

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・突然の雨がふりだしたときに傘を持っていない。
・出かけようとしたときに天気が微妙で傘を持っていくかどうか迷う。
・雨がふる度にビニール傘を買って玄関にたまっている。
・傘をバスや電車に置き忘れてしまった。

日常生活になじみのある道具だからこそ、傘にまつわるエピソードもたくさんあるかと思います。そんな傘にまつわる不安を和らげてくれるのが「アイカサ」。どこでも借りられて好きなところで返せる傘のサービスです。

駅、商業施設、コンビニ、飲食店などにアイカサスポット(傘立て)があるので、そこから傘をレンタルして、使わなくなったら返却することができます。

外出中に雨が降り出したら、近くのアイカサスポットで傘を借り、雨が止んだら、そのときに居る場所から最寄りのアイカサスポットに返却。

突発的な雨でアイカサを借りて、それからアイカサを継続的に使って、最後にはまるで自分の傘のように家に持ち帰る。アイカサによって、折り畳み傘を持ち歩くことや、急な雨の日にコンビニでビニール傘を買うといったライフスタイルが変わっていきます。

廃棄処分されるカサたち

日本洋傘振興協議会の推計によると、国内で消費される傘は1億2,000〜3,000万本にのぼり、そのうちビニール傘はおよそ8000万本と言われています。

一方、東京・文京区にある警視庁遺失物センターに、鉄道会社や警察署から届く忘れ物の傘は、年間約30万本。そのうち持ち主の元に返った傘は0.9%の約3000本(2018年時点)とのこと。つまり、99.1%は廃棄。

購入されている傘のほとんどが忘れ物として届けられたり、駅やコンビニに壊れたまま放置されているところを目にすることもあります。

多くは廃棄処分されてしまう傘問題。これらの社会課題の解決に取り組むだけではなく、ビジネスの機会として捉えたこともアイカサの特徴です。

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あってほしい社会をつくり出していくために、結果的に技術が必要だっただけ。

「アイカサ」を社会に提供しているのは株式会社 Nature Innovation Group(本社:東京都渋谷区)。代表の丸川 照司(まるかわ しょうじ)さんは2017年にアイカサを着想してから、2018年に友人たちと3人で起業しました。

自身が家庭環境で悩んだ経験から、18歳で児童福祉の分野に興味を持ち、児童相談所のボランティアなど、いろいろ勉強していくうちに、病児保育の問題などに取り組むNPO法人フローレンスの駒崎弘樹さんや、起業家の家入一真さんなどを知ります。

「自分のように家庭や社会の環境で悩む経験そのものをなくしたい」という気持ちが起業に興味を持つきっかけで、社会的な活動でも事業性を持てることも知り、ビジネスにも興味が出てきたそうです。

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傘のシェアリングサービスは、周囲から「難しいのではないか」と何回も言われたとのこと。返却しない人が現れてしまうように貸出状況を把握することが難しいことや、傘を置くスペースの確保、傘をシェアする文化の醸成など、さまざまなハードルがあります。

参考にしたのが、傘のシェアリングサービスが先行していた中国でした。スマホアプリと連携して傘の貸し出し状況の把握や課金をすでに行ってました。

そこから、通勤や通学などで多くの人たちが集う渋谷区を中心に、飲食店の協力を得ながら実証実験を重ねていきます。さらに、事業にしていくためにアプリを開発。その後は京急電鉄をはじめ鉄道会社にアプローチを進めていきます。

実現が難しそうなことも、方法によって成立させることができることをアイカサが示してくれていると感じます。

ゼロからつくらなくても、できないことは頼んだり、聞いたりすることもできると思います。技術をベースではなく、結果的に技術が必要だっただけで、ひょっとすると技術がなくてもいいこともあるかもしれません。

そう語ってくださる丸川さんと考えるIoTや技術の可能性。福祉現場を人たちが考える「こうありたい」をつくり出すためのエッセンスをアイカサから感じ取れるのではないでしょうか。

2021年9月5日(日)に開催する「IoTとFabと福祉セミナー」では、株式会社 Nature Innovation Group 代表の丸川 照司さんをお招きして実例発表&ディスカッションを実施します。ぜひ、ご参加ください。

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(text:一般財団法人たんぽぽの家 小林大祐)


【アイカサ】
https://www.i-kasa.com/
【参考・引用】
ビニール傘 使い捨ての現実
年間8,000万本消費!「ビニール傘使い捨て問題」に私たちができることとは?
アイカサ 丸川照司:傘のシェアリングで財布も地球環境もエコにーー理想と現実のギャップを埋める幸せなビジネスの形
ユーザー数100倍!これぞアクセラレータの使い方だ!──傘シェアリングのアイカサに学ぶ、PMFの突破口


IoTとFabと福祉セミナー


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